学校教育においてパターン設計を指導する立場から, 多様化したデザインに対応したパターン設計を行うには, 基本のパターン技術を標準化することが必要であると考え研究を行ってきた.本報では前報で提案した手法 (曲線を角度プロット図に変換する) を用いてパンツの原型作成に寄与するため, クロッチラインの比較・検討を行った.メンズ, レディスのクロッチラインの具体的差異や共通性を検討した.さらに平均値によって求められたクロッチラインを用いて原型作成を行い, 着装シミュレーションを行った.得られた結果は次の通りである.
1.3次ベジェ曲線を用いて検討した結果, レディス, メンズそれぞれにおいて曲線は, ほぼ類似した曲線となっていた.又, メンズ, レディス間においても, ほぼ類似した曲線となっていた.2.制御点の平均により, 平均のクロッチラインを容易に作成することができた.3.メンズ, レディス間のFrontクロッチラインは平行移動することによってほぼ一致した曲線となった.4.メンズ, レディス間のBackクロッチラインは異なる曲線となっていたが回転させることによってほぼ一致した曲線となった.5.平均値によって求められたクロッチラインのパンツ原型 (レディス) は着装シミュレーションにおいても良好な結果と判断できた.
これらは, パンツ・クロッチラインの製図法に新しい指導原理を導入することができ有用であると考えられた.
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