布と皮膚との摩擦係数に影響を及ぼす布の水分率依存性を検討するために, 肌に直接つける肌着用編布 (スポーツシャツ用編布を含む) 14点を試料とし, 標準状態, 20℃, 93%RH内での調湿および50%, 100%水分率の計4段階の布の含水状態下で布と皮膚との摩擦係数を10gf/cm
2の圧力下で測定した.被験者は成人女子5名とし, 左前腕内側面を測定部位とした.一方, KES表面試験機により標準状態下で測定した布の摩擦係数μ
Kから布と皮膚との摩擦係数μ
s (R) を予測する方法を検討した.その結果,
1) 種々の繊維組成, 編布構造をもつ肌着用編布についてμs (R) に及ぼす布の水分率Rの影響を定量的に捉えた.
2) 標準状態下で測定されるμ
Kを用いて, 標準状態での平衡水分率以上, 100%水分率以下の任意の含水状態でのμ
s (R) を予測する式を誘導し, これにより個人差の範囲内でμ
s (R) を予測できることを明らかにした.
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