より広範囲の施設を対象に, 種々の測定法でのグリコヘモグロビン (GHb) 値の精度管理調査 (第3回) を1995年9月に行った. この際濃度の異なる全血2検体および凍結乾燥品2検体を測定試料として用いた. また, 日本糖尿病学会製 (JDS) 標品準拠HPLC測定値とDiabetes Control and Complications Trial (DCCT) 値との整合性についても検討した. 1424施設のうち, 最終的評価は1399施設 (HPLC法1080, 免疫阻害比濁法133, アフィニティ法186) からの報告結果に基づいた. その結果は以下のようであった.
1. 全データーをまとめての施設間差はCV7.1%~12.8%であった.
2. 測定法別CVはHPLC法3.7%~6.6%, 免疫阻害比濁法7.6%~11.7%, アフィニテイ法5.6%~6.4%であった. 全血検体の平均GHb値はHPLC法 (4.7±0.31%) と免疫阻害比濁法 (4.9±0.56%) は比較的良く類似したが, アフィニティ法 (5.5±0.31%) は高値に偏した.
3. JDS標品, あるいはそれに準拠して値付けした標品を用いて補正した測定値の施設問差はCV4.6%~7.8%, 一方, それ以外の方法で補正した場合のCVは8.3%~15.9%であった.
4. JDS標品準拠HPLC法測定値 [東ソー社製HPLC (HLC-723GHbIII): Y
1, 京都第一科学社製HPLC (HA-8131): Y
2] はDCCT値 (X) とよく合致した (Y
1=0.984X-0.228, r=0.998: Y
2=0.972X-9.052, r=0.997) 種々の測定法によるGHb測定値を統一するには, JDS標品, あるいはそれから値付けした標品を用い実測値を補正するreference systemを採用することが必要である.
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