アミノ酸系界面活性剤を衣料用の洗浄剤として応用することを目的として, カーボンブラック汚れと油汚れのモデル物質として, パルミチン酸と混合脂肪酸汚れについての洗浄力を検討した.
1) カーボンブラック汚れの洗浄力は, 洗浄温度が20℃, 40℃, および60℃において, 石ケン>HS-21>SDSの順であった.HS-21 (N-アシルアミノ酸系界面活性剤) の硬水中での洗浄力は, 石ケンほど洗浄力の低下の影響をうけない.硬度が上昇するにつれて, SDSの洗浄力は大きくなる.
2) HS-21は, 高硬度においても, カーボンブラック汚れの再汚染性が著しく低い.
3) HS-21は, SDSよりもパルミチン酸と混合脂肪酸の洗浄力がすぐれている.このことは, HS-21がオリーブ油に対する乳化力がすぐれていることと関係していると思われる.
4) 混合脂肪酸の洗浄力は, HS-21とSDSのいずれも, C
8>C
10>C
12>C
16>C
18の順になり, オレイン酸を除いて, 脂肪酸の融点が低いほうが高いものより除去され易い傾向にある.
5) 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の洗浄力は, HS-21とSDSのいずれも, 繊維の種類によって異なった.すなわち, 不飽和脂肪酸 (オレイン酸) は, ポリエステル>木綿の順に除去され易く, 反対に飽和脂肪酸 (パルミチン酸) は, 木綿>ポリエステルの順であった.
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