Oxytocinはvasopressin同様, 脱水などのhypovolemiaで上昇することが明らかにされているものの, 重篤糖尿病状態での役割については全く検討されていない. われわれは, 20時間絶食の正常およびstreptozotocin糖尿病ラットの摘出肝灌流実験手技を用い, 10mML-alanine存在下のoxytocinの肝効果を150分間にわたり検討し, 以下の成績がえられた. 1) 正常, 糖尿病を問わずgluconeogenesis, ketogenesisを指標とした肝代謝にoxytocin (1×10
-7M) はは直接作用を示し, その促進効果はvasopressin (0.8mU/ml), glucagon (2.86×10
-7M) のそれにほぼ等しかった. 2) 生理的濃度のinsulin (100μU/ml) はoxytocinで亢進したgluconeogenesis, ketogenesisに抑制的に働き, その効果は正常ラットでより強かった. 以上より, 重篤糖尿病状態ではoxytocinが代謝異常悪化の一因を担う事が強く示唆された.
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