糖尿病
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29 巻, 7 号
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  • 高岡 善人
    1986 年 29 巻 7 号 p. 571-572
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 横川 俊博, 小田桐 玲子, 成瀬 典子, 高橋 千恵子, 大森 安恵, 平田 幸正
    1986 年 29 巻 7 号 p. 573-580
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 糖尿病 (DM) 性腎不全患者の血液透析 (HD) 導入後の予後に関する諸因子をとくに自律神経障害との関連において検討した.対象: 昭和53年以後東京女子医大病院にてHD導入をうけたDM44例の内訳は死亡例10例 (導入後1年未満8例, 1年以上2年未満2例), 生存例34例 (導入後1年未満13例, 1年以上2年未満10例, 2年以上11例) であった.1年以内死亡例を1群, 1年以上2年未満生存中の症例をII群, 2年以上生存中の症例をIII群とし, 各群間でDM発見時年齢, HD導入時の血液生化学検査・高血圧・著明な起立性低血圧 (OH) および胃障害 (GP)・失明・うつ状態・肥満度について検討した.結果:(1) 1群では, III群に比し, DM発見時年齢30歳未満例がわずかに多くみられたが, 血液生化学検査所見はHD導入直前・導入3~5週後ともに各群間で差はなかった. (2) 1群では, II・III群とくにIII群に比し,(i) 導入直前には著明なOHとGP両者を有する症例が多く (Pく0.05) みられ, またうつ状態を呈した症例もやや多くみられたが, 高血圧, 失明は各群間で差はなく, また (ii) 導入3~5週後には高血圧および著明なOHとGPの両者を呈する症例がそれぞれ高頻度 (高血圧: P<0.05, OHとGP: P<0.05) にみられ, また肥満度をみると低体重であった (P<0.01).結論: HD導入後の予後不良例の特徴として,(1) HD導入後も持続する高血圧,(2) 高度の自律神経障害 (著明な起立性低血圧および胃障害),(3) 低体重が考えられた.
  • 種田 紳二, 中山 秀隆, 青木 伸, 小森 克俊, 黒田 義彦, 牧田 善二, 三沢 和史, 対馬 哲, 吉田 裕, 沢村 祐一, 佐保 ...
    1986 年 29 巻 7 号 p. 581-590
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Glucosylated albunmin (GA) のRadioimmunoassay (RIA) を開発し, 基礎的, 臨床的検討を加えた.
    Human albmin (HA) をglucose, NaCNBH3とincubationして還元型glucosylated HA (RedGlc-HA) を合成し, これをモルモットに免疫して抗血清を得, nativeHAに対する抗体を除去してRedGlc-HAに対する抗血清とした.この抗血清は還元型glucosylated guinea plg albuminおよび, glucitollysine (GL) と反応し, nativc HA, 非還元型glucosylated HAとは交差反応せず, GLに強い特異性を有すると考えられた.次に被検血清よりアルブミンを分離し, NaBH4で還元したものを検体とし, GLを標準物質として上記抗血清と125I-RedGlc-HAの結合に対する阻害の程度よりRIA系を組み立て, GAを単位アルブミン量当たりのGL量として表わした.このRIAの精度, 再現性は良好であった.このRIAによるGA測定の結果, 糖尿病患者 (11=44) 健常者 (n=24) でそれぞれGA=730±273 (pmol/mg・alb), 381±72で両群間に有意差を認めた. (1) このGA値はaffinity chromatography法によるGA値ともよく相関した. (2) このGA値は同時点でのHbA1, HbA1c値とも相関があり, 同時点, 2週間前, 4週間前のいずれの空腹時血糖とも相関があったが, 2週間前のものが最も強い相関を示した.またインスリン治療後の経過ではHbA1c値より速やかに下降し, 比較的短時間の血糖状態を確実に反映していると考えられた.
  • 身体的・心理的側面から
    高橋 良当, 平田 幸正
    1986 年 29 巻 7 号 p. 591-597
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    有痛性糖尿病性神経障害 (PDNと略す) 患者15名の42カ月に及ぶ臨床経過を身体的・心理的側面から観察した.
    対象はPDN15例と, 自覚症状のない非有痛性糖尿病性神経障害 (NPDNと略す) 20例である.PDNに対する治療は血糖コントロールのほかビタミン剤, 抗てんかん薬, 抗うつ剤などを用いた.
    観察開始時, PDNはNPDNより有意にやせていたが, 血糖コントロールにより18ヵ月後には標準体重に回復した.42ヵ月後では, 痛みやしびれなどのPDN症状はほとんど消失し, 同時に運動神経伝導速度の有意な改善が認められた.一方, 網膜症と腎症は全経過を通じて, 進展がみられた.
    心理的側面では, 観察開始時にPDNに認められた神経質, 不安, 抑うつ傾向はPDNの症状改善とともに有意に改善され, 42ヵ月後にはNPDNとの間に有意な差がなくなった.しかし, PDN患者はNPDNに比し, 比較的内向的であり, この性格は全経過を通じて不変であった.
    以上の結果より, PDNはやせた患者に多く, 血糖コントロールによる体重増加とともにPDN症状は軽快し, 神経障害も改善する.しかし, 網膜症と腎症の進展が認められ, 神経障害とは異なる経過を示した.PDN患者に認められる神経質・不安・抑うつ傾向はPDN症状による2次的な心理状態と推測された.
  • 池田 匡, 伊東 康男, 村上 功, 茂久田 修, 富長 将人, 真柴 裕人
    1986 年 29 巻 7 号 p. 599-602
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病状態における甲状腺機能を明らかにする目的で, ストレプトゾトシン糖尿病ラット (STZラット) を用い経静脈TSH負荷 (3mU/kg) に対する血中T4およびT3の反応について検討した.
    STZラットの血清T4 (4.8±0.4μg/dl, mean±SD) およびT3濃度 (33±6ng/dl) は, 対照ラットのそれ (9.5±1.4μg/dlおよび69±11ng/dl) に比し有意の低値を示した. インスリン投与STZラットの血清T4およびT3濃度は7.9±1.5μg/dl, 62±13ng/dlであり, T4補充STZラットのそれは8.7±1.1μg/dl, 55±6ng/dlであり, 対照ラットとの問に差はみられなかった.STZ注射後2週間目に施行したTSH負荷試験では対照ラットにおいてT4は120分値12.5±0.7μg/dl, またT3は120分値88±5ng/dlに上昇した.STZラットおよびT4補充STZラット両群においては血清T4およびT3の上昇反応はほとんどみられなかったが, インスリン投与STZラットではT4は120分値10.3土0.6μg/dl, T3は120分値84±7ng/dlに上昇した.
    以上より, 糖尿病状態においてはTSHに対する甲状腺自体の反応が障害されていることが示唆された
  • 白取 雄, 小川 恒明, 福山 昭一, 永野 聖司
    1986 年 29 巻 7 号 p. 603-607
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病における易感染性の原因として, 液性免疫が関与するかどうか, IgM産生ヒト末梢リンパ球 (RPMI1788 cell line) を用い, リポ蛋白や高血糖がどのように影響するかを検討した.
    高濃度グルコース下では, 1,000mg/dl (55.5mmol) のグルコース濃度で72時間培養後, はじめてIgM産生は有意に抑制された (p<0.05).HDLやカイロマイクロンは各蛋白濃度 (5~500μg/ml) 添加で対照に比べ有意差をみとめなかった. LDL50μg/ml, 200μg/mlの各濃度の溶液添加では, 対照に比し有意にIgM産生を抑制 (P<0.01) したが, 5μg/mlでは差をみとめなかった. VLDLでも同様に25μg/ml, 50μg/mlの溶液添加で濃度依存性に抑制した (P<0.01).またLDL50μg/ml, VLDL25μg/mlのリポ蛋白溶液添加は, このリンパ球の増殖反応 (3H-thymidine incorporation) を有意に上昇させた. このようにVLDL, LDLは増殖反応を刺激するにもかかわらず, IgM産生リンパ球の細胞機能を障害した.これはVLDL, LDLというリボ蛋白が, 抗体産生リンパ球の機能を抑制し, 液性免疫にも関与するということを示唆している.
  • 小森 克俊
    1986 年 29 巻 7 号 p. 609-617
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン抗体 (AIAB) による肝細胞膜インスリン結合増加の機序を, sodium dodecyl polyacrylamide gel clectrophoresis (SDS-PAGE) とradioautographyにより解析し, 合わせてインスリン受容体のリン酸化に及ぼすAIABの影響を検討した.
    肝細胞膜インスリン結合は, 従来の測定法によるとAIABの添加 (最終希釈, 1: 500) により対照の約3倍増加した. しかしながら, SDS-PAGEとradioautographyの解析から, このインスリン結合増加は, インスリン受容体自身へのインスリン結合増加によるものではなく, インスリン-AIAB複合物が肝細胞膜のFcγ受容体に結合するためと思われた. インスリン受容体自身へのインスリン結合はAIABにより濃度依存性に抑制されるのみであった. ヒト赤血球膜, IM-9リンパ球では, AIABによるインスリン結合増加はみとめなかった. また, 肝細胞膜インスリン受容体のリン酸化を指標とした限りでは, AIABそのものにインスリン様作用はなく, インスリンが存在する場合には, その作用を抑制するのみであった.
    AIABは, インスリンと結合することにより, インスリンのインスリン受容体への結合を抑制し, その作用を抑制するものと思われる.
  • グルカゴン負荷試験を中心として
    国広 潔, 村田 勝敬, 織部 安裕, 佐藤 栄伸, 高木 良三郎
    1986 年 29 巻 7 号 p. 619-624
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の血糖のコントロールに, インスリン治療を必要とするか否かの判定基準をもとめるため, 血糖のコントロールにインスリン治療を必要とする糖尿病患者 (I群) 20名と, 経口血糖降下剤あるいは食事療法のみでコントロールされている糖尿病患者 (N群) 51名の臨床所見の差異を判別分析法により解析した. 糖尿病の発症年齢, 罹病期間, 肥満度, HbA1, グルカゴン負荷試験 (GT) による血清C-peptide (CPR) の頂値およびGT時の空腹時血糖価 (FPG) の6つの指標を説明変数として, 変数減少法による判別分析法でI群とN群を判別する線形判別関数をもとめた. 選択された変数はGTの血清のCPRの頂値 (X1), 発症年齢 (X2) およびFPG (X3) であり, これによる線形判別関数はZ=2.174X1+0.071X2-0.020X3-4.060であり, Z<0のとき血糖のコントロールにインスリン治療を必要とすると判別された. この判別関数の誤判別率はI群については0.050, N群については0.137で, 糖尿病患者全体では0.113であった. 以上, 糖尿病患者の血糖のコントロールにインスリン治療が必要であるか否かの判定には, GTの血清CPRの頂値, 発症年齢およびGTのFPGの3つの指標による判断が有効と思われる.
  • 中村 直登, 伏木 雅人, 林 孝平, 中野 龍一, 青地 脩, 新保 慎一郎, 鷹巣 晃昌, 大月 律, 山本 孝吉, 平田 幸正
    1986 年 29 巻 7 号 p. 625-630
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性. 低血糖を主症状として精査のため当院入院. インスリン注射の既往歴がないにもかかわらず, インスリン抗体を認めたため, インスリン自己免疫症候群と診断された. 第30病日, 突然脳塞栓にて死亡したため剖検し, 膵の組織学的検討を行った. ヘマトキシリン・エオジン染色では, ラ氏島の肥大, 増殖を認めなかったが, 酵素抗体法を用いた検討では, A細胞に著変なかったが, B細胞ては染色性が減弱し, D細胞では胞体が狭少化するとともに類円形を呈し, 染色性もまた著しく減弱していた. 本症例では経過とともにインスリン抗体が次第に増大していたため, このインスリン抗体を飽和するためにインスリン需要が増大していたと考えられる. したがって, 酵素抗体法を用いた検討でのこれらの変化は, インスリン需要の増人による2次的変化であると推定された.
  • 浦上 達彦, 花岡 陽子, 藤田 英廣, 北川 照男
    1986 年 29 巻 7 号 p. 631-637
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児インスリン依存型糖尿病患児4例に対して, 診断後早期に非修飾型免疫グロブリン製剤を400mg/kg, 4~5日間点滴静注する治療 (免疫グロブリン大量療法) を行い, その前後で食後2時間における血清C-peptide [以下CPRと略す], アルギニン負荷テスト [以下ATTと略す] におけるCPR反応, 1日インスリン必要量およびHbAlcを測定するとともに, その他若干の免疫学的検査を行って比較検討した.
    免疫グロブリン投与後, 全例において食後2時間における血清CPRの上昇を認め, ATTでも50%の症例でインスリン分泌能の改善を認めた. また4例中3例は診断後6~11ヵ月を経過しても0.5U/kg/day以下のインスリン必要量でコントロールが可能であり, 免疫グロブリン大量療法によって, 経過とともに本症の内因性インスリン分泌能が低下するのをある程度阻止し得るものと思われた.
    そしてこれらの機序は明らかではないが, 免疫グロブリン大量療法によって, 細胞性免疫系や抗体産生系に抑制効果をもたらすことが考えられるが, その他製剤中に含まれる抗Ia抗体や抗イディオタイプ抗体が免疫反応を抑制して臨床効果をもたらすのではないかと推測された.
  • 平塚 任, 石戸 浩之
    1986 年 29 巻 7 号 p. 639-642
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    We noticed in the winter season that the reported blood glucose levels self-monitored by outpatients were abnormally low. The patients use the Toecho-Diatrol system (Kodama and Kyoto Daiichi Kagaku Ltd.) and the Mediscope-Reflomat Glucose system (Boehringer Mannheim and Yamanouchi Pharmacy Ltd.). We examined these two monitoring systems at 0°, 5°, 10°, 15°and 22-24°C at six different blood glucose concentrations (58-223mg/dl)and five different serum glucose concentrations (86-242mg/dl). All experiments were performed by the same examiner.
    A highly significant linear correlation between blood or serum glucose levels measured by the self-monitoring devices and those glucose levels determined by the laboratory glucose oxidase method was obtained. The coefficients of correlation were from 0.912 to 0.999 (p<0.05-0.01). The regression lines indicated the following: glucose levels measured by Toecho were low in lower temperature. As the temperature rose, the measured glucose levels gradually increased. On the other hand, glucose levels measured by Mediscope were high at low temperature at lower concentrations of glucose.
    At temperatures between 10°and 15°C, blood glucose levels measured by these two monitoring systems were more consistent and within±10%, approximately. Low temperature had no effect on the function of these monitoring devices.
    Patients who are going to self-monitor their blood glucose should be instructed to protect the testing papers from low temperature; otherwise the self-monitoring of blood glucose might be useless in winter time.
  • 1986 年 29 巻 7 号 p. 643-662
    発行日: 1986/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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