本稿では, 図柄を構成する単位である構成要素を用いて, アパレル図柄の消費者の嗜好を予測するコンジョイントモデルの構築手順と, その応用例について述べる.
アパレル柄の嗜好傾向は消費者層により異なる.そこで多変量分散分析を用いて消費者属性を決定し, 嗜好予測の事前情報としてコンジョイントモデルに組み込んだ.予測モデルの製品属性は, 図柄の構成要素とそれらの組み合わせを用い, それらを図形属性と定義した.応用事例として, 無彩色ドット柄のワンピースとネクタイを選んだ.これらの手法を用いて最終的に決定した嗜好予測モデルは, 8種のワンピースと1種のネクタイのモデルであった.得られた主な結果を以下に示す.
(1) 事前情報として, 年齢購入区域, 性および購入区域と性の交互作用の効果が抽出された.
(2) 最適なコンジョイントモデルは, 2属性, 4レベルの図形属性であった.
(3) 嗜好モデルの有用性を検討するため, ドット柄のアイテム別二次元画像により評価実験を行った.その結果, ネクタイと比較してワンピースの評価者の正当率は高かった.
以上より, 事前情報を組み込んだコンジョイント分析によるアパレル柄の嗜好モデルは, 柄の構成要素から消費者の嗜好予測が可能であり, アパレルマーチャンダイジングに有用であると考えられる.
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