衣服構成の目的は, 布という単純な面で人体という複雑な面を覆うことである.この目的から考えると, ある面が平面に展開できるかどうかが重要で, それはガウスの曲率で定義することができる.もし面の至る所でガウスの曲率がゼロであれば, 可展面と呼ばれる.このガウスの曲率に関して, 曲面内のガウスの曲率の総和と境界線上の測地的曲率の総和を加えたものは, 2π×オイラー標数と等しいというガウス-ボネの定理がある.本論文では, この定理を衣服構成の立場で議論する.特に, 裁断と縫合という技術はガウスの曲率と測地的曲率の変化と捉えることが出来る.この定理は一種の角度保存則と考えられるので, 角度の配分という考え方を導入することができる.この考え方をより明確にするために, 縫合の前後で各曲率がどの様に変化するかを示し, この関係を縫合の式と呼ぶことにする.角度の配分という考え方と縫合の式は衣服構成にとって有益であると考える.
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