色彩の視覚効果に関する研究結果を実用的な価値のあるものにするためには, 単に色彩だけでなく, 少くとも色彩と形態との複合的な視覚刺激がどのような感情効果をもたらすかを知る必要があると考え, 本実験では色彩4種形態9種の計36種の合成刺激についての感情効果について検討し, その結果を因子分析, 分散分析, 重回帰分析の手法で分析した.その結果本実験に用いた合成刺激の感情効果はつぎの3つの因子により規定されると判明した.
1) 第1因子は形態要因の影響度が大であり, 角や曲線図形, 直線図形に規定され, 力強さをあらわしている.
2) 第II因子は形態要因の中でも全体的な図形の扁平さの程度に規定され, 情緒性や安定性をあらわしている.
3) 第III因子は色彩要因により規定され, 活動性をあらわしている.そして全体として本実験においては, 色彩と形態の合成感情効果は形態要因の影響度が大であった.
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