糖尿病
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31 巻, 2 号
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  • 後藤 由夫
    1988 年31 巻2 号 p. 97
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 宮川 高一, 藤崎 知文, 佐藤 栄子, 松尾 哲, 石橋 俊, 高橋 慶一, 村勢 敏郎
    1988 年31 巻2 号 p. 99-107
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病にChylomicroncmia (以下CM) を合併した10症例について, 臨床的特徴ならびにその経過を検討した.患者の内訳はIDDM2例, NIDDM8例で, 極期の血清トリグリセライド値は4,683±3,165mg/dl (1,497-11,240mg/dl) で全例CMを呈した.これらのCMの臨床経過を観察するとIDDM2例を含む4例ではインスリン治療によりすみやかに改善され, 血清TG値は完全に正常化した.他の6例はインスリン治療ないしは糖尿病に対する厳格な食事療法などで, 著明な高トリグリセライド血症の改善が見られたものの, 改善の速度は前者に比して遅延し, 治療後も完全には正常化するには至らなかった.また後者では過食, アルコール摂取などによりCMは反復して発症し, 家族内に高脂血症の発症が認められた.以上の結果より, 糖尿病に合併するCMは少なくとも2群に大別することができる.それぞれの群の臨床的特徴について分析し, CMの病因について考察を加えた.
  • 押田 芳治, 佐藤 祐造, 井口 昭久, 植村 和正, 岡田 節朗, 坂本 信夫, 高橋 英世, 榊原 欣作
    1988 年31 巻2 号 p. 109-115
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高気圧酸素療法 (HBO) 中, 糖尿病患者が低血糖に至る例を少なからず経験している.そこで, 糖尿病患者17名と健常者6名を対象に, 2絶対気圧, 75分間のHBO下での内分泌・代謝変動について検討を行った.血糖および血中FFA, グリセロール, ピルビン酸, 乳酸, インスリン, グルカゴンの各濃度をHBO実施中15分間毎に測定した.
    糖尿病患者において, 血糖および血中グルカゴンはHBO開始とともに有意に低下した (p<0.05~0.005).他のメタボライト, インスリンは有意の変化を示さなかった.
    健常者では, 血中乳酸はHBO開始後有意に減少した (p<0.05~0.01).HBO開始前値に比して有意ではないが, 血糖は上昇し, 血中グルカゴンは低下した.他のメタボライト, インスリンは有意の変動を呈さなかった.
    以上の成績より, HBO環境下において, 糖尿病患者では血糖が低下し, 一方, 健常者では血糖が上昇傾向を示した.したがって, 今後インスリン感受性や肝での糖新生などの研究を行う必要があると思われる.
  • 尿糖, 随時血糖値を用いて
    松本 康子, 石橋 信三, 三登 和代, 伊藤 千賀子
    1988 年31 巻2 号 p. 117-124
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病の一次Screeningとして随時尿糖検査の意義を検討すると共に, 随時血糖検査による糖尿病screening基準の設定を目的として21,560例に尿糖, 尿中Ascorbic Acid (A.A.), 全血血糖値 (BG) を測定した.そのうち781例には1ヵ月以内に75gGTTを行った. (1) 糖尿病治療中の者を除外した尿糖陽性率は男6.9%, 女2.2%であった.食後経過時間別に尿中AA陽性群と陰性群の尿糖陽性率を比較したが差は見られず, 集団検診時の尿糖検査では尿中AAの影響を考慮する必要はないと考える. (2) 尿糖陰性者の血糖値分布から, screening基準値として食後0.5~1.0hBG130mg/dl, 1.5~2.0hBG 120mg/dl, 2.5~3.0hBG 110mg/dl, 3.5h以上またはFBG 100mg/dlと設定した.随時RGによる基準値を用いるとFPG≧140mg/dlの糖尿病型の見逃し率は男0%, 女1.4%であり, 随時尿糖検査のみの場合に比して低率であった.食後尿糖検査による一次screeningは簡便で有効な検査法であるが, 空腹時が含まれている場合は随時BG検査が尿糖検査より有効と言える.
  • 鹿住 敏, 芳野 原, 馬場 茂明, Mladen Vranic, George Steiner
    1988 年31 巻2 号 p. 125-131
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性の高インスリン血症が超低比重リポ蛋白 (VLDL)-中性脂肪 (TG) の血中代謝動態に与える影響を2週間連続してインスリン注射をしたラットで検討した.インスリン投与 (1) 群では重篤な低血糖防止のため固型飼料に加えて蔗糖を自由に摂取させたので, インスリン非投与, 蔗糖投与 (S) 群と蔗糖非投与群の2群を対照とした.S群では前1糖は21%, インスリンは142%, TGは46%増加したが, 血中へのTG分泌率は不変であった.蔗糖摂取によりTGの血中からの除去障害が惹起されたことが示唆された.1群では血糖の低下と著明な高インスリン血症が見られた.TG分泌率は2つの対照群に比し約30%増加したにもかかわらず, TGはS群の50%へと減少した.高インスリン血症がTGの分泌率より除去率を, より一層増加させたということを示唆する.以上, 外因性高インスリン血症はラットにおいてVLDL-TGの血中代謝動態を亢進させた.
  • 宮井 陽一郎
    1988 年31 巻2 号 p. 133-141
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラット遊離脂肪細胞における2-3H-glucoseの取り込みとインスリン結合に及ぼすヒトのインスリン抗体 (「イ抗体」) の影響を検討した.実験には,「イ抗体」に起因したインスリン抵抗性糖尿病者の血清からmonocomponent insulinをligandとしたaffinity chromatographyによって純化した「イ抗体」を使用した.その結果, 以下の成績を得た. (1) IgG濃度1.6μg/mlの「イ抗体」はインスリンのglucose取り込み作用を抑制した. (2) 0.01μg/mlと0.001μg/mlの「イ抗体」は, インスリン非存在下でglucose取り込み作用を示し, この作用はtrypsin処理脂肪細胞でも認められた. (3) 0.01μg/mlの「イ抗体」はインスリン非存在下ではインスリン受容体の親和性を上昇させたが, インスリン存在下では親和性に変化を及ぼさなかった.以上の成績から,「イ抗体」に起因したインスリン抵抗性の糖尿病者では,「イ抗体」はインスリンの効果を減弱, あるいは増強させる以外に,「イ抗体」自体がインスリン様作用を有するなど多様な作用を有している可能性が示された.
  • 大星 千鶴子, 弘田 明成, 清水 一郎, 島 健二
    1988 年31 巻2 号 p. 143-147
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラット組織の酸煮沸抽出物におけるglucagon-like peptide-1 immunoreactivity (以下GLP-1 IR), glucagon immunorcactivity (以下GI). glucagon-like immunoreactivity (以下GLI) 含量, およびそれらの分子形態を, radioimmunoassayを用いて検討した.
    GLP-1 IR, GI, GLIは, いずれも膵においてもっとも高濃度に存在した.さらにGLP-11R, GLIは大腸回腸, 空腸と広範囲に検出された.分子形態はいずれも膵と腸管とでは異なっていた.特にGLP-1 IRは膵臓では, GLP-1 (1-37)[proglucagon (72-148)] よりもむしろ分子量約13,500の大分子型が主要成分であった.一方腸管では主にGLP-1の活性型とされている小分子型GLP-1 (7-37) または (7-36NH2)[proglucagon (78-108) または (78-107NH2)] と推定される免疫活性の存在が確認された.
  • 網膜症の進展との関連
    久保 明
    1988 年31 巻2 号 p. 149-155
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性網膜症 (以下網膜症) の進展と血小板活性化状態の関連を明らかにする目的で, 網膜症各病期における血小板凝集能, 血小板特異蛋白β-thromboglobulin (以下β-TGと略す), platelet factor-4 (以下PF-4と略す) の血漿中濃度および,.血小板内含有量, さらに, ヘパリン静注負荷前後の血漿中PF-4濃度の変化について検討した.対象はインスリン非依存型糖尿病男性48名であり, 健常者16名を対照 (A) とした.糖尿病症例は網膜症の所見により, mild (B), stable (C), progressive (D) の3群に分類した.mild (B) 群ではβ-TGおよびPF-4の血漿中濃度, 血小板内含有量, ヘパリンによるPF-4の濃度変化は健常者と有意差を認めなかった, prc-proliferative stage以上にあるC群の血漿中濃度は健常者に比し, β-TG (51.4±25.9ng/ml vs. 29.0±13.0ng/ml, M±SD p<0.05), PF-4 (21.1±11.2ng/mlvs. 8.5±4.8ng/ml, M±SDp<0.01) が高値であった.一方同群のPF-4血小板内含有量は健常者に比し有意の減少を呈した (p<0.05).網膜症がC群と同じstageにあり, 現在進行しつつあるD群の血漿中濃度はβ-TGが21.0±5.3ng/ml., PF-4が4.5±1.9ng/ml (M±SD) とむしろ低値で, 血小板内含有量もβ-TGは29.8±4.5pg/platclet, PF-4は11.2±0.9pg/platelet (M±SD) と減少していた.C, D両群とくに後者は一種の“acquircd storagc pool deficiency”状態を呈していることが示唆された.
    D群では血漿中β-TG, PF-4が低値となるが, ヘパリン静注負荷前後の血漿PF-4値の増加が27.6±11.7ng/mlと4群中最も高値になることから血管内皮細胞も関与している可能性が考えられた.
    以上より, 網膜症が同じstageにあっても, 現在進行しているか否かにより血小板活性化状態に差異があり, 血管内皮細胞も血小板の活性化, および網膜症の進展に関与している可能性が示唆された.
  • 藤井 繁樹, 松下 正幸, 早川 みち子, 高木 洋, 河口 明人, 桝田 出, 脇 昌子, 洪 秀樹, 西大條 靖子, 都島 基夫, 南部 ...
    1988 年31 巻2 号 p. 157-162
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存性糖尿病患者に血糖コントロールを主目的にclefibrate (以下, Cと略す) を投与中, 一過性の筋肉痛とCPKやLDHなどの血清酵素値の増加を特徴とする急性筋症候群を示す2症例を経験した.症例1;58歳女性でC1,500mg投与により尿糖排泄量は減少・陰性化したが投与開始後6日Rより筋肉痛を訴え血清酵素値の増加 (CPK6,628U/l, LDH696U/l) と高血糖が生じた.直ちにC投与を中止したところ21日目には自覚症状が消失し10日目までに酵素値は正常化した.生検で筋細胞の散在性萎縮像が確認された.ヒトNPHインスリンを併用しCを少量より再投与したところ再発をみずに良好な血糖コントーロルが得られた.症例2: 58歳女性で糖尿病性ketoacidosisで入院後, 同症候群の発症をみたが慎重に経過観察しながら投与を続行したところ症状は消失し酵素値は正常化した。最終的にインスリン治療を離脱しC単独投与で良好な血糖コントロールが得られた.
  • 井関 恵子, 大森 安恵, 清水 明実, 東 桂子, 秋久 理真, 平田 幸正
    1988 年31 巻2 号 p. 163-168
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, 厳格な糖尿病管理と良好な新生児管理によって, 糖尿病妊婦も正常婦人と変わらない分娩結果を得られるようになって来たが, 網膜症や腎症をもつ婦人の妊娠はまだhigh riskである.今回, 9歳発症罹病18年のインスリン依存型糖尿病で, 腎症に腎盂腎炎を併発, 妊娠27週の早産で511gの極小未熟児を分娩, 生児を得た1例を経験したので報告する.
    症例は27歳.妊娠16週で高血糖を主訴に紹介され初診.25歳持続性蛋白尿を認め, 妊娠10週より腎盂腎炎を併発していた.初診後直ちに入院.インスリンの頻回投与と抗生剤投与にて血糖は正常化し, 炎症も消褪した.しかし, 徐々に高血圧, 腎機能低下が出現, 各種降圧剤投与にても血圧上昇, 腎機能低下は進行し, 胎児の発育遅延を認め, 妊娠27週で胎児切迫仮死徴候が出現したため帝王切開となった.分娩後, 母体の血圧および腎機能は安定し, 児は5ヵ月で1, 6009まで無事成長した.
  • 永田 登志子, 梅田 幸久, 浦上 昌也, 稲田 満夫
    1988 年31 巻2 号 p. 169-171
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    The activities of urinary dipeptidyl aminopeptidase iv (U-DAP IV) and N-acetyl-β-D-glucosaminidase (U-NAG) were determined in 11 non-insulin dependent diabetics (NIDDM) without proteinuria (DP (-)), 6 NIDDM with proteinuria (DP (+)), 27 patients with impaired glucose tolerance (IGT) and 15 normal controls. We evaluated only subjects in their forties to minimize the influence of the age factor.
    U-DAP IV levels in DP (+), DP (-), and IGT patients (34.5±31.6, 11.8±5.3, 7.2±1.4μmol/mg. creatinine, mean±SD, respectively) were significantly higher than that in controls (5.7±0.8). On the contrary, the U-NAG level in DP (+) was significantly higher than that in controls, but there was no significant difference in U-NAG level between controls and DP (-) or IGT.
    In IGT, DP (-), and DP (+), significant correlations were found between U-DAP IV and U-NAG levels. Six of 27 1GT (22%), four of 11 DP (-)(36%), and two of six DP (+)(33%) showed normal U-NAG and high U-DAP IV levels, but none had normal U-DAP IV and high U-NAG levels.
    These results suggest that the determination of U-DAP IV may be more useful than that of U-NAG for the early detection of diabetic glomerulopathy.
  • 1988 年31 巻2 号 p. 173-183
    発行日: 1988/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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