前報で, 染色布が湿潤するとどの程度色が濃くなるかを, 色濃度C*値を用いて検討した結果, 次式を導き出すことができた.
CW*=a (CD*-
p)
2+
qただし, CD*: 乾燥時の色濃度, CW*: 湿潤時の色濃度,
a, p, q, は繊維の種類に関する定数
また, 湿潤による色の三属性の変化も調べ, 色相はほとんど変化なく, 明度が一律に低下することを明らかにしたが, 彩度の定量的関係は見出せなかった.
本報では, HC*B*表色系において, 更に検討を進め, 湿潤によって上記の関係の他に, 鮮明度 (B*) がほとんど変化しないことがわかった.そのことより, 乾燥時の測色値より湿潤時の彩度および色濃度を計算により求めることができ, また逆に, 湿潤時の測色値より乾燥時の色を推定することが可能であることを明らかにした.
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