被服に付着した油汚れの, エイジングによる酸化的変質と洗浄性との関係について, 食物に起因する油汚れとして, ラードと大豆油を用いて検討した.
その結果は, 次のとおりであった. (1) 布帛上で酸化したラードは, エチルエーテルでほぼ完全に抽出された.大豆油では, エチルエーテルによる抽出のみでは不十分であったが, 残留分はエタノールで抽出できた. (2) 40℃でエイジングしたとき, ラードではエイジング開始とともに酸化が始まり, 15日まではPOV・COVがほぼ同様に増加したが, その後の変化は見られなかった.大豆油のPOV・COVは, 誘導期を経た後に10~15日の間に急増し, 15日を境に著しく減少した. (3) 40℃で20日間エイジングした汚染布の洗浄性は, 0日に比べて, ラードの場合, 綿布では低下したが, ポリエステル布ではむしろやや高くなった.大豆油では, どちらの試験布においても, ほとんど除去されなくなった.
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