膵内・外分泌障害を示すWBN/Kobラットは緩徐に糖尿病を発症し, 種々の糖尿病性合併症が出現することを既に報告してきた.今回は, 生後14カ月齢糖尿病発症WBN/Kobラットを用いて骨代謝異常を検討した.本ラットでは血漿Ca値は同齢対照Wistarラットに比較して有意に低ドしており, 血漿Al-P値, 尿中Ca排泄量は有意に増加していた.一方, 血漿カルシトニン値は有意に低ドしていたが, PTHの上昇は認められなかった.血漿ビタミンD代謝産物に関しては, 25OHD, 24, 25 (OH)
2D値は対照ラットとの間に有意差はなかったが, 1, 25 (OH)
2D値は本ラットにおいて有意に低下していた.また血漿ビタミンK
1, Bone Gla-proteinも有意に低下していた.DEXA法による大腿骨骨塩量の測定では本ラットにおいて有意な骨塩量の減少が認められた.以上, 本ラットではビタミンD代謝異常を伴う骨減少症が認められ, さらに, その骨減少症の増悪因乙として膵外分泌障害による脂溶性ビタミンの吸収障害も考えられた.
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