衣類が死蔵・廃棄される原因の中で, 着用・洗濯の繰り返しに伴う色あせも大きな要因の一つである.ある衣料が, どの程度の色あせを生じた場合に, 「色があせた」との判断に至るのか, またそれが廃棄に至るほどの色あせとの判断になるかどうか, 新品の色を判定前日に見せた後, 塩素漂白によって色あせさせた衣料を単体で見せて調べた.その結果, 色あせ度合いの大きなサンプルの方が「色あせ」の認識に至ることがわかった.その色については, 青系が, また, 鈍い色よりも, より鮮やかな色の方が, 「色あせた」と判定されやすいということがわかった.次に, 色あせた衣類が, 「外出する際に着用可能かどうか」を尋ねたところ, 色あせの程度の大きいものほど着用不可能という回答が増えた.また, 衣類廃棄の理由として, 色あせがどの程度を占めているのかを調べるためのアンケートを行ったところ, 「色あせが原因で衣類を廃棄したことがある」は88%, 「現在, 色あせが原因で死蔵している衣類がある」は66%であり, それは現在死蔵している衣類の14%に相当した.以上のことから, 衣類の死蔵・廃棄につながるような「色あせ」と判断されるような色あせがあることや, アンケート調査の結果より, 30回を超える洗濯によって, 死蔵・廃棄につながる色あせが生じていることが推測された.
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