寝具用キルティングシーツの心地よい肌触りについて,実用的使用を想定し,洗濯による諸物性の変化と手による触感覚との関係から検討した.本試料の心地よい肌触りは,柔らかさ,滑らかさ,ごわごわしないという3感覚により反映されることが明らかとなった.洗濯によって物性の多くは変動するとともに,手による触感評価も変化した.心地よい肌触りと評価されるのは,数回程度の洗濯までであった.心地よい肌触りを長期間維持するには,力学特性として,洗濯による皺発生を予防するよりもむしろ,キルティングシーツ表面であるガーゼの織構造において表面粗さを低下させることが望ましい.その他の物性として,圧縮に対する初期抵抗を若干増加させること,低湿度環境下で皮膚表面の乾燥感を低減するために,本試料の水分率をやや低下させることが心地よい肌触りをもたらす一因となることが明らかとなった.
本研究では提示形状の違いが布と布画像の印象に与える影響について調べる視感評価実験を行い,その影響について考察した.さらに触感を含めた評価も行い,視感と触感による印象の違いや提示形状の影響との関連についても検討した.実験では平面型と二種の立体型の三種の形状,白黒各10素材を基にした布と布画像各60試料に対し,9項目の対語を用いて評価した.結果,二種の立体型間には9項目の印象に差はないが,平面型と立体型では差があること,また,触感を一番忠実に表現する提示形状,すなわち視感だけで触感を感じる提示形状は断定できなかったが,立体型は平面型よりも総合的な風合いが表現されることがわかった.しかし,立体にすることで触感とかけ離れ,印象を誇張することがあることも確認された.また,提示形状の影響は布と布画像で類似していたことから,画像で布の風合いの表現ができる可能性があると考えられる.