各種pHにおいて二層系酸化分解法 (ジクロロメタンー水) により, 7種のナフトール染料 (置換 (X) アニリン→2-ナフトール) を次亜塩素酸ナトリウムを用いて, 20℃で酸化分解し, 酸化分解の機構を生成物分析及び置換基効果から検討した (x=
p-OCH
3, H,
o-Cl,
p-Cl,
m-Cl,
p-NO
2, 2, 4-Dicl) .分解生成物の化学構造は主にGC-MS分析及び標準試料との比較により決定し, 分解速度はHPLCにより求めた.
1.分解生成物はポリクロロー2-ナフトール類, アゾベンゼン類, アゾキシベンゼン類, ジアゾニウムイオン (2-ナフトールにより捕捉) , 及びナフトール染料の塩素化物であった.これらの生成物は置換基Xの種類に関係なく, ほぼ一定の種類であった.
2.一方, 分解速度に対しては著しい置換基効果が認められ, 電子供与性のメトキシ基では反応の加速, 電子吸引性のニトロ基では反応の抑制が起こった.
分解物の構造および置換基定数と分解速度との関係から, 分解は弱酸性下では, Cl
2またはHOClによる主にベンゼン環またはナフタレン環への求電子的塩素化, ジアゾニウムイオンの脱離を伴った塩素化, および二次的な酸化反応によると推定した.また, 耐塩素性の染料としてはHammettの置換基定数が正の置換基を有するもの及びアゾ基に対してはオルト位に置換基を有するものが望ましいことがわかった.
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