症例1は40歳, 女性. 1986年頭痛, 無月経が出現翌年頭蓋咽頭腫と診断され, 腫瘍部分摘除術を受けた. 術後尿崩症となり, デスモプレシン (DDAVP) 投与を受けたが, 1989年中断1990年夏頃より多尿, 多食が出現し, 1991年1月意識障害のため当科入院. 著明な脱水があり, 血糖521mg/d
l, 血清Na175mEq/
l, 血清Cl139mEq/
l, 血漿浸透圧381mosm/kg, 血液ガスpH7.46であり, 高浸透圧性糖尿病性昏睡と診断. 補液, インスリン, DDAVP投与により軽快.
症例2は34歳, 女性. 1981年より頭痛出現. 1990年視力障害出現し, 頭蓋咽頭腫と診断され, 腫瘍摘除術施行術後尿崩症となりDDAVP投与を受けたが, 多尿が続き, 清涼飲料水を多飲していた. 1991年1月意識障害が出現し当科入院. 血糖766mg/dl, 血液ガスpH7.29血清Na159mEq/
l, 血清CI126mEq/
l, 血漿浸透圧384mOsm/kgで高浸透圧性糖尿病性昏睡と診断
尿崩症患者の管理では耐糖能にも十分注意する必要があると考えられる.
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