水系洗浄における油性汚れの洗浄性が低いという課題を解決するために,油相に高級アルコールを用いる希薄エマルション洗浄における油性汚れの洗浄性について検討した.まず,極性の異なる油性汚れの汚染布を作成し,ターゴトメーターを用いた洗浄試験を行った結果,無極性と中極性の油性汚れに対して,界面活性剤単独系よりもエマルション洗浄が高い洗浄性を示した.一方で,強極性の油性汚れの場合,エマルション洗浄の方が低い洗浄率を示した.これは界面活性剤による乳化に関して,高級アルコールが強極性油性汚れと競合したためと考えられる. エマルション溶液の表面張力を測定した結果,高級アルコールを混合することによって界面張力が減少した.以上のことから,無極性と中極性の油性汚れでエマルション洗浄によって洗浄性が高まったのは,表面張力の低下に見られるように界面活性が高まり,乳化及びローリングアップ作用が促進されたためと推察される.
異なる14 種の布地で製作されたフレアースカートの局所的自重変形を,捺印法により計測し,布地,段,列を要因とする三元配置分散分析により検討.また,変形に及ぼす布地の力学特性の影響を重回帰分析により検討した.結果,1)布地,段,列,各要因が有意差を示し,多重比較の結果,局所変形はシルクサテンが最大,ブロードが最小を示し,段では2 段目>1 段目≒3 段目>4 段目の順に,列では左右脇線>左右中間線>中心線の順に大となった.2) 布地の諸元及びKES 値を説明変数とする重回帰分析の結果,1 段目では引張り伸び率が,2・3 段目の左右脇線では,主としてせん断剛性が,同左右中間線では,主として曲げ剛性が,4 段目では糸密度が抽出され,フレアースカートの自重変形に及ぼす布地の力学特性の影響は,スカートの部位によって異なることが明らかにされた. 3) 左右脇線の局所変形の差はバイアス地の目の相違によるもので,これがフレアースカート脇線の捩れの原因と考えられた.