糖尿病
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44 巻, 2 号
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  • 川角 正彦, 三俣 昌子, 島田 聡, 有坂 知之, 吉田 洋二, 河盛 隆造
    2001 年 44 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    近年, 糖尿病患者の血管内皮細胞機能が障害されていることが報告されており, その原因物質として蛋白後期糖化生成物であるadvanced glycation endproducts (AGEs) が考えられている. 本研究では, ウシ血清アルブミン (BSA) を用いて作成したAGE-BSAを加えた培養液中でブタ大動脈内皮細胞 (内皮) を培養し, 細胞のglycosaminoglycans (GAGs) 産生・分泌とDNA合成 ([3H]-thymidine取り込み) に対するAGEsの影響を検討した. GAGs産生・分泌量はAGEBSAを添加することで有意に減少し1mg/mlの濃度で55時間添加では対照の86%(p<0.05), 73時間添加培養した時は非糖化BSA群 (対照) の75%(p<0.01) となった. さらに添加量を変化させると, 0.5mg/mlではGAGsは対照の87%(p<0.05), 1mg/mlでは対照の84%(p<0.05) となった (78時間培養). thymidine取り込みはAGE-BSAlmg/ml, 48~60時間処置群で対照の68-44%(p<0.01) となった. これらのAGE-BSAの作用は, 抗酸化剤であるprobucolを加えることによって阻害された. 内皮が産生するGAGsのほとんどは血管. 壁で抗凝固性に働くheparan sulfate proteoglycan (HSPG) であることが知られているが, 本実験結果から, AGEsは内皮のDNA合成能とHSPG産生を抑制する可能性が考えられ, 血管壁凝固阻止機能等の内皮機能を障害する可能性が示唆された. また, これらのAGEsの作用機序に酸化ストレスが関与すると考えられた.
  • 片桐 あかね, 橋本 修二, 大橋 靖雄, 葛谷 信明, 金澤 康徳
    2001 年 44 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病財団の監修により作成された糖尿病教育用ビデオの効果の評価を, 関東1都6県, の保健所と市町の保健センターで実施された11の糖尿病教室の受講者 (281人) を対象として前向きに行った. 教室ことにビデオ再生機を有する者からビデオ群をランダムに決め (138人), 残りとビデオ再生機を有さない者を対照群 (143人) とした. ビデオ群には教室期間中に自宅でビデオ視聴を行うよう依頼した. 糖尿病教室初日に, 糖尿病の知識, エネルギー摂取量HbA1cを調査し, 教室最終日に糖尿病の知識, 教室終了2ヶ月後にエネルギー摂取量とHbA1cを再調査した. 前後の調査が実施された198人について解析したところ, ビデオ群は対照群に比べて, 糖尿病の知識得点の増加が有意に大きかった (+6.0対+4.6, p=0.031). しかし, エネルギー摂取量とHbA1cの変化量には統計的な有意差が認められなかった.
  • 尾崎 方子, 山崎 浩則, 山口 義彦, 近藤 英明, 藤田 成裕, 山内 三爵子, 安部 幸弘, 山川 賢一, 世羅 康徳, 魚谷 茂雄, ...
    2001 年 44 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    グルタチオン (以下GSHと略す) は, 過酸化水素や種々の有機過酸化物の還元・消去に関与し, 抗酸化機構において重要な役割を担っている. GSHのインスリン遺伝子発現調節に対する影響を検討するために, GSHの律速酵素γ-Glutamylcysteine Synthetase (以下γ-GCSと略す) に対するリボザイムをMIN6細胞に安定遺伝子導入し, 細胞内GSH含量が減少したMIN6細胞に対しヒトインスリン遺伝子上流領域 (-1998から+237まで) を挿入したルシフェラーゼ発現ベクターを一過性遺伝子導入してGSH含董のインスリン遺伝子発現に対する影響を検討した, 結果はγ-GCSに対するリボザイムを導入したMLN6の方が, 野生型MIN6およびMOCKと比較してそれぞれの約15倍および5倍と有意にルシフェラーゼ活性は上昇していた. またインスリン遺伝子上流領域のdeletion construct (-879から+237) を, リボザイムを遺伝子導入したMLN6に一過性遺伝子導入した場合, 野生型MIN6と比較して約30%のルシフェラーゼ活性の低下が認められた. このことから, 細胞内GSH濃度の低下がインスリン遺伝子の発現調節に関与している可能性が考えられる.
  • 検診結果からみて
    亀谷 富夫
    2001 年 44 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    検診受診者4114名を対象として, 高血圧と肥満, 糖尿病, 高TG血症の各因子の独立性について検討した. 高血圧の頻度は糖尿病群では正常群の1.59倍 (95%6信頼区間1.08~234), 肥満群では1.85倍 (1.47~2.34), 高TG血症群では1.41倍 (1.15~1.72) であった請また高血圧の頻度は危険因子1個では1.83倍 (1.46~2.29) に, 危険因子2個ではで3.04倍 (1.93~4.78) に, 危険因子3個では5.14倍 (2.67~9.92) に増力口していた. 平均血圧値と年齢, 肥満度, 空腹時血糖値, TG値との間には重回帰分析にて有意な相関関係が認められた. 以上の結果より, 耐糖能異常, 肥満, 高TG血症は, それぞれ独立した高血圧の関連因子と考えられた.
  • 池澤 嘉弘, 鴨井 久司, 高木 正人, 金子 兼三, 佐々木 英夫
    2001 年 44 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    今回, 103名 (男47名, 女56名) のスルフォニルウレア剤2次無効例における抗GAD抗体陽性例と陰性例の臨床像を比較し, 抗GAD抗体測定の臨床的意義を検討した, 抗GAD抗体の陽性率は約3096であった. 陰性群に比較して陽性群のBMIは低値であった. 陽性群では発見からインスリン療法までの期間は短く, 尿中CPR排泄量は少なく, インスリン必要量は多く, インスリン治療後も血糖コントロールは悪かった, また, 甲状腺自己抗体の頻度も高かった. 合併症は網膜症や末梢神経障害が多い傾向を示した. 以上の結果から一部のスルフォニルウレア剤2次無効の糖尿病は自己免疫機序による1型糖尿病の混在が原因であると推定され, 2型糖尿病と思われる症例でも抗GAD抗体を測定する必要性が示唆された.
  • 宗宮 基, 森 俊明, 越村 邦夫, 加藤 譲
    2001 年 44 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 男性. 約10年前に球脊髄性筋萎縮症 (SBMA) と診断され, 7年前に糖尿病と診断された. 一時, グリクラジド20mg/日の投与が開始されたが, 嘔気が出現するため中止され, 5年前に当科を紹介受診した. 家族歴では祖父にSBMAの発症を認めた. 本例のアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート数は47と増力口, 食事療法と運動療法の遵守にも関わらず, HbAIcは増悪と改善を繰り返した. 血清GPTとCKはHbA1cと平行して推移し, CKの分画は常にMM型優位であった. CKとHbA1c間 (r=0.535, p=0.0103), GPTとHbA1c間 (r=0.475, p=0.0294), アルドラーゼとHbA1c間 (r=0.795, p=0.0326), CKと空腹時血糖間 (r=0.494, p=0.0225) にそれぞれと有意な正相関を認めた.
    本症例は, 筋原性酵素によって示される筋組織障害と血糖コントロールが関連することを示唆する貴重な症例と考えられる.
  • 山川 正, 伊藤 譲, 河崎 さつき, 向笠 浩司, 伊藤 聡, 佐藤 忍, 斉藤 達也, 関原 久彦
    2001 年 44 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は糖尿病歴約40年の77歳男性. 血糖コントロールはHbA1c9%前後と不良であった. 構語障害, 左半身麻痺を主訴に来院し, 頭部CTにて, 右被核に脳梗塞を認め, 当科に入院となった. 末梢静脈よりヘパリンの持続投与を開始した. その後, 食思不振右下腹部痛, 右鼠径部痛が出現し, 同時に, 貧血が急速に進行 (Hb9.0から6.3g/dlへ低下) した. 腹部CTにて, 右腸腰筋内に不均一な高吸収域を認め, 腫瘤と腸腰筋の境界は不明瞭であり, 腸腰筋血腫と診断した. 濃厚赤血球輸血などの保存的治療により右腸腰筋血腫は縮小し, 貧血の進行もなく止血したもの思われた. 糖尿病は動脈硬化の危険因子の一つであり, 特に糖尿病歴の長い高齢者では高血圧, 高脂血症などの他の危険因子を合併していることが多く, 血管壁が非常にもろくなっていると考えられる. 腸腰筋血腫は比較的希な疾患であるが, コントロール不良で合併症の進行した糖尿病患者に抗凝固療法を施行する場合には十分注意する必要があると思われた.
  • 石井 主税, 太根 伸能, 根岸 清彦, 片山 茂裕
    2001 年 44 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性で, 20年来の2型糖尿病, 1999年頃から外来受診時の食後2時間血糖値250mg/dl前後, 血清グリコアルブミン値2696前後と高値を認めたが, HbA1c値は6~6.696程度であり, 血糖値とHbA1c値との乖離が疑われた. HPLCによるHb分析では異常Hb症は否定的であり, 赤血球の形態学的異常も認められなかった. 一方, 血液生化学的検査では貧血・溶血を示唆するデータは認めなかったが, 塵接クームス試験陽性であり赤血球寿命もt1/2=20日と軽度短縮しており, HbA1c低値の原因と診断した. これまで本症例と同様の機序による血糖値とHbA1c値との解離例は海外で1例が報告されているが, 本邦での報告例はない. 今後HbAIC低値例の原因検索を行う上で, 明らかな溶血所見を伴わなくとも自己免疫性溶血の可能性を念頭に検索することが重要と考えたので報告した.
  • 石田 和久
    2001 年 44 巻 2 号 p. 161-162
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    経口糖尿病薬は, 従来のSU薬に力口えα-グルコシダーゼ阻害薬 (α-Gl薬), インスリン抵抗性改善薬等が製品化され処方件数も増えている. しかし, 患者にとっては服用薬剤の種類が増力口し, さらに服用方法が複雑化した. この影響は年代間で異なり, 60歳以上ではコンプライアンスの低下が目立っていた. 経口糖尿病薬による治療成績向上のためには, 年代間の意識に応じたきめ細かい服薬指導を実施することが大切である.
  • 富永 真琴, 小林 功, 桑 克彦, 武井 泉, 星野 忠夫, 芳野 原, 菅野 剛史, 片山 善章, 葛谷 英嗣, 桑島 正道, 田港 朝 ...
    2001 年 44 巻 2 号 p. 165-176
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本糖尿病学会の「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」は日本臨床化学会や日本臨床検査自動化学会の専門委員会と連絡を取りながら, また共同し, 現在日本で販売されている6種の血糖自己測定 (SMBG) 機器の標準化と適正使用に資する目的で調査を行った. また, ISO (国際標準化機構)/TC212 (臨床検査と体外診断システムに関する専門委員会) が準備しているSMBG機器の規格を満足するものであるかどうかの先行的調査も兼ねた. 調査として (1) メーカーアンケート, (2) 機種間差に関する実態調査, (3) 日本糖尿病学会評議員アンケートを行った. メーカーアンケートからMSO/TC212規格は満足できていることを確認できたが, 血糖自己測定器の血糖値の表示には何らかの補正や換算を力口えていることが明らかになった. 実態調査から機種間差があることが明らかになり, 補正耳朶血漿値に近い測定値の機種, 静脈血漿値に近い測定値の機種, この中間の測定値の機種があった. 糖尿病学会評議員のアンケートによれば測定値の表示に関し, 測定値をそのまま表示することと静脈血漿値に換算することに意見は相半ばしていた. しかし, 比較対照法と校正法を統一しなければ機種間差を解消することは難しいので今後の課題であり委員会として引き続き, 検討を続ける. そして, 機種の特性に関する情報が糖尿病患者の指導に責任を持つ医師や糖尿病療養指導士およびエンドユーザーである患者にリソース・ガイドなど通じて広報されることも大切ではないかと思われた.
  • 2001 年 44 巻 2 号 p. 179-188
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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