糖尿病
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52 巻 , 12 号
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ミニレビュー
  • 大野 貴之, 高本 眞一, 川島 大, 木下 修, 藤田 英雄, 安東 治郎, 永井 良三, 大友 一義, 重枝 崇志, 廣瀬 晶, 加藤 ...
    2009 年 52 巻 12 号 p. 935-939
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    冠動脈疾患は欧米人糖尿病患者では死因の第1位であるが,日本人糖尿病患者では第3位と,欧米人と比較して冠動脈イベントリスクが低い可能性がある.糖尿病網膜症の重症度は冠動脈疾患リスクと比例することが海外の疫学調査よりわかっており,糖尿病網膜症患者は糖尿病患者のなかでも冠動脈イベントリスクが高いサブグループである.さらに,冠動脈疾患に関して未診断の糖尿病網膜症患者の約20∼25%は冠動脈狭窄病変を合併していることが判明している.
原著
  • 中神 朋子, 稙田 太郎, 治部袋 佐知代, 大屋 純子, 高橋 雅之, 若松 智子, 岩本 安彦
    2009 年 52 巻 12 号 p. 941-948
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と心血管危険因子の関係を肥満から独立して検証した.健診受診者において飲酒状況と腹部超音波検査からNAFLD 532人と非脂肪肝1,046人を抽出した.各代謝異常はわが国のメタボリックシンドローム診断基準に準じ,高インスリン血症は空腹時血糖(FPG)正常者の空腹時インスリン値(F-IRI)の上位1/4と定義した.ロジスティック回帰分析ではNAFLDの独立した危険因子としてBMI, F-IRIが同定された.一方,NAFLDは,腹囲,BMIから独立した脂質異常および高FPG血症の有意な危険因子であった.しかし,F-IRIで調整後,NAFLDは高FPG血症との関係を失い,男性でのみ脂質異常の危険因子として残った.NAFLDの糖代謝と脂質代謝に及ぼす影響の違い,また後者では性差も示唆された.
症例報告
  • 大隈 俊明, 岩瀬 正典, 井手脇 康裕, 菊池 洋平, 藤井 裕樹, 奥 美和子, 森本 昌子, 土井 康文, 中村 宇大, 飯田 三雄
    2009 年 52 巻 12 号 p. 949-955
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.壊死性遊走性紅斑を発症し,高グルカゴン血症(13,000 pg/ml), 膵体部腫瘍(径3 cm)よりグルカゴノーマと診断された.肝臓に多数の微小転移巣と下肢深部静脈血栓症,肺塞栓を認めた.BMI 16.9 kg/m2, 血清アルブミン1.5 g/dl, Hb 6.8 g/dlで全身状態は不良であった.オクトレオチドにより血中グルカゴンは低下し(1,500 pg/ml), アミノ酸製剤により皮膚所見は著明に改善したが,低アルブミン血症や貧血の改善が乏しかった.さらに,蛋白同化ステロイドのメテノロンを併用したところ,血中アミノ酸分画の上昇とともに,両者の改善を認め(血清アルブミン2.3 g/dl, Hb 8.5 g/dl), 全身状態も改善した.また,内因性インスリン分泌能の低下の伴う糖尿病に対し,インスリン療法を施行した.外科的治療が困難な高齢グルカゴノーマの症例に,蛋白同化ステロイドを含む内科的治療が奏効した稀な1例を経験したので,報告する.
  • 堀江 一郎, 山崎 浩則, 川尻 真也, 植木 郁子, 中村 寛, 厨 源平, 佐藤 剛, 古林 正和, 桑原 宏永, 尾崎 方子, 阿比留 ...
    2009 年 52 巻 12 号 p. 957-963
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    インスリン受容体異常症B型は,抗インスリン受容体抗体の異常産生により著明なインスリン抵抗性を呈する稀な疾患であり,SLEなどの自己免疫疾患を高頻度に合併する.経験した2例の臨床的特徴と治療効果を比較した.症例1は50歳,女性.SLEの診断時にPG 220 mg/dl, IRI 830 μU/ml, HbA1c 8.0%, 抗インスリン受容体抗体陽性より本症の合併が診断された.血糖コントロールにrhIGF-1(10 mg/日)投与が著効した.SLE診断時から開始したステロイド療法によって,SLEと本症は平行して寛解した.症例2は59歳,男性.SLEの診断時にPG 67 mg/dl, IRI 316 μU/ml, HbA1c 9.5%, 抗インスリン受容体抗体陽性より本症の合併が診断された.血糖コントロールにrhIGF-1は無効であった.さらにステロイド療法で両疾患の活動性は軽快せず,むしろ血糖値は悪化した.しかし,免疫抑制剤(シクロホスファミド,シクロスポリンA)の投与によってSLEの活動性低下と共に本症も軽快した.本2症例は,SLEを合併した点では類似するものの治療の反応性が著しく異なった.インスリン受容体異常症B型の治療を考える上で,抗インスリン受容体抗体のclonalityと基礎疾患の活動性の違いによる免疫抑制療法に対する反応の違いを考慮することが重要と考えられた.
  • 大濱 俊彦, 金城 一志, 知念 希和, 藤岡 照久, 曽爾 浩太郎, 諸見里 拓宏, 張 同輝, 宮平 健
    2009 年 52 巻 12 号 p. 965-968
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,女性.糖尿病にて当院通院加療中.以前,自殺企図で速効型インスリンを大量注射した既往があり,その後,精神発達遅滞として精神科にも通院していた.今回は,自殺企図にて持効型溶解インスリンアナログ(インスリングラルギン)640単位を左大腿に皮下注射し,当院救急室を受診した.受診時に低血糖はなく,中枢神経症状も認めなかったが,緩徐に血糖が低下してきたので,入院加療とし経静脈的にブドウ糖投与を行った.インスリングラルギン注射後51時間で低血糖は認められなくなり,それまでの総ブドウ糖投与量は1,025 gであった.経過中に低血糖発作は数回しか認めず,意識障害も起こさなかった.持効型溶解インスリンアナログは近年より使用されるようになったため,大量注射の報告はほとんどみられない.インスリングラルギンの大量注射によって血糖降下作用時間は長くなるが,インスリンの性質上,緩徐に血糖を低下させるため,適宜ブドウ糖を補充しながら経過観察を行えば重篤な低血糖発作は来しにくいと思われた.
  • 牛腸 直樹, 檜山 眞貴代, 足立 淳一郎, 中村 太一, 小林 将貴, 逢坂 公人, 大内 秀紀, 山田 哲夫, 渡辺 孝之
    2009 年 52 巻 12 号 p. 969-976
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.来院2週間前に一過性の肉眼的血尿と倦怠感を自覚.食思不振を伴って倦怠感が持続し,経口摂取が不良となり当院を受診した.高度の炎症所見,高血糖,血中ケトン体上昇,代謝性アシドーシス,高カリウム血症を伴う急性腎不全を認め,持続血液濾過透析,抗生剤投与,インスリン静脈内持続注入を開始.尿,血液培養よりKlebsiella pneumoniaeが検出された.集中治療により全身状態は安定したが,膿尿と発熱が持続し,腹部CT検査で全体的に腫大した左腎実質にびまん性低吸収域を認め,黄色肉芽腫性腎盂腎炎が疑われた.保存的治療では根治困難と判断し,腎摘出術を行い,摘出腎の病理所見は同症に合致した.術後,膿尿,発熱は消失し,腎機能も改善し,透析を要さず退院となった.黄色肉芽腫性腎盂腎炎は比較的稀な慢性尿路感染症であり,糖尿病を背景に中年女性に好発する.これまで,本例のように急性腎不全,糖尿病ケトアシドーシスを合併した症例報告はなく,考察を加えて報告する.
コメディカルコーナー・原著
  • 朝倉 俊成, 神田 循吉, 影山 美穂, 影向 範昭, 若林 広行, 清野 弘明
    2009 年 52 巻 12 号 p. 977-981
    発行日: 2009/12/30
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    インスリン製剤(以下,製剤)中のインスリン結晶の存在,ならびに懸濁製剤におけるインスリン結晶の濁度変化を測定し,高温環境下でのインスリン製剤の性状変化について検討を行った.方法は,2種の非懸濁製剤と2種の懸濁製剤を,38, 50, 70°Cの恒温恒湿度器内に3, 6, 12時間放置したときの濁度を吸光度計にて測定し,その変化を求めた.また,生物顕微鏡を用いて,70°C·12時間環境下のインスリン結晶を観察した.結果は,非懸濁製剤はいずれも変化がなかったが,懸濁製剤ではいずれも,38°C以上の保管で濁度が有意に変化した.また,顕微鏡観察では,懸濁製剤で70°C·12時間保管結晶の形状に明らかな変化がみられた.結果から,懸濁製剤は室温以上の環境下に長時間放置しないことが求められ,患者の日常生活におけるインスリン製剤保管時の温度管理について,十分注意する必要があると思われる.
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