糖尿病
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34 巻 , 4 号
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  • 岡部 正, 鄭 一, 橋爪 裕明, 廣部 芳晴, 森山 剛栄
    1991 年 34 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者のコントロール不良時, 良好時に大腿屈筋群の31P-NMRスペクトルを, 虚血運動前後で測定し, 健常対照と比較した. コントロール不良時には, 対照群と比較し, pH, クレアチンリン酸 (PCr) が虚血運動中に著明に低下し, また無機リン (Pi) のピークが遅筋 (pH7.0) と速筋 (pH5.9-6.2) を表わす2つのピークに分裂した. これに対し対照群は, 運動負荷を2倍にすると初めて速筋を示すPiピークが表われ, 長距離ランナーでは2倍の運動負荷時にも遅筋を示すPiピークのみであった. 運動後のPCr回復時間 (酸化的リン酸化能を表わす) は, コントロール不良時に有意に遅延した. コントロールが良好になると, これらの代謝異常は消失した. 以上の成績よ. り, コントロール不良時の糖尿病患者では, 骨格筋の酸化的リン酸化が障害され, 軽度の運動負荷にも速筋が用いられると推測される. この変化は, 血糖コントロールにより可逆的であった.
  • 中村 辰男, 清野 精彦, 高野 照夫, 大竹 稔
    1991 年 34 巻 4 号 p. 301-310
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    研究 (1). 本邦冠動脈疾患121症例を対象に末梢動脈硬化の進展をドップラー法により評価すると, 下肢動脈病変 (PVD) を16.5%に, 頸動脈病変 (CTD) を33.1%に認めた. PVD合併は, 糖尿病群で有意に高率 (21.7%対13.3%) であり, 全例冠動脈は多枝病変を示し, peak CK, peak CK-MBが高値で梗塞サイズが大であることが示唆された. またPVD, CTD共に糖尿病群が非糖尿病群に比べ両側性病変が多く, 自覚症状に乏しい糖尿病性macroangiopathyとしての特徴が明らかにされた. 研究 (II). 糖尿病23症例の皮膚微小循環動態をレーザードップラー法で分析すると, いずれの部位でも皮膚血流量は低下を示し, 指尖部では反応性充血が充進し, 足趾では寒冷昇圧刺激に対する血管反応性の減弱が認められた. その機序として皮膚血流速度の低下と皮膚動静脈吻合血流の調節障害, そしてauto-sympathectomyが示唆され, footlesionの病態に関連性を有する特徴的な病態と考えられた.
  • 小野 百合, 加藤 雅彦, 工藤 守, 宮部 靖子, 中川 昌一, 近藤 光
    1991 年 34 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病, 特に網膜症の病態を血液凝固線溶系の面より解明するために糖尿病患者264名を対象に体内の凝固線溶状態をより直接的, 敏感に反映するthrombin-antithrombin III-complex (以下TAT), α2-plasmininhibitor-plasmin-complex (以下PIC) を測定した. 1) 糖尿病患者全体では健常者に比し凝固充進状態を示した. 2) 網膜症が重症化するに比例し凝固充進状態を示した. 特に増殖性網膜症を有する患者 (TAT: 3.53μg/l, PIC: 1.43μg/mのおよび現在さらに網膜症が進行しつつある患者 (TAT: 3.07, PIC1.56) では強い凝固充進に伴い線溶系も充進していた. 3) 血糖コントロール後網膜症の進行した患者は, 血糖コントロール後に網膜症の進行しなかった患者に比しTATは僅かに充進を示したのみであったがPICは1.93μg/mlと有意に充進しており, 過凝固に伴う線溶充進を示した.以上より, 糖尿病の病態の変動進行の指標としてTAT, PICは有用であり, これらが高値を示す患者では網膜症の進行を厳重に検査管理する必要がある.
  • 田村 紀子
    1991 年 34 巻 4 号 p. 319-326
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    赤血球膜陰性荷電の変化が, 腎糸球体基底膜の陰性荷電を反映するのではないかとの仮説のもとに, 近年cationi cdyeであるalcian blueを用い, 様々な腎症の赤血球膜陰性荷電が測定されるようになった. しかし, 報告者によって結果に差があり, 方法に改善すべき点のある可能性が考えられた. 今回我々はこの方法の問題点の検討を行い, 当院糖尿病外来患者の赤血球膜荷電の測定を行った. その結果, 現在の赤血球膜陰性荷電量と, 腎症, 網膜症の重症度とは直接関係なかったが, 血糖コントロールの悪いものほど, 陰性荷電量が減少する傾向にあった. つまり赤血球膜陰性荷電は, 高血糖状態において減少するが, これは血糖レベルを反映するもので, 腎糸球体基底膜の障害程度を反映するものではないと考えられた.
  • 羽賀 達也, 堀田 饒, 洪 尚樹, 榊原 文彦, 鬼頭 柳三, 中村 二郎, 松前 裕己, 浜田 洋司, 小林 正登, 坂本 信夫
    1991 年 34 巻 4 号 p. 327-334
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    コントロール不良の糖尿病ではalanine, glutamineの肝での利用の充進と血中glucagon, vasopressinの著しい高値が知られている. 我々は20時間絶食ラットの単離肝を用い, 10mML-alanineあるいはL-glutamineの存在下, 100nMのglucagonあるいはvasopressinを適宜組み合わせ添加し60分間にわたり灌流実験を行い, 以下の成績が得られた. 1) glucagon, vasopressin各単独添加はgluconeogenesis, ketogenesisを促進した。2) 両ホルモンの同時添加でketogenesisはL-alanine存在下では相加的に促進されたが, L-glutamine存在下では相加的には促進されなかった. 3) 両ホルモンの同時添加でgluconeogenesisはL-alanine, L-glutamineいずれの存在下でも相加的には促進されず, むしろvasopressinはglucagon効果を抑制する傾向を示した. 以上より, 環境条件次第ではvasopressinはglucagonに相加的に働き, 糖尿病状態の悪化の一因を担う可能性が強く示唆された.
  • 松島 雅人, 田嶼 尚子, 横山 淳一, 池田 義雄, 磯貝 行秀, 縣 俊彦, 吉葉 繁雄
    1991 年 34 巻 4 号 p. 335-341
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳以下発症IDDM42例を対象に, 発症後の血清免疫活性トリプシン値 (IRT) がどのような遺伝及び環境因子と関連がみられるか, 重回帰分析によって検討した. 42例の男女比は, 19/23, 平均発症年齢は, 16.5±0.8歳, 平均罹病期間は6.8±0.8年であった. 血清IRT値に影響を与える可能性のある因子として, 性, 発症年齢, 罹病期間, 家族歴, 発症様式, 発症時の季節性, 体重歴, 現在の肥満度膵B細胞機能ICA, HLA, 血清クレアチニン値, 血糖コントロール状態を選んだ. 重回帰分析の結果, 回帰モデルは有意で (P<0.05), 選択された変数は, HLA DR9, 血清クレアチニン値, ICA, 性, 発症年齢で, 血清IRT値が膵外分泌機能を反映することを考えるとIDDM発症後の膵外分泌機能が, これらの影響を受けている可能性が示唆された. 今後IDDMの膵外分泌障害の成因解明には, これらの因子を考慮する必要があるだろう.
  • 湧上 民雄
    1991 年 34 巻 4 号 p. 343-349
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    代表的なインスリン依存型糖尿病モデル動物であるNODマウス (non-obese diabetic mouse) におけるprobucolの糖尿病発症予防効果, および免疫機能に及ぼす影響について検討した. 30日齢よりprobucolを食餌重量あたり1%の割合で混合し, 自由摂取にて210日齢まで糖尿病発症の有無を観察した. 累積糖尿病発症率は対照群では43/52 (82.7%) であったのに対し, probucol投与群では34/55 (61.8%) であり, probucol投与群においては有意に糖尿病の発症が抑制された (p<0.05). また, 対照群に比較してprobucol投与群では膵島炎の程度も軽減された (p<0.05). さらに, 脾リンパ球サブセットについては, 対照群に比較してprobucol投与群ではThy1.2, L3T4, Lyt2各陽性細胞の比率が有意に減少していた (p<0.01). 以上よりprobucolは糖尿病の発症予防に有用な薬剤である可能性が示唆され, その機序としてprobucolが膵B細胞の免疫学的な破壊を抑制する可能性が想定された.
  • 永井 幸広, 宮腰 久嗣, 宮本 市郎, 小池 伸彦, 篁 俊成, 堀江 章彦, 家城 恭彦, 番度 行弘, 臼田 里香, 大沢 謙三, 小 ...
    1991 年 34 巻 4 号 p. 351-358
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    末端肥大症患者4例に, 下垂体腺腫摘出術前後で75g 0GTTならびにeuglycemic clampを行い, 本症の耐糖能異常に及ぼすインスリン抵抗性の役割およびその発現機序につき検討した. 7590GTTにおける血糖曲線は, 術前境界型であった3例 (BL例) で術後いずれも改善し, 糖尿病型の1例 (DM例) では術前後で変化がなかった. IRIも術前正常~過剰反応であったBL例で術後頂値が低下したが, DM例では術前後とも低反応で変化はなかった. ブドウ糖Metabolic Clearance Rateを用いたインスリン用量反応曲線では, 術前全例で右下方への偏移がみられ, インスリン感受性ならびに反応性の低下が認められた. 術後はBL例で感受性または反応性の改善がみられたが, DM例では術前と全く同様であった. 以上より本症における耐糖能異常には, GH過剰によるインスリン抵抗性が強く関与しているが, 糖尿病状態になった患者のインスリン抵抗性にはGH上昇以外の因子, すなわち長期間の高血糖やインスリン非依存型糖尿病が本来もっているインスリン抵抗性の関与している可能性が示唆された。
  • 柴田 尚美, 雨宮 禎子, 宇治原 典子, 荷見 澄子, 内潟 安子, 平田 幸正, 新本 洋子, 川島 真, 肥田野 信
    1991 年 34 巻 4 号 p. 359-364
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン依存型糖尿病 (IDDM) の若年女性の両下腿伸側部に生じた, Necrobiosis lipoidica diabeticorum (NLD) を経験したので報告する. 症例は20歳女性. 10歳で糖尿病を発症し, 14歳より右下腿前面, 18歳より左下腿前面に自覚症のない黄褐色の萎縮性局面を生じ徐々に拡大した. その間, 血糖コントロールはHbA1c11~12%と不良であった. 合併症は糖尿病性神経障害を認め, 検査成績の異常は血小板凝集能充進のみであった. 組織学的には, 膠原線維の類壊死とそれを取り巻く組織球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認め, 巨細胞や泡沫細胞も散見され, 真皮血管壁は肥厚していた. 糖尿病に対して食事療法とインスリン頻回注射を行ない, また皮疹に対してステロイド外用とアスピリン19/日, ジピリダモール225mg/日を経口投与し, 約8カ月で著明な改善を認めた. 抗血小板療法とステロイド外用療法の併用が著効を示した症例である.
  • 1991 年 34 巻 4 号 p. 365-382
    発行日: 1991/04/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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