糖尿病
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64 巻, 2 号
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会長講演
受賞講演
原著
疫学
  • 工藤 貴徳
    2021 年 64 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    当院通院中の65歳以上の2型糖尿病患者343例を対象として,認知障害が否定的なMMSE≧28(A群126名),軽度認知障害が疑われる23<MMSE<28点(B群175名),認知障害の可能性を示唆するMMSE≦23点(C群42名)で比較した.A群,B群,C群の比較では,年齢,BMI,拡張期血圧,脳血管障害,サルコペニア,糖尿病神経障害,PDR,HDS-R,時計描画,最近のニュース,Hb,TP,Alb,HbA1cで統計学的有意差を認めた.MMSEを目的変数とする重回帰分析をおこなったところ,年齢,拡張期血圧,PDR,時計描画,最近のニュースで有意差を認めた.糖尿病患者の特徴に配慮した認知機能検査を実施し,早期発見・早期治療介入することは,糖尿病と認知機能障害の双方の重症化予防につながると考えられた.

社会医学・医療経済学
  • 早川 哲雄, 加藤 健一郎
    2021 年 64 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    砺波総合病院糖尿病地域連携パスに登録された2型糖尿病348例(65歳未満;149例,65~74歳;123例,75歳以上;76例)を3.7±0.4年観察し連携パス中断例について検討した.全例の連携パス継続率は1年後70.7 %,2年後54.3 %,3年後44.8 %,4年後36.7 %と低下したが年齢別で有意差を認めなかった.連携パス中断理由は65歳未満では血糖悪化,当科受診中断が,65~74歳では血糖悪化,癌が,75歳以上はパス希望なし,癌,骨折が多かった.血糖悪化,パス希望なし,癌では継続例よりHbA1cの高値,スルフォニル尿素薬の併用を認め罹病期間が癌を除き長かった.当科受診中断では罹病期間が短かった.連携パスは年齢や様々な病態の変化においては終了が必要な場合もあり連携パスの継続のみならず終了についても検討していく必要があった.

症例報告
  • 大久保 万理江, 岩倉 敏夫, 伯田 琢郎, 藤本 寛太, 籏谷 雄二, 松岡 直樹
    2021 年 64 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は54歳女性,関節リウマチ,橋本病の既往あり.X-3年にインスリン分泌の枯渇を認め,急性発症1型糖尿病と診断し,多腺性自己免疫症候群III型(APS3型)の診断基準を満たした.X-1年にけいれん発作後,歩行困難,記銘力低下,高次機能障害を認めた.髄液検査で細胞数の上昇,頭部MRI検査では左弁蓋部にFLAIR高信号を認め,抗VGKC抗体陽性により自己免疫性脳炎と診断した.ステロイドパルス療法の施行により脳炎症状は改善した.APS3型に自己免疫性脳炎を合併した報告はほとんどなく,非常に貴重な症例であった.また,本症例で1型糖尿病の疾患抵抗性HLAアレルを有していた点や,特徴的な自己免疫性脳炎の抗体検査結果を有している点から,APS3型は多様な自己免疫疾患を発症しやすく,報告されている疾患以外の自己免疫性疾患の発症についても留意する必要があると考えられた.

  • 角田 久佳, 佐藤 義憲
    2021 年 64 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    糖尿病性ケトアシドーシスを伴い発症した急性発症1型糖尿病の2症例を経験した.2症例とも膵型アミラーゼが上昇していたので腹部MRI検査を施行したところ,ともに膵臓は拡散強調画像高信号とApparent diffusion coefficient低値をしめした.これらのMRI所見は劇症1型糖尿病に特徴的とされているものだが,血中膵酵素が上昇する急性発症1型糖尿病でも見られるのかもしれない.

地方会記録
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