ミシン針の貫通挙動を検討するために, ミシン針を力計に固定し, 試料をピストンークランク機構で, 1.5~1000rpmの広範囲の回転数域で駆動できる装置を試作した.機械的性質の異なる3種類の高分子フィルム, 塩化ビニル, テフロン, 天然ゴムを試料とし, 針径を変化して実験を行った.ミシン針の糸穴近辺が貫通するときの最大貫通力W
p, 2 (gf) とr/R (r; 針幹の半径, R; 針板の穴の半径) の間には次式のような関係が得られた.
W
p, 2=K (r/R)
nただしnはゴムの0.77を除いて1.36であった.K (gf) はフィルムの引張弾性率G (gf/mm
2) , フィルムと針間の摩擦係数μ, 厚さt (mm) を用いて式K=α (G・μ・t)
1.26のように決められる.ここでαは比例定数である.この実験式によって試料の物性値を用いて貫通力W
p, 2を予測できることが分かった.
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