糖尿病
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23 巻 , 2 号
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  • 織田 一昭, 工藤 守
    1980 年 23 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性自律神経障害における心血管反射の異常を心拍数変動の減少を指標としてとらえ, あわせてその成因と糖尿病性細血管症との関連について検討した.
    自律神経障害を有する糖尿病患者14例, 自律神経障害を有しない糖尿病患者8例, および年齢をmatchさせた正常者8例を対象とし, 心電図連続記録により, 仰臥位安静時および深呼吸時のR-R間隔とその標準偏差 (R-R間隔変動) を算出した.安静時のR-R間隔変動は正常群34±17msecに対して糖尿病性自律神経障害症例群で15±9msecと有意の減少 (P<0.02) を認め, また深呼吸時のR-R間隔変動も正常群60±18msecに対して糖尿病性自律神経障害症例群は22±11msecと有意の減少 (p<0.001) を認めた.一方, 起立後第30~31心拍間と第15~16心拍間のR-R間隔の比〈30: 15ratio〉は, 正常群1.16±0.11に対して糖尿病性自律神経障害症例群では0.97±0.05と有意の低下 (P<0.001) を認めた.自律神経障害を有しない糖尿病患者群は1.07±0.07で正常群と比べて有意の差はないが若干低下の傾向がみられた.以上の成績から, 自律神経障害を有する糖尿病患者において心血管反射の異常が高率に存在することがわかった.特に<30: 15 ratio>は糖尿病性自律神経障害ともよく相関し, また, 容易に検査を施行できるので, 自律神経機能検査法として有用と考えられる.
    糖尿病性細血管症と自律神経障害の有無との関係から推論すると, 自律神経障害の存在は糖尿病性細血管症の発現および進展に関与している可能性があり, 今後多数例での検討と経年観察が必要と思われる.
  • 高取 悦子, 高橋 千恵子, 雨宮 禎子, 横須賀 智子, 劉 瑞恵, 水野 美淳, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    良好なコントロールを維持している治療中のインスリン分泌能について, 糖尿病性網膜症の進展したものと, しからざるものとの差を検討した.すなわちScott III aおよびScott III bの糖尿病性網膜症を有するもののうち, 良好なコントロールを維持している時期に100g経ログルコース負荷試験を行い, その後も1年間にわたって良好なコントロールを維持しえた58例の糖尿病者を対象とし, その1年間に網膜症のScott分類の病期が増悪したものを網膜症進展群とし, 病期が同じであったものを網膜症不変群とした.この両群間で1009グルコース負荷時の血糖曲線および血中インスリン反応を比較し, 次の成績を得た.
    (1) グルコース負荷後の血糖曲線は, 網膜症不変群にくらべ, 網膜症進展群ではグルコース負荷後の各時点で高値を示し, 負荷後2時間値における差は有意であった.血中インスリン反応は, 網膜症進展群において, グルコース負荷後の各時点で低反応を示したが, 有意差はなかった.
    (2) グルコース負荷後30分のIRI/BSは網膜症進展群において, 網膜症不変群にくらべ低値を示すものが多く, IRI/BS0.1以下を示すものが網膜症進展群100%, 網膜症不変群31.6%であり, その差は有意であった.肥満者においても同様であった.
    (3) 網膜症進展群におけるΣIRI/ΣBSlま網膜症不変群のそれ1こくらべ, 0.1以下の低値を示すものが有意に多かった.
    (4) 非肥満網膜症進展群では, グルコース負荷時のΣBSが1400mg/dl以上を超えるものが, 非肥満網膜症不変群にくらべ有意に高率であった.ΣIRIは網膜症進展群で低値を示すものが多かった.糖尿病性網膜症の進展はグルコース負荷後の血中インスリンの低反応と関連あると思われる.
  • 棚橋 忍, 梶沼 宏, 石渡 和男
    1980 年 23 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健常者6例 (N群), 糖尿病患者27例 (D群) に, MC Actrapid insulin 0, 05U/kgを静注した際の心電図変化および, それらと血清カリウム, 血漿cAMPの変動との関係について検討した.D群をさらにインスジン静注後低血糖症状を認めたか, もしくは最低血糖値が49mg/dl以下に低下した症例14例 (D-I群), 低血糖症状を認めず最低血糖値も50mg/dl以上であった症例13例 (D-III群) に分けて観察した.
    インスリン静注後の最低血糖値はN群が20分で38.2±4.3 (M±SE) mg/dl, D-I群が30分で462土2.3mg/dl, D-III群が60分で96, 8土10.2mg/dlとなった.インスリン静注後のI, II, V5誘導のT波%変化率はN, D-I群で同程度 (-40~-50%) みられたがD-II群のそれはN, D-I群より軽度 (-20%) であった.血清カリウム値は3群とも30分, 60分において同じ程度に低下した (30分: N群3.6±0.1, D-1群3.5±0.1, D-R群3.6±0.1mEq/L).血漿cAMPはN群が30分, D-I群が60分で頂値を示し, それぞれ43.5±7.3, 30.3土2, 9pmol/mlであった.D-II群の血漿cAMPには変動がみられなかった、各時点の血清カリウムの低下とV5誘導のT波の%変化率の間には相関を認めなかったが, 血漿cAMPの上昇とV5誘導のT波の%変化率の間にはN群で30分, D-1群で60分に有意な負の相関を認めた.健常者, 糖尿病患者において, インスリン静注による低血糖時の心電図上のT波の平低化には, 血清カリウムの低下のみならず, 低血糖の際に放出されるエピネフリンが関与しているものと思われる.
  • 横山 淳一, 山田 治男, 大野 誠, 阪本 要一, 井出 幸子, 田嶼 尚子, 池田 義雄, 種瀬 富男, 阿部 正和
    1980 年 23 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスでは消化器症状を伴うことが多く, また, 検査成績の上でも高アミラーゼ血症を呈する頻度が高いといわれる.そこで糖尿病性ケトアシドーシスにおけるアミラーゼ活性値の動態とその意義を検討した.
    対象は9名の糖尿病患者である.これらの患者におこった合計10回の糖尿病性ケトアシドーシスについて治療開始前から経時的にアミラーゼ活性値 (Caraway法で測定, Somogyi単位/dlで表示) を測定し, さらにそのアイソザイム分析によって得られた膵型および唾液腺型アミラーゼの推移を観察した
    治療開始前の血清アミラーゼ活性値は55.2±22.3と低値を示した.治療は1例を除きインスリン少量持続注入療法によった.インスリン持続注入療法中3例に高アミラーゼ血症を認めた.最も高値を示した症例のアミラーゼ活性値は372に達した.上昇分のアミラーゼ活性値は3例とも唾液腺型アミラーゼで占められていた.上昇したアミラーゼは3日以内に正常に復した.クレアチニンクリアランスに対するアミラーゼクリアランスの比は正常であった.高アミラーゼ血症の有無と消化器症状, その他の臨床症状との間には関連性を認めなかった.
    上昇した唾液腺型アミラーゼの起源およびその機序については, なお明らかではない.臨床的に唾液腺からの逸脱という証拠もなく, その解明は, 今後の検討に待たれる.
  • 七里 元亮, 山碕 義光, 河盛 隆造, 森島 豊彦, 菊池 幹雄, 村田 貞史, 笹井 智令, 阿部 裕
    1980 年 23 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ベッドサイド型人工膵β細胞の臨床応用時, インスリン抵抗性を示す場合やインスリン感受性の充進を示す場合には, インスリン注入プログラムのパラメーターをマニュアルで変換し, 血糖の適応制御を行う必要がある.
    そこで, インスリン注入プログラムのパラメーターを一定のalgorithm下で経時的に個体の血糖調節機構の特性の変化に即応して自己変換していく, パラメーター自己変換プログラムを試作した.
    パラメーター自己変換プログラムは, 健常人における血糖応答曲線を血糖制御の目標とし, 実際の血糖制御時の血糖の変化率との偏位を個体のインスリン感受性の指標としてとらえ, インスリン注入率を変化させるよう作成した.
    試作したパラメーター自己変換プログラムを, 膵摘糖尿病犬に3-hydroxybutyric acidおよびepinephrine 持続注入時のインスリン抵抗性モデルに適応したところ, 血糖の適応制御が可能であった.
    以上, 今回試作した自己変換プログラムは糖尿病患者の各種病態時の血糖の適応制御が可能であり, 糖尿 病患者のインスリン感受性の定量化への応用はもちろんのこと, 血糖調節機構の解明にも有力な手段になり うると考えられた。
  • 河盛 隆造, 東堂 龍平, 伯井 信美, 窪田 耕輔, 滝本 忠司, 菊池 幹雄, 王子 亘由, 七里 元亮, 阿部 裕
    1980 年 23 巻 2 号 p. 137-147
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    より長期にわたる生理的血糖制御を目的として, 人工膵β細胞より血糖連続測定装置のみを切りはなしたPre-Progmmmable Insulin Infusion Systemを作成し, 7例の新たにインスリン治療を開始する糖尿病患者に応用し, 中間性インスリン1日1回または速効性インスリン1日3回皮下注時の際の血糖制御効果を比較検討した.
    人工膵β細胞より得たインスリン注入率とパターンを記憶した本システムにより, 健常者の血漿インスリンおよび血糖日内変動を再現することができた.この際血漿Cペプチドは常に低値を維持した.一方中間性インスリン皮下注時には血漿インスリン濃度は全経過を通じ軽度上昇したにとどまり, 食後の高血糖を認めた.したがって本投与法ではインスリン基礎分泌を補充するのみであると考えられた.この際の血漿Cペプチドは血糖上昇時に高値を示した.速効性インスリン1日3回皮下注により食後血糖制御は可能であったが, 大量投与の結果食後数時間に低血糖をもたらし, かつ夜間に高血糖を認めた.
    血漿グルカゴン動態は, Pre-Programmable Insulin Infusion System使用時に健常人の日内変動に最も近い反応を認めた.
    Pre-Programmable Insulin Infusion Systemと人工膵β細胞の両者の特徴を生かすことにより, 長期にわたる生理的血糖制御が可能となった。
  • 三原 俊彦, 平田 幸正
    1980 年 23 巻 2 号 p. 149-156
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本邦糖尿病患者の死亡率に関しては不明であり, 糖尿病患者の有する臨床所見と死亡率を含めた患者の予後との関係を明らかにする目的で, 1976年1月より12月までの1年間に, 東京女子医大糖尿病センターを受診した糖尿病患者のうち, 諸臨床調査項目の完備した1,629名 (男898名, 女731名) について, ProspectiveFollow-up Studyによる予後調査を開始した.調査開始後1年目の成績のうち, とくに糖尿病患者の死亡率と死因について検討を行いつぎの結果を得た.本調査1年後の患者の生死に関する追跡率は99.9%であり, 死亡者は31名 (男23名, 女8名) であり, 死亡率は1.90%(男2。56%, 女1.09%) であった.1,629名の糖尿病患者の性, 年齢にマッチさせて算出した国民一般の期待死亡率は1。63%(男2.00%, 女1.18%) であり, 糖尿病患者の死亡率が国民一般の期待死亡率より軽度高かった.登録時に神経障害, 網膜症, 蛋白尿のいずれも有しなかったものの1年後の死亡率は0%(0/401) であったのに対し, これらすべてを有したものの死亡率は5.91%(12/203) と高かった.死亡者31名全員の死亡診断書による死因の内訳は, 心筋梗塞, 悪性新生物がともに7名で最も多く, ついで腎症4名, 脳血管障害3名の順であった.死亡糖尿病患者31名の死亡診断書に「糖尿病」の病名の記載があったのは16名であり, その記載率は51.6%にすぎなかった.
  • 七里 元亮, 山崎 義光, 河盛 隆造, 八木 稔人, 朝川 信之, 阿部 裕
    1980 年 23 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Witepsol H 15を基剤とし, Polyoxyethylene-9-laurylsulfateを表面活性剤として試作したインスリン坐薬は, 正常犬に投与した場合, 2U/kgという少量で効果のあることを認めた.そこで, このインスリン坐薬をアロキサン糖尿病犬の直腸内に, 1日2回, 毎食餌摂取30分後に投与し糖尿病の7~9日間の短期治療を試みた.
    1) 空腹時血糖値300mg/100ml以下のアロキサン糖尿病犬に1頭あたりインスリン坐薬20Uを, 1日2回投与した場合, 治療期間中空腹時血糖値および1日尿糖量の有意の低下を認めた.空腹時血糖値300mg/100ml以上のアロキサン糖尿病犬にインスリン坐薬50Uを, 1日2回投与した場合, 空腹時血糖値の低下は軽度であるが, 1日尿糖量は有意に低下した.
    2) インスリン坐薬を1頭当たり20Uおよび50U (2および5U/kgに相当), 1日2回投与時の治療効果は, Insuhn Actrapid 0.2および0.5U/kg, 1日2回筋注時の治療効果とほぼ同等であった.
    3) 同一犬におけるインスリン坐薬連続投与時の血漿インスリンの頂値は50~130μU/ml (coefficient of variation: 30~35%) と変動したが, 食後高血糖は著明に抑えられ, そのcoefficient of variationは13~15 %であった.
    以上, インスリン坐薬は筋注治療時の10倍量で効果があり, 経ロインスリン剤として開発したW/O/WInsulin EmulsionsやW/O/W Insulin Micellesより有用であると考えられた.
  • 棚橋 忍, 梶沼 宏, 川合 厚生, 石渡 和男
    1980 年 23 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシスからの回復過程で, 一過性に著明な高CPK血症を呈した症例を報告する.症例は60歳の主婦で, 49歳糖尿病と診断されインスリン治療を受けていた.昭和54年1月12日頃より口渇, 多飲, 多尿, 全身倦怠感が出現し, 14日午後より意識障害があらわれた.15日朝昏睡に陥り, 夕方緊急入院した.入院時血圧は55/30mmHg, 四肢は冷たく, 体温は35QC以下であった.血糖は1672mg/dl, 血清ケトン体は陽性であった.少量インスリン持続注入療法 (Actrapid insulin 6U/hr) と生理食塩水による輸液を開始し, 16日朝にはほぼ覚醒した.入院時CPKは1181U/Lであったが, 16日は1710 IU/Lに上昇し, 18日は2888 IU/Lと頂値に達したが, 以後減少し, 入院後12日目に正常範囲となった.GOT, GPT, LDH, も5~8日目にそれぞれ最高180 IU/L, 96IU/L, 768Uと上昇を認めた.心電図上で心筋硬塞を疑わせる所見は認められず, CPKアイソザイムでMBの比率はきわめて小さく (1~2%), MMが大部分を占めていた (97%).筋炎, 外傷はなく, 筋注も行われておらず, 本症例の高CPK血症は骨格筋細胞の透過性充進によりCPKの遊出が増加したために生じたものと推察された・糖尿病性ケトアシドーシスに伴う高CPK血症の報告は少なく, また細胞膜透過性充進による高CPK血症を考える上で興味ある症例と考える.
  • 1980 年 23 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 1980/02/29
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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