乳がん術後女性のブラジャーとパッドの不具合解決にむけた指針を得ることを目的に研究を行った.被験者は胸部形状に左右差のある乳がん術後女性10名(乳房全摘5名,乳房温存5名)である.3次元形状計測ならびに健側10点,術側10点の衣服圧測定を,被験者が最もフィットして着心地が良いとしたブラジャー(試料I)と,試料Iよりもフィット性は悪いと感じているが着用しているブラジャー(試料Ⅱ)で実施した.測定は2種の試料に補整パッドを装着した場合としない場合で行った.
試料Iと試料Ⅱの違いは,圧力のアンバランス,特に術側へ負荷される衣服圧の大きさであると思われた.各試料にパッドを装着しないと,衣服圧は健側の方に高くかかった.パッドを装着すると,健側と術側の形状のアンバランスは解消された.しかし,全体にかかる衣服圧は高くなり,術側に偏った衣服圧のかかり方をする傾向となり,その傾向は全摘の被験者で顕著となった.