糖尿病
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35 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 赤澤 昭一, 明石 政治, 中村 ますみ, 赤澤 美保子, 前田 恭男, 竹馬 庸裕, 高尾 幸男, 奥野 信一郎, 瀧野 博文, 川崎 英 ...
    1992 年 35 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    我々はratの embryo culture system を用い, 高血糖による奇形発生の機序として器官分化過程の embryo における myo-inositol (MI) 欠乏が重要な関与をしている事を報告した. 今回 streptozotocin (STZ) 糖尿病ラットの embryo における奇形発生機序にMI欠乏がどの程度関与しているかを検討した. STZ 55mg/kg投与し, 雌雄同一ケージで一晩飼育し, 妊娠糖尿病ラットを作製し, 主な器官形成期に相当する妊娠第6-11日に食飼中にMIを添加した (STZ-DM+MI群). 妊娠第11.7日に, embryoを取り出し形態学的観察後, HPLCにてembryo の MI 濃度を測定した. embryo の MI 濃度は対照群に比しSTZ-DM群で有意に低下したが, STZ-DM+MI群では対照群のレベルまで回復した. 神経管閉鎖不全等の奇形の発生頻度はSTZ-DMで17.6%と増加を示した. 一方STZ-DM+MI群では9.6%でSTZ-DM群に比し, 低下したが, 対照群に比しなお増加を示した. 妊娠糖尿病ラットのembryoのMI濃度は低下しておりMIの補充により奇形の発生頻度は部分的に改善された. 器官分化過程のMI欠乏が糖尿病における奇形発生の一つの因子となっている事を示した.
  • 江川 克哉, 小林 正, 小澤 邦顕, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    近親婚の両親より出生した35歳のインスリン受容体異常症の男性より得られた赤血球, 培養リンパ球, 線維芽細胞を用い, インスリン抵抗性の機序の解明を行なった. インスリン結合は各々正常の10.7%, 16.6%, 1.9%と著明に減少していた. 患者インスリン受容体α サブユニットの分子量は正常と同様135KDであった. 線維芽細胞でのグルコース取り込みは, インスリン結合の低下を反映し, 容量反応曲線の右方変位を示した. そこで患者インスリン受容体遺伝子をPCR法にて増幅し, direct sequenceを行ったところ, exon3, 193番目の Pro が Leu に, ホモ接合体として点突然変異していることが確認された, また母親では同変異がヘテロ接合体として存在していた. 以上より本症例のインスリン抵抗性はPro193→Leu193の点突然変異の遺伝が原因であることを示した.
  • 阿部 奈々美, 柏木 厚典, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    125I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) を用いてストレプトゾシン糖尿病 (DM) ラットにおける心筋内交感神経異常を検討した. 1) DM作成後4, 8, 20週で1251-MIBGの心室筋/血液放射活性比 (H/B) は対照群に比し48%(p<0.01) 減少した. 湿組織重量 (9) 当たりの平均放射活性比もDMで有意に (p<0.01) 減少した. 2) DMラットのH/Bは4週間インスリン治療により対照群の85%まで回復した. 3) レセルピン投与により対照群のH/Bは50%抑制されたがDM群では有意な抑制を認めなかった. 4) 心室筋のノルエピネフリン含量は, 4週, 8週DMラットで各々対照群に比し有意に (p<0.05, p<0.01) 高値であった. DMラットにおける125I-MIBGの心室筋への集積の減少の主因は, 心交感神経終末での125I-MIBGの取り込みの障害であり, この異常は糖尿病代謝異常に伴う可逆的異常である事が示された.
  • 田中 直彦, 丸山 太郎, 岩崎 至利, 田中 伸, 稗田 宏子, 松崎 正明, 鈴木 裕也
    1992 年 35 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は, 24歳男性, 1990年6月に発熱, 背部痛にて当院入院. 血清アミラーゼ568IU/l, 尿アミラーゼ555oIU/l, エラスターゼ148o0ng/dl, リパーゼ636IU/lと高値を示したため急性膵炎を疑い治療を開始. 入院第2病日, 血糖65mg/dl, 第3病日56mg/dlであったが第4病日より高血糖を示しIDDMとなった. 血清アミラーゼは, 約3週間後に, エラスターゼ1, リパーゼは, 約12週間後に正常値となった. HLAは, DR4/9であり, ICA (-), ICSA (-) であった. 本例は, 膵外分泌細胞と膵島細胞の双方の破壊に伴い, 高アミラーゼ血症とインスリン逸脱による血糖低値を経て発症したIDDMと考えた. IDDMの発症に際し, 高アミラーゼ血症はしばしぼ認められ, その発症機序と密接な関係をもつと思われる. 本例は, 入院中にその経過を捕えた貴重な症例であると考えられた.
  • 竹内 龍男, 越智 寛, 大谷 いずみ, 藤山 勝巳, 星野 多津枝, 田中 寧, 真柴 裕人, 池田 匡, 中村 勇夫, 宮川 征男
    1992 年 35 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性. 約10年前より糖尿病と診断され, インスリン治療を受けていたが血糖コントロールは不安定であった1全身倦怠感と排尿困難を主訴として当科入院. 入院時, 空腹時血糖168mg/dl, HbA1c7.3%, 眼底Scottma, 尿中微量アルブミンは陰性であった. 下肢腱反射の減弱, 末梢神経伝導速度の低下, 及び安静時心電図R-R間隔変動係数低下を認め, 末梢神経障害及び自律神経障害を合併していた. 排尿動態検査で残尿量は25mlと少なかったが, 膀胱内圧測定にて低圧, 低緊張型を示し, また尿流量率は著明に低下していた. 膀胱頸部閉塞性疾患は認めず, 典型的な糖尿病性神経因性膀胱と診断した. そこで, 選択的α1-adrenergic blockerである塩酸ブナゾシン3mg/日を投与したところ, 自覚的な排尿困難の消失とともに, 尿流量率の著明な改善を認めた. 糖尿病性神経因性膀胱の薬物療法の1つとして選択的α1-adrenergic blockerが有効であると考えられた.
  • 中山 富雄, 山野 利尚, 橋本 浩三
    1992 年 35 巻 2 号 p. 133-135
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [Purpose] The following experiment was conducted to examine the usefulness of percutaneous dialysis.
    [Method] Four normal individuals and two diabetic patients were selected and placed in a bathtub filled with 200 l of hypertonic dialysis fluid which is similar to peritoneal dialysis fluid and consists of the following substances: C6H12O6·H2O, 2.5%: NaCl, 0.538%; C3H5Na 0.448%: CaCl2·2H2O 0.025%; MgCl2·6H2O, 0.00508%. Before bathing and 30, 60, and 120 minutes later, the following parameters were examined: weight reduction, VitB12, Creatinine and Urea clearances, amount of protein transudation, blood pressure, pulse rate and electrocardiographic changes. Then, one normal subject and one diabetic patient were selected, and placed in the same bathtub for one hour a day for fourteen consecutive days.
    [Result] Weight reductions and clearances examined are listed below:
    As a result of bathing for one hour every day for a week, clearances of various substances were 15-90% of those obtained with peritoneal dialysis or hemodialysis.
    [Conclusion] Percutaneous dialysis may be a feasible option in the early treatment of patients with renal failure due to diabetic nephropathy.
  • 1992 年 35 巻 2 号 p. 137-169
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 葛谷 健, 伊藤 千賀子, 佐々木 陽, 清野 裕, 田嶼 尚子, 土井 邦紘, 布井 清秀, 松田 文子, 上畑 鉄之丞
    1992 年 35 巻 2 号 p. 173-194
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1) 疫学データ委員会では, 日本人における糖尿病の有病率と発症率に関する既発表の資料を収集し, 日本人糖尿病の有病率と発症率を推定し, それらの資料のデータを利用しやすい形にまとめて提供することを目的とした. 主要資料を選択して表にまとめた.
    2) 地域調査による成人の糖尿病調査から得られる情報はNIDDMの有病率にほぼ限られる. 尿糖二などで一次スクリーニングを行って陽性者のみに糖負荷試験を行う方法と, 全員に糖負荷試験を行う方法とがあるが, 糖尿病の有病率は後者で高い傾向を示した.
    1984年以前の報告では1970年の日本糖尿病学会基準で判定されているものが多く, 40歳以上の有病率は一次スクリーニングを行う方法では, 多くは1.3~4.7%であった. 1985年以後にはWHO基準で判定されるようになり, スクリーニングを行った場合, 40歳以上の有病率は2.1~5.4%, 直接糖負荷試験を行う方法では4~11%程度となった. 男女比は2: 1ないし1: 1で糖尿病は男に多かった. WHO基準では1970年の糖尿病学会基準よりも糖尿病と判定されるものの率は少なくなるはずであるが, それでも1990年代には約10%という高い値が報告されている.
    3) 18歳未満発症の糖尿病の発症率は10万人あたり年間0.8~2.3人で, 10~14歳に発症のピークがあった. 有病率はIDDMでは, 1万人あたりほぼ1.0人, NIDDMは約0.5人で, 両者を区別しない場合は0.9~1.5人程度であった.
    4) 原爆被爆者は約10万人が継続的に検診を受けており, 糖尿病に関してもよく調査されている. 糖尿病の発症について被爆の影響は否定されているので, そのデータは地域調査と同等のものと見なされる. 被爆者は現在43歳以上となり, その有病率は現在男9.9%, 女8.0%と推定される. 糖尿病有病率はあきらかに経年的増加傾向を示している.
    5) アメリカ (ハワイ, ロスアンゼルス, シアトル) に移住した日本人1世, 2世では日本在住者に比べて糖尿病が15ないし2倍に増えている. 8最近のシアトルでの調査では45歳以上の2世で男21.5%, 女16.0%が糖尿病であった.
    6) 政府刊行物の中では厚生省が定期的に行っている患者調査と国民生活基礎調査 (以前は国民健康調査) のデータに糖尿病が含まれている. これらは医療機関を受診中のものを対象としており, 得られた推定有病率は, 地域調査で得られた数値よりも低いが, 全年齢を扱っていると, 長年にわたり同じ方法で調査されているので経年的な推移が分かる点に特徴がある. 糖尿病の推定有病率はこの30年余りの間に激増した. 1987年の患者調査では副疾患としての糖尿病も加えると1.4%(全年齢), 1989年の国民生活基礎調査では1.1%であった.
    7) これまでの文献を通覧して, 今後の調査, 報告では特に留意すべき点として, 対象集団の年齢構成, 性別などを明確にすること, 既知糖尿病患者の取扱をはっきりさせること, 検査した集団が対象集団をよく代表しているかどうかの検討, 75g GTTで判定すること, 空腹時血糖値, 2時間血糖値の分布を示すこと, 受診しないものについても情報を集めること, などが望まれる.
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