糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
33 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • two compartment modelにおけるparameterの算出
    浅野 喬, 金塚 東, 桜田 正也, 牧野 英一, 山本 登士, 奥村 恂, 吉田 尚, 梶沼 宏
    1990 年33 巻5 号 p. 359-363
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    NIDDM患者9例に, 健常者13例と対比して, biosynthetic human C-peptide (BHCPと略す) 75μgを注入し, 血中動態を解析した.すなわちt1/2, distribution space (DS), metabolic clearance rate (MCR) およびtwo compartment (cmptと略す) モデルのtransfer rate constantを算出した.t1/2は健常者およびNIDDM患者は, それぞれ37.5±1.2min, 39.8±4.5min, DSは71.8±3.1ml/kg, 92.7±6.8ml/kgであり, 体重当たり7.8%および9.1%に相当した.MCRは4.5±0.2ml/kg/min, 5.8±0.5ml/kg/minであった.モデルparameterは, 血管内C-peptideをpool1, 血管外をpoo12とすると, 健常者のK21, K12, K01 (min-1) はそれぞれ0.09962, 0.0688, 0.05608, NIDDMは, それぞれ0, 10254, 0.07981, 0.05107であった.両者間には有意差はみられなかった.
  • 戸川 雅樹, 吉川 隆一, 羽田 勝計, 江端 一彦, 古家 大祐, 前田 士郎, 堀出 直樹, 繁田 幸男
    1990 年33 巻5 号 p. 365-371
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    型糖尿病患者62例を3年間追跡調査し, microalbuminuriaの出現頻度, 進行度および進行に影響を与える因子, 特に血圧について検討した.1985年にmicroalbuminuriaを呈した例は全体の24.2%を占めた.3年間でnormoalbuminuriaからmicroalbuminuriaに進行した患者は25.5%でありmicroalubuminuriaが出現する時期より収縮期血圧の上昇が認められた.microalbuminuriaから顕性糖尿病性腎症に移行した例は3年間に26.7%であり, これらの症例ではmicroalbuminuriaの時期より血圧が有意に上昇していた.[結論](1) II型糖尿病においてnormoalbuminuriaからmicroalbuminuriaへの進行が短期間に, しかも高頻度で生じた. (2) normoabluminuriaからmicroalbuminuria, さらに顕性腎症への進行と収縮期血圧の上昇との間に関連性が認められ, II型糖尿病においても血圧のコントロールが糖尿病性腎症の進行防止に重要である可能性が示唆された.
  • 久保田 稔
    1990 年33 巻5 号 p. 373-378
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    膵全摘出犬におけるブドウ糖負荷時に, 人工膵島を用い, 門脈内と末梢静脈内にインスリンを注入し, 注入経路の差異による血糖制御特性の相違を追求した.3H-glucoseをtracerとするdilution methodにより内因性ブドウ糖産生率 (Ra), 全身でのブドウ糖代謝率 (MCR) を, また片側後肢動静脈濃度較差法より末梢組織ブドウ糖摂取率 (EX) を計測した.末梢静脈内注入による生理的血糖制御に要したインスリン量を門脈内に注入した際末梢血インスリン濃度とEXは低値を呈したが, 血糖応答, Ra, MCRに差を認めなかった.末梢血インスリン動態を末梢静脈内注入時と同一とするため, 門脈内に1.7倍量のインスリンを注入した際血糖応答, Ra, MCR, EXいずれも末梢静脈内注入時と一となった.以上の結果,(1) インスリン注入経路によりブドウ糖処理臓器に差異があること,(2) 門脈内注入では正常血糖応答を得るインスリン注入量の範囲が大である事が認められた.
  • 皮下注インスリンの場合
    尾山 秀樹, 米田 正也, 津島 公, 松木 道裕, 西田 聖幸, 堀野 正治
    1990 年33 巻5 号 p. 379-385
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン抗体保有糖尿病患者において, 血中遊離インスリン (遊離イ) と総インスリン (総イ) の動態を検討した.総イの測定は今回新たに開発した酸-アルコール法によった.本法を従来のPEG法と比較すると総イ測定値には高い相関性がみられたが, 共沈が大幅に少なく, 回収率も優れていると考えられた.本法で採血直後から測定までの遊離イと総イの経時的変化を調べたが, 通常の方法で血清を分離し凍結保存しても測定値に著しい変化はなかった.22例の抗体陽性者でインスリン皮下注射前と後2時間の遊離イと総イ増加量の同時測定を行ったところ, ほぼ全例で後者の方が大であった.またインスリン抗体レベルの高い群と低い群で遊離イ増加量を比較したが, 有意の差はなかった.しかし抗体結合インスリンの増加量は抗体レベルの高い群で明らかに大きく, 抗体によるインスリン代謝の遅延が原因と思われた.
  • 温度差識別閾値測定法の開発と臨床応用
    馬嶋 素子
    1990 年33 巻5 号 p. 387-393
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者の末梢神経障害の総括的評価には, 大径神経, 小径神経および自律神経の機能の検討が必要とされる.このうち小径神経の機能の評価法には従来満足すべきものがなかった.そこで著者は小径神経機能の指標として温度覚を選び, これをルーチンに, かつ定量的に測定可能とする簡便な装置を開発し, NIDDM患者に応用し下肢で温度差識別閾値 (TDT) を, また振動覚閾値 (VPT) を測定し以下の成績を得た. (1) TDT値の異常は糖尿病患者の43%に出現し, VPT値の異常 (50%) と同程度であった. (2) TDT値およびVPT値は末梢神経障害の臨床症状を伴う例では, 伴わない例より有意に高値を示した. (3) 自律神経症状を伴う群のTDT値は, 伴わない群に比べ有意に高値を示した. (4) 自律神経症状を伴う患者14例全例が温度覚異常を示した.NIDDM患者において温度覚異常をルーチンに検討することにより, 糖尿病性末梢神経障害を包括的に評価することが可能となると思われる.
  • 松本 元作, 松本 英作, 別所 寛人, 菊岡 弘芳, 南條 輝志男, 大島 章
    1990 年33 巻5 号 p. 395-400
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    基底膜構成成分であるIV型コラーゲンの測定系を新たに開発し, その血中濃度はその生合成の活動性を反映すると報告している.新たな測定系を用いて, 基底膜病変が基礎をなす糖尿病性合併症における血清IV型コラーゲンの測定意義を検討した.血清IV型コラーゲン値は合併症のない糖尿病患者にて, 健常者に比しすでに有意 (P<0.01) に高く, 罹病期間および糖尿病性腎症, 網膜症, 神経症の進展とともにその値はさらに増大した.また, 糖尿病患者の血清IV型コラーゲン値は血中尿素窒素, クレアチニン, 血中β2-microglobulin異常高値群で, 正常値群に比し有意 (P<0.01) な高値を呈したが, 尿中β2-microglobulin, β-N-acetyl-D-glucosaminidaseの異常の有無による差異は認められなかった.以上より, 血清IV型コラーゲン値は糖尿病性細小血管症の活動性を追跡する指標としての意義を有すると考えられた.また, 腎糸球体濾過機能との密接な関連性も示唆された.
  • 内田 光枝, 半田 みち子, 石橋 潤, 岡島 重孝, 丸山 博, 片岡 邦三
    1990 年33 巻5 号 p. 401-405
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは糖尿病性ケトアシドーシスの発症時にrhabdomyolysisと急性膵炎を合併し, 急性腎不全をきたした症例を経験した.症例は28歳男性でこれまで糖尿病を指摘されたことはなかった.飲酒翌日より嘔気嘔吐が出現し, 3日後に意識障害のために緊急入院.入院時検査で高血糖, ケトン尿, 代謝性アシドーシス (pH6.99) などから糖尿病性ケトアシドーシスと診断した.同時に腎機能障害, 血清CPK, アミラーゼ, リパーゼ, トリプシンの上昇を認め, さらに高ミオグロビン血症, ミオグロビン尿症が確認された.ケトアシドーシスと膵炎に対し輸液, インスリン, FOYが投与され急性腎不全も血液透析にて軽快したが, 糖尿病はインスリン依存性のままであった.急性腎不全の原因としてrhabdomyolysisの関与が考えられた.また急性膵炎と糖尿病性ケトアシドーシスの関連につき考察した.
  • 光川 知宏, 武村 次郎, 野田 俊一, 森 憲正, 松倉 茂
    1990 年33 巻5 号 p. 407-411
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性.第2子妊娠中に初めて糖尿病を指摘された.インスリン分泌は低下しており, ICSA弱陽性, 抗下垂体抗体および甲状腺自己抗体も陽性であった.妊娠中はインスリンで, 分娩後は食事療法のみで治療されていたが, コントロールが不良となり当科入院.7590GTTではインスリンの分泌反応はほとんどみられず, グルカゴン負荷試験でも血中CPRの反応は低下していた.ICSA, DR4抗原が陽性.インスリン療法にて糖尿病のコントロールは良好となった.一方, び漫性甲状腺腫を認め, 甲状腺自己抗体陽性であり, 慢性甲状腺炎と診断した.入院後血漿TSHが上昇し, 甲状腺機能低下の状態となったが, 3カ月後には甲状腺機能は正常化し, 分娩後一過性甲状腺機能低下症と診断した.本症例では, 抗下垂体抗体, rCSAおよびDR4抗原が陽性で, また慢性甲状腺炎を合併しており, 糖尿病の病因に免疫学的機序の関与が強く示唆され, slowly progressive IDDMと考えられた.
  • 竹越 忠美, 木藤 知佳志, 羽場 利博, 平井 淳一, 若杉 隆伸, 嵯峨 孝, 山崎 義亀与, 馬渕 宏
    1990 年33 巻5 号 p. 413-419
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Lp [a] リボ蛋白が高値例では虚血性心疾患の頻度が高いことが知られている.細小血管症を伴った糖尿病患者に高Lp [a] 血症を伴った症例を経験した.症例は72歳男性で胸部圧迫感, 下肢浮腫, 視力障害を主訴として入院.TC282mg/dムTG133mg/dムHDL-C48mg/dlで糖尿病性腎症によるネフローゼ症候群の状態であった.アガロース電気泳動ではExtraβリボ蛋白を認めた.DISC電気泳動ではmid-bandを認め抗Lp [a] 血清で反応した.Lp [a] は134mg/dlと正常値の18.6±0.9mg/dlに比して著明に高値であった.等電点電気泳動によるアポE表現型はE4/2を呈した.同胞2名, 子供2名はいずれも正脂血症でLp [a] は各々, 24, 21.8, 23, 9.8mg/dlと正常であった.本症例では負荷ECG, 負荷心筋スキャンにて虚血性心疾患が認められたが冠動脈造影ではSegment1, 3, 7にそれぞれ25%の狭窄を認めた.ネフローゼ症候群や腎不全を伴う糖尿病患者ではLp [a] が高い症例が多く動脈硬化に促進的に作用する可能性があり今後慎重に経過を観察していく必要があると思われる
  • 井垣 直哉, 山田 浩幸, 坂井 誠, 増田 章吾, 中道 恒雄, 前田 裕一郎, 秦 文彦, 老籾 宗忠, 加藤 博通
    1990 年33 巻5 号 p. 421-424
    発行日: 1990/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    The Maillard reaction has attracted attention because of its possible involvement in diabetic complications. Recently, prevention of diabetic complications by inhibiting the Maillard reaction has been widely studied. We investigated in-vitro inhibition of the Maillard reaction by (E)-[(2, 6-dichlorobenzylidene) amino] guandine acetate (guanabenz acetate), an α2-adrenergic agonist and antihypertensive agent. Guanabenz acetate is an aminoguanidine structurally.
    Guanabenz acetate inhibited the glucose-induced polymerization of lysozyme and acted on 3-deoxyglucosone, an active intermediate of the Maillard reaction, to inhibit the increase in fluorescence intensity of the Maillard products stimulated by 3-deoxyglucosone. These results suggested that the effective inhibition of the Maillard reaction by guanbenz acetate may be useful clinically in preventing diabetic complications in diabetics with hypertension in light of the fact that guanabenz acetate has already been used as an antihypertensive agent without major side effects or impairment of long-term diabetic control.
feedback
Top