糖尿病
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36 巻, 5 号
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  • 宇津 貴, 吉川 隆一, 羽田 勝計, 繁田 幸男
    1993 年36 巻5 号 p. 343-348
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高糖濃度条件下で培養したメサンギウム細胞のプロテインキナーゼC (PKC) 活性を測定するとともにPKCアイソエンザイムの変化を検討した.細胞を5.6mM glucose (control;C), 27.8mM glucose (high glucose;HG) の各条件下で培養し, 膜分画及び細胞質分画を用いて実験を行なった.3日ないし5日間培養後, 膜分画のPKC活性はC群に比しHG群で有意に増加していた.またメサンギウム細胞には, αβγの各PKCアイソエンザイムのうちαのみが存在していることが確認された.このPKC-αは, HG群では5日間培養後, C群に比し, 膜分画で有意に増加し, 細胞質分画では有意に減少していた.HG群における膜分画PKG-αの増加は, PKC活性の増加と同様に, C群の約二倍であった.これらの成績より, 高糖濃度条件下で培養したメサンギウム細胞にPKC-αの異常が生じていることが明らかとなり, この異常が同細胞の収縮機能や増殖機能の異常に関与している可能性が示唆された.
  • 影山 有恒, 中尾 保彦, 広瀬 順弥, 横田 千晶, 佐藤 啓, 鈴木 正昭, 都島 基夫, 片山 善章, 原納 優
    1993 年36 巻5 号 p. 349-357
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    わが国に多いとされる非肥満NIDDMの脂質およびリポ蛋白異常に注目し, 卓上超遠心法を用いて脂質と高感度apo B測定による分析を行い, 糖尿病コントロール, 大血管障害との関連について検討した.非肥満NIDDMは血漿およびVLDL, IDL分画でchol, TG, apo Bが増加し, LDLではchol, apo Bが高値, chol/apo Bの低値を示し, この比はHDL-cholと有意な相関を認めた.血漿脂質, リポ蛋白の異常は血糖コントロールを反映し, FBS, HbA1cの高い例ではリポ蛋白代謝の障害を強く認めた.また大血管障害合併症を有するNIDDMは合併のない症例に比し脂質代謝異常が高度であった.高βリポ蛋白血症およびLDL-chol/LDL-apoBの低値, すなわち小粒子化はコントロール不良, 大血管障害合併群でより著明である.非肥満NIDDMにおいてアポB含有リポ蛋白粒子数の増加とLDLが小粒子化することは新たな知見であり, 動脈硬化促進機序の一因として注目される.
  • 食餌制限の効果
    大内 博美
    1993 年36 巻5 号 p. 359-365
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ストレプトゾトシン糖尿病ラット (STZラット) の腎障害の進展を血糖制御が防止するか否かを明らかにする目的で, STZラット (食餌非制限STZ群) の1日摂取飼料の1/2量を摂取させた群 (食餌制限STZ群) をつくり, 尿アルブミン排泄率 (UAE) と4週後の腎糸球体基底膜 (GBM) 外透明層のanionic sites (AS) の数を測定した.UAEは, 食餌非制限STZ群で経時的に上昇したが, 食餌制限STZ群では血糖制御と同時にその上昇が抑制された.GBMのAS数は, 食餌非制限STZ群で著明に減少したが, 食餌制限STZ群ではその減少が抑制された.以上より, 食餌制限による血糖制御がSTZラットの腎障害進展防止, すなわち, GBMのheparan sulfate proteoglycanの減少を防止する効果があり, 同時に, アルブミンのGBM透過性亢進を抑制すると思われる.
  • 井神 仁, 青木 矩彦
    1993 年36 巻5 号 p. 367-375
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) における単球インスリン受容体 (IR) をフローサイトメトリー法で検討した.NIDDM患者は一般的に食事療法, スルフォニルウレア (SU) 剤療法の別なくIRは健常者に比して減少を認めた.食事療法群において空腹時血清インスリン濃度とIRとの間には統計学的に有意の負相関が認められた.糖尿病のコントロール状態が改善したNIDDM患者では, 食事療法群についてみると減少していたIRの回復および上昇していた血清インスリン濃度の低ドを認めた.しかし, SU剤投与群での糖尿病コントロール改善例をみると減少していたIRの回復を認めるとともに, インスリン濃度の上昇をも認めた.今回コントロール状態の改善を認めなかった患者では食事療法, SU剤いずれの治療においてもIRには変化を認めず, 糖尿病の治療効果発現のためにはIRの増加も重要因子であることが示唆された.
  • 骨代謝異常の検討
    森 豊, 横山 淳一, 根本 昌実, 西村 正彦, 池田 義雄
    1993 年36 巻5 号 p. 377-383
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵内・外分泌障害を示すWBN/Kobラットは緩徐に糖尿病を発症し, 種々の糖尿病性合併症が出現することを既に報告してきた.今回は, 生後14カ月齢糖尿病発症WBN/Kobラットを用いて骨代謝異常を検討した.本ラットでは血漿Ca値は同齢対照Wistarラットに比較して有意に低ドしており, 血漿Al-P値, 尿中Ca排泄量は有意に増加していた.一方, 血漿カルシトニン値は有意に低ドしていたが, PTHの上昇は認められなかった.血漿ビタミンD代謝産物に関しては, 25OHD, 24, 25 (OH)2D値は対照ラットとの間に有意差はなかったが, 1, 25 (OH)2D値は本ラットにおいて有意に低下していた.また血漿ビタミンK1, Bone Gla-proteinも有意に低下していた.DEXA法による大腿骨骨塩量の測定では本ラットにおいて有意な骨塩量の減少が認められた.以上, 本ラットではビタミンD代謝異常を伴う骨減少症が認められ, さらに, その骨減少症の増悪因乙として膵外分泌障害による脂溶性ビタミンの吸収障害も考えられた.
  • 永井 隆, 荻原 貴之, 冨沢 貴, 清水 弘行, 鈴木 弘毅, 森 昌朋
    1993 年36 巻5 号 p. 385-391
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例, 38歳, 男性. 32歳時, 糖尿病性腎症による腎不全のため週2回の血液透析開始. 36歳以後, インスリンは使用していない. 37歳以後, 透析前日の夕方, 特に誘因なく, 冷汗, 四肢の震えを自覚し, 砂糖水摂取にて軽快した. 血糖値に比してIRIはやや高値であり, 抗インスリン抗体は認められなかった. IVGTT, アルギニン負荷試験, グルカゴン負荷試験ではIRI, CPRは低反応, GH, グルカゴンは正常反応を示した. 血漿ACTH, cortisol反応にも異常は認められなかった. 投与インスリンの半減期は透析'11日, 翌日ともに7分と軽度延長していた. euglycemic hyperinsulillemic clamp studyでは末梢のブドウ糖利用率は透析前日は透析後より増加していた.本例の低血糖は腎不全に伴うインスリン半減期の軽度延長によるインスリンの血中レベルの増加と末梢のインスリン感受性の増大が透析前日に重なり出現したと思われる.
  • 平井 法博, 金森 晃, 的場 清和, 藤田 芳邦, 矢島 義忠
    1993 年36 巻5 号 p. 393-398
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    52歳, 女. 糖尿病性トリオパシーおよびガストロエンテロパシーを合併した罹病期間7年のインスリン非依存型糖尿病症例が突発した下腹部痛, 著明な炎症反応のため骨盤腔内感染症を疑われ緊急入院した. 強力な抗生物質の投与にも拘らず, 第3病日ショック状態に陥った. 超音波検査にて解離性大動脈瘤が疑われたが確定診断に至らぬまま死亡した. 剖検にて上腸間膜動脈起始部の血栓による閉塞と同動脈支配領域の腸管に壊死を認めた. 当院における最近10年間の上腸間膜動脈血栓症17症例の検討では, 特徴的症状・所見に乏しく, 平均年齢は65.1歳, 男女比14/3, 心房細動, 高血圧, 動脈硬化の合併が高率で, 死亡率は7/17例 (41.2%) と予後不良であった. 糖尿病合併は3例であった. 本症は比較的まれではあるが早期診断により救命可能であるので, とくに自律神経障害を伴う糖尿病における急性腹症の鑑別診断上留意が必要である.
  • 清水 明実, 佐中 真由実, 木戸口 裕, 大森 安恵, 福田 雅俊
    1993 年36 巻5 号 p. 399-404
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    硝子体摘出術後, 網膜症を進行させることなく, 妊娠出産に成功したインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 例を報告する. 症例は10歳でIDDMを発症し, 20歳 (1982年) の時, 網膜症の治療を受けないまま妊娠, 中絶を繰り返し, 両眼の硝子体出血を来した. 視力障害を主訴に網膜症治療のため紹介され初診した. 初診時の視力は指数弁であった. 1983年, 左眼の硝子体摘出術と両眼の汎光凝固療法を行い, 血糖のコントロールはHbA1で6~8%に保った. 増殖膜は残ったが出血は吸収され, 新生血管も退縮し, 視力は1.2に改善した. 26歳 (1988年) で妊娠を許可され直ちに受胎妊娠中網膜症の進行はなく, 妊娠38週0日に帝王切開を行って3, 1749の女児を得た. 児に奇形や重大な合併症はなかった. 分娩後も母体の網膜症は安定している. 硝子体摘出術後出産に成功した報告は日本では本症例の外に報告は見あたらず, この症例は本邦第1例と考えられる.
  • 秋満 忠郁, 桶田 俊光, 堀田 正一, 安永 正剛, 柴山 均, 利光 隆子, 清家 正隆, 織部 安裕, 小野 順子, 坂田 利家, 高 ...
    1993 年36 巻5 号 p. 405-413
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の易感染性はよく知られているが, 肝膿瘍の併発は従来比較的稀とされている. 私共は糖尿病に合併した細菌性巨大肝膿瘍の3例を経験したので, 本邦報告例と併せて文献的考察を加えて報告する. 3症例とも高齢男性, 2例は糖尿病の血糖コントロールは不良であり, また1例は血糖コントロールは比較的良好であったがアルコール多飲を認めた.全例孤立性肝膿瘍であり, 2例は肝右葉, 1例は肝左葉に生じ, 1例はガス産生を認めた. 起炎菌は2例で K.pneumoniaeであったが, 1例は不明であった. 感染経路については1例は経胆管性感染が, 1例は敗血症の状態が考えられ, 右全眼球炎を併発していたが, 1例は不明であった. 全例ともインスリンによる血糖コントロール, 抗生剤投与, 膿瘍ドレナージを行い治癒した. 細菌性肝膿瘍の基礎疾患として糖尿病は重要であり, 糖尿病患者に発熱を認めた場合, 肝を含めた深部臓器の検索が必要であると思われた.
  • 神田 勤, 河盛 隆造, 久保田 稔, 黒飛 万里子, 和田 正彦, 岩崎 誠, 鎌田 武信
    1993 年36 巻5 号 p. 415-418
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    We reevaluated osteopenia in normal subjects and diabetic patients by dual energy X-ray absorptiometry, a method that is well known to be excellent for precise bone mineral measurement. The bone mineral density (BMD) results in individual regions of 131 diabetic patients (62 men and 63 women) revealed that the BMD of the skull was highest, followed by that of the leg, total body (TB), spine, pelvis and arm. We also found that % age-matched TB-BMD in diabetics correlated with lumbar BMD (anteroposterior and lateral determinations). When we defined % age-matched TB-BMD under 90% as osteopenia, the prevalence of osteopenia in diabetic patients was as low as 12.2%, and that in normal subjecs was 2.1%. The % age-matched TB-BMD in diabetic patients aged 39 or less, including IDDM patients was significantly lower than that in patients aged 60-69, who did not include any IDDM patients. No significant positive correlation was observed between the % age-matched TB-BMD and diabetic retinopathy, duration, HbA, c or therapeutic modality. These observations indicate that diabetes mellitus might be a risk factor for osteopenia, though osteopenia might not be a specific complication of NIDDM.
  • 1993 年36 巻5 号 p. 419-428
    発行日: 1993/05/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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