糖尿病腎症(腎症)に対するチーム医療の効果を客観的あるいは科学的に検証した成績は極めて少ない.2010年~2014年に当院で新規血液透析導入となった53例で職種数や年次介入回数との比較検討を,および2職種以上が介入した群(多職種群)と管理栄養士のみが介入した群(管理栄養士群)に分けて,その後の透析導入時の病状,その他への関連を検討した.全体では,血清クレアチニン2.0 mg/dLから透析導入までの期間と年次介入回数に負の相関を認めた.管理栄養士群と多職種群の比較では,透析導入時のヘモグロビン,ヘマトクリット,心胸比,Cr 2.0 mg/dLから血液透析までの期間,緊急入院,在院日数,入院費用が多職種群で有意に良好な結果であった.多職種介入では,腎症患者に対して現在と将来の病態や多くの療養行動に関する情報が必要に応じ繰り返し提供されたことが結果に関連したと考えられた.
MODY(maturity-onset diabetes of the young)は若年発症とインスリン分泌不全を主徴とする糖尿病であり,常染色体優性遺伝形式をとる.今回我々はMODY3の母子例を経験したので報告する.母は54歳女性,非肥満,17歳で糖尿病を発症,膵島関連自己抗体陰性で現在までインスリン治療中.子は15歳女児,非肥満,7歳で糖尿病を発症,膵島関連自己抗体陰性.ともに病型診断不明であったが,子の糖尿病発症を契機に遺伝子検査を行った結果,MODY3と診断した.母51歳時,子13歳時のグルカゴン負荷Cペプチド6分値は母子ともに軽度低下に留まった.母は糖尿病を発症して34年を経過するもののインスリン分泌能は枯渇には至っていなかった.子のインスリン分泌能は保持されており,スルホニル尿素薬による治療により血糖コントロールの改善が得られている.