接着芯を含む17種の芯地と表面状態が異なる数種の表地との複合布について保温率Hを検討し, 次の結果を得た,
(1) 接着芯の場合, 基布表面の接着樹脂がHに影響を与えていると考えられる.
(2) 非接着芯を用いた複合布のHは, 芯地と表地のコンダクタンスに加成性が成り立つとして, それぞれのHからほぼ予測できる.芯地のHが増大すると複合布のHは増大する.しかし実測値を詳細にみると, 上の増大関係は表地によらず理論式から偏倚することが観察され, この偏倚の傾向は表地の表面状態と密接に関係していることが推察された.
(3) 接着複合布のHは, 同じ芯地と表地を単に重ね合わせて得られた複合布のHより小さく, コンダクタンスに加成性があるとして計算した値よりは著しく小さい.これは, 二つの構成布の界面にある空気層が圧着によって顕著に減少するためと考えられる.
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