モデル汕脂よごれとしてステアリン酸を用い, 非イオン性界面活性剤水溶液による洗浄性に及ぼす洗浴温度の影響について調べた.
使用した非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルでエチレンオキサイド付加モル数は8.5, 10, 12の3種である.比較のたあにアニオン性界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム (SDS) を用いた.
試験布は木綿, ポリエステル, ポリエステル綿混 (65/35) , ナイロン綿混 (50/50) である.
ステアリン酸の定量は布上のステアリン酸をベンゼンで抽出し, 単分子膜レンズ法にて滴定数を測定し, 検量線よりステアリン酸のmg数を求めた.
ステアリン酸の融点以下の温度では一般に洗浄率は低いが, 非イオン性界面活性剤ではSDSに比べてかなり高い洗浄率を示し, とくにポリエステルについてはエチレンオキサイド鎖長の短いもの, 木綿ではエチレンオキサイド鎖長の長いものの効果が顕著であった.ステアリン酸の融点に近づくと洗浄率は急激に増大し, 融点以上の温度ではSDSの洗浄率が非イオン性界面活性剤よりも高く, 非イオン性界面活性剤では曇点の高いものほど洗浄率は大きい.
一方, 洗浴からのステアリン酸の再付着は洗浴中のステアリン酸の量に依存し, 洗浴100ml中に10mg以上のステアリン酸が存在する場合に, 布への再付着が認められた.布別ではポリエステル布の再付着がやや大きい.
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