高温, 高圧により布の平滑化, つや出し等を行うカレンダ加工は, 各種被服材料の仕上げに多用されており, アイロン仕上げもこの一種といえる.この加工は布表面や内部の繊維の形態, 性質を変化させ, それに伴って布の力学的性質にも影響を与える.本研究では綿, ナイロン, ポリエステルの平織物について, 各種の条件下でカレンダ処理を行い, 織物構造が如何に変化するかを, 各種の測定結果より検討した.
(1) 綿ブロードでは高温処理において繊維の充填化, 糸の偏平化と共に, クリンプ率及び織密度の減少, たて, よこ両方向に押し広げられるような構造変化を示す.
(2) ポリエステルタフタの厚さの減少は, 繊維の充填化, 糸のふくらみの減少, 偏平化によるが, ナイロンタフタでは, これらに加えてクリンプ率の減少, クリンプ交換が認められた.
(3) 糸交差部に対しては加工荷重の影響が大きく, 加工荷重が大になると, 糸間の接触面積, 交差圧等が増加する.この変化はポリエステルタフタよりナイロンタフタの方が著しい.しかし, 綿ブロードの低温, 低荷重処理では交差圧は低下を示した.
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