ビニルスルホン系含金属反応染料による染色布を, 酸素系漂白剤を含む洗剤で洗浄した場合の, 脆化と退色の状態について検討した.実験の結果を要約すると次のとおりである.
(1) 含金属染料による染色布は, 洗剤中の酸素系漂白剤により, 引張り強度が低下する.しかし, 洗剤中にEDTAを加えて洗浄すると, ある程度強度の低下を防ぐことができる.
(2) 洗浄をくり返すと, 色差は次第に大きくなる.この傾向は, EDTAを加えて洗浄した場合の方が顕著である.
(3) 洗浄後の染色布上に残存している銅の量は, 洗浄回数が増すほど減少し, この傾向は, EDTAを加えて洗浄した場合の方が顕著である.
(4) 洗浄後の染色布の耐光堅牢度は, 残存銅量の少ない染色布ほど小さい.
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