Arginineのインスリン分泌調節機構を解明する目的で, K+-free, 6.2mM K
+, 24.8mM K
+濃度条件下 (以下条件下と略す) arginine単独刺激, ならびに6.2mM K
+medium条件下で, glucose, α-およびβ-methyl-D-glucopyranoside (以下, α-MDG, β-MDGと略す) とD-, あるいはL-arginineとの併用刺激によるラット灌流膵からのインスリン分泌動態を観察し, 速度論的に解析した.
実験成績
I.L-arginineの単独刺激効果: 2.9mM L-arginineは, K+-free, 条件下で2相性の, また24.8mM K
+条件下で一過性のインスリン分泌を惹起したが, 6.2mM Kや条件下ではインスリン分泌は殆どみられなかった.
II.D-あるいはL-arginineとglucose, α-MDG, β-MDGの併用刺激効果: 種々濃度のL-arginineと5.2mM glucose, α-MDGとの併用刺激は, 相乗的なインスリン分泌増大をもたらしたが, 5.7mML-arginineと5.2mM β-MDGはインスリン分泌を惹起しなかった.5.7mMD-arginineは, 2.6mM glucose, 5.2mM α-MDGとの併用によリインスリンを分泌しなかった.
III.インスリン分泌の速度論的解析: L-arginineのKm値は, K
+-free条件下で7.9mM, 5.2mM gluooseの併用で4.2mM, 5.2mM α-MDGの併用で4.0mMであった.
以上より, L-arginineは, arginine receptor機構を介してインスリンを分泌し, glucoreceptorと連関して分泌を高めるものと考えられた.
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