糖尿病
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35 巻, 3 号
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  • 日常活動良好な老年者における75g OGTTによる検討
    伏見 尚子, 井上 徹, 山田 祐也, 大森 美和, 亀山 正邦
    1992 年 35 巻 3 号 p. 197-200
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    当院ドックを受診した65歳以上の日常活動良好な正常対照21名 (71±4歳, 男17, 女4) およびNIDDM127名 (67±5歳, 男66, 女61) に75g OGTTを施行し, 血糖とファルマシアRIAキットを用いてIRIを測定した. 同時に50~55歳の中年群の対照群27名 (52±2歳, 男27) と同じくNIDDM113名 (53±2歳, 男82, 女31) にOGTTを施行した. 各群間で肥満度, 血清脂質に差はなかった. 老年対照群の血清アルブミンは4.3±0.3g/dlで中年対照群4.5±0.3より有意に低値であったが, 糖負荷に対する血糖とインスリン反応は加齢による差はなかった. Insulinogenic Index (30分△IRI/△BS) も差がなかった. 一方NIDDMの老年・中年群では血糖反応には相違はなかった. インスリン反応では僅少ではあるが, 老年群において30分, 180分で有意に高値をとった. しかしInsulinogenic Indexでは差はなかった. 故に非常に健康で活動的な老年群ではインスリン反応には年齢による差が見られず, 老年糖尿病には糖尿病の診断基準を変える必要はないのではないかが示唆された.
  • 川合 厚生, 大久保 直子, 赤沼 安夫
    1992 年 35 巻 3 号 p. 201-207
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1986年4月より5年間, 当院において脳CTスキャンで脳梗塞像を認めた糖尿病患者103名についての臨床像を報告する. 内5名がインスリン依存型で98名がインスリン非依存型であった. 性別では男68名, 女35名で, 両者の脳梗塞平均発症年齢は, それぞれ64 (45~85) 歳および66 (39~80) 歳で, 両者若年齢と共に梗塞合併率は増加した. 糖尿病発症から脳梗塞発症までの平均期間は男16 (-1~55) 年, 女13 (-8~35) 年であった. この期間と糖尿病発症年齢との間には負の相関を認めた. 高血圧症合併者は66%で, 非合併者に比し, 上記期間は有意に短かった. 年齢, 性, 罹病期間をマッチさせた脳梗塞非合併糖尿病対照群に比し初診時血圧は収縮期圧, 拡張期圧とも梗塞群が有意に高かった. 他の危険因子 (肥満, 喫煙, 血清脂質, 血糖コントロール) には両群間に差はなかった. また網膜症, 腎症, 虚血性心電図変化および大動脈石灰化像の出現率にも両群間に差を認めなかった. 治療法は両群間に有意差があり, 梗塞群は対照群に比し, 食事療法と経口剤使用者が多く, インスリン治療者が少なかった. 梗塞巣は55%がラクナ型で, 26%は多発型であった. 23名は軽微な自覚症のみ訴え, 12名は自覚症を欠き, 腱反射異常のみ認めた. 死亡者は10名で, 死因は心不全5, 脳梗塞3, 脳出血1, 癌1名だった.
  • 池淵 元祥, 柏木 厚典, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高グルコース (以下HG) にて8日間培養したヒト臍帯静脈内皮細胞 (以下ECs) におけるグルタチオン代謝の異常を検討した.1) HG (33mMグルコース) 条件下の細胞内還元型, 酸化型グルタチオン (GSH, GSSG) は, 対照 (NG) 群 (5mMグルコース) と差を認めなかった. H202 (200μM) 添加群におけるGSHは, HG群がNG群や高浸透圧対照28mMラフィノース添加群に比し有意に高値であり, GSHの低下の障害を認めた. 2) H2O2添加に伴うGSHの低下は, GSSGの増加と細胞外GSSG輸送で説明され, HG群ではNG群に比しGSSGの増加は44%(P<0.01) の高値を, またGSSGの細胞外輸送は低値であった.3) HG群でグルタチオンペルオキシダーゼ (GPO) 活性はNG群に比し19%(p<0.01) 低下したが, グルタチオンリダクターゼ活性は両群間で差を認めなかった. またH2O2添加群では, GPO活性の低下を認めたが両群間で差を認めなかった. 以上よりHG条件下ECsでグルタチオンレドックスサイクルの異常とGSSGの細胞外輸送の障害を認めた
  • 永井 隆, 荻原 貴之, 冨沢 貴, 鈴木 弘毅, 清水 弘行, 森 昌朋, 斉藤 俊光
    1992 年 35 巻 3 号 p. 217-221
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    モノクロナール抗体結合アフィニティカラムを用いて非肥満型で高コレステロール血症を合併しない糖尿病性腎症男性患者におけるアポ蛋白A-1及びB400含有粒子の組成分析を検討した. 腎症群におけるアポ蛋白A-1含有粒子の特徴はエステル型コレステロール量の割合の増加を伴うコレステロール量の減少であり, アポ蛋白B-100含有粒子の特徴はエステル型コレステロール量の割合の増加を伴うコレステロール量の増加と思われた. これらの脂質代謝異常は動脈硬化の進展への何らかの増悪因子になると思われた. 糖尿病性腎症の管理に際し脂質代謝異常の厳格な管理は重要と思われる.
  • 古家 大祐, 吉川 隆一, 羽田 勝計, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 3 号 p. 223-231
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病状態におけるメサンギウム細胞の機能異常を明らかにする目的で, 高糖濃度条件下の培養メサンギウム細胞に対する心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) およびアンジオテンシンII (ANGII) の作用を検討した. 細胞を5.6mM glucose (C), 27.8mM glucose (H), 5.6mM glucose+22.2mM mannitol (M) の各条件下で5日間培養後, ANPの作用およびANGIIの抗ANP作用を, 細胞内cGMP量および膜結合型グアニル酸シクラーゼ (PGC) 活性を測定することにより検討した. ANP (100nM) 刺激時の細胞内cGMP蓄積およびPGC活性化は, C群に比しHおよびM群で有意に増大していた (p<0.01). 一方, ANP (100nM) による細胞内cGMP蓄積およびPGC活性化に対するANGII (100nM) の抑制作用は, CおよびM群に比しH群で有意に減弱していた (p<0.01). これらの成績は, 高糖濃度条件下のメサンギウム細胞に収縮機能異常が生じ得ることを示唆しており, 糖尿病状態で認められる糸球体機能障害の発生に関与している可能性が示唆された.
  • 間島 毅彦
    1992 年 35 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    コントロール不良の糖尿病患者に対し血糖を改善させたとき神経機能が可逆的か否かを体性および自律神経機能について調べた. 血糖が改善しその後1年間血糖コントロールを良好に保てた18例の神経機能検査は, 運動神経伝導速度 (51±5.4vs55±7.0m/sp<0.01), 知覚神経伝導速度 (48±8.4vs51±9.0m/sP<0.05), 振動覚閾値 (7.8±6.8vs2.8±5.7dBp<0.01), 温度差識別閾値 (5.6±1.6vs4.1±1.7QCp<0.05) が血糖改善直後に有意に改善し, 心拍数変動 (5.4±2.9vs6.8±3.3%) は血糖改善後2カ月目に有意 (P<0.01) に改善した. このことより体性神経のみならず自律神経障害は血糖コントロールにより可逆的であることが示された. また体性神経機能は血糖改善に応じて速やかに改善するのに対し, 自律神経機能の改善はそれに遅れる傾向にあった. 次に改善例の特徴を検索すると, 年齢や罹病期問との問には一定の傾向はみられなかった. しかし腱反射の消失や網膜症が重症なほど改善されにくい傾向があった. 神経障害のある患者を治療するにあたって, 腱反射の有無, 網膜症の有無に注意を払う必要があると考えられた.
  • 前川 聡, 日高 秀樹, 岡山 明, 吉川 隆一, 小林 正, 柏木 厚典, 上島 弘嗣, 繁田 幸男
    1992 年 35 巻 3 号 p. 241-248
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1980年より10年間にわたって滋賀県愛東町の40歳以上65歳未満の住民を対象に糖液負荷後尿糖陽性者に759経口糖負荷試験 (GTT) を行い, 当初3年間の受診者1445名中尿糖陰性また は尿糖陽性でかつ非糖尿病と判定された1338名を追跡し, 人年法により糖尿病の罹患率を求めた. なお尿糖陽性者は, GTTにて追跡した. この追跡期間に, 56名がインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) を発症した. 年齢・性訂正罹患者率は, 8.2±2.1/1000人年であり, 発症の危険因子は, 尿糖陽性, 肥満, 加齢, 性別 (男性<女性), 高血圧であった. また, この糖尿病発症の危険因子は性により異なり, 肥満傾向を有する男性ではむしろ加齢により罹患率は低下した. このことは, 糖尿病発症に上記の危険因子のみでなく, 中年男性に特徴的に負荷される因子の存在が示唆され, 今後の検討が必要であると考えられる.
  • 相沢 秀樹
    1992 年 35 巻 3 号 p. 249-256
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    アミノ酸負荷の尿中アルブミン排泄率 (UAE) と腎血行動態に及ぼす影響, さらにアスピリン (Asp.) のこれらの変化に対する抑制効果を明らかにする目的で, インスリン非依存性糖尿病患者にアルギニン (Arg.) 負荷試験を行った.
    対象はUAEによりnormoalbuminuria: group 1 (n=9), microalbuminuria: group 2 (n=9), macroaibuminuria: group 3 (n=9) の3 group に分けた. Arg.(0.5g/kg) 点滴静注後, 各group共に血漿グルカゴン (IRG) は有意に上昇し, group1, 2ではUAEと腎糸球体濾過率 (GFR), 有効腎血漿流量 (ERPF) は有意に上昇した. Asp. 内服後の負荷試験では, IRGの上昇は抑制されなかったが, 尿中プロスタグランディンE2 (PGE2), UAE, 及びGFRの上昇は有意に抑制された.
    以上より, Asp. はArg. 負荷後のIRGの上昇を抑制しなかったにもかかわらず, UAE, GFRの上昇を抑制した. その機序の一部にPGE2産生抑制が関与している可能性が考えられた. 臨床上Asp. は初期腎症におけるアミノ酸負荷による腎症進展を阻止する可能性が示唆された.
  • 金森 晃, 瀧澤 俊樹, 野々村 弥生, 矢島 義忠
    1992 年 35 巻 3 号 p. 257-263
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 男. 8年前に糖尿病と診断され, 経口血糖降下薬を服用していたが血糖調節は不良であった. 腰痛を主訴に入院した. 左costovertebral angle (CVA) の叩打痛を認め, 高血糖, 赤沈亢進, CRP陽性, 尿沈渣に白血球を認め, 発熱時の血液培養より黄色ブドウ球菌が検出された. CTで第1腰椎の破壊および腰筋の腫脹像を, MRIで第1腰椎の破壊像と左腰筋膿瘍を認めた. 骨シンチでは第12胸椎, 第1腰椎に集積像を認めた. 抗生物質投与と局所の安静により1か月後には腰痛は軽快し, 2か月後には腰筋膿瘍の消失をMRIで確認した. 本例は血糖調節不良のインスリン非依存型糖尿病に尿路感染症から化膿性脊椎炎, 腰筋膿瘍を発症したものと考えられた. 尿路感染症, 頑固な腰痛, 著明な炎症所見を有する糖尿病患者では, 化膿性脊椎炎や腸腰筋膿瘍などの椎骨周囲組織への炎症波及の合併を念頭において, 画像検査を駆使して診断をすすめる必要がある.
  • 森 豊, 鶴岡 明
    1992 年 35 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    We have studied the effect of pravastatin on microalbuminuria in hypercholesterolemic and normocholesterolemic patients with non insulin-dependent diabetes mellitus. A randomized design was used. Thirty three diabetic patients free of overt proteinuria were divided into two groups. One group was given pravastatin 10 mg/day and the other was treated as a control group. The ages of the patients, the duration of diabetes, glycemic control and the initial urinary albumin excretion rate were matched in each group. Urinary albumin concentration was measured by RIA and the albumin creatinine ratio (ACR) was calculated to observe the effect of pravastatin, on an out patient basis, for twelve months.
    In the group treated with pravastatin, ACR (mg/gCr) significantly (p<0.05) decreased from 129.3±86.1 to 69.4±62.9 (9 mo.) and to 78.8±87.0 (12 mo.). The control group showed no definite change in ACR during the twelve month period of observation. In conclusion, even short term treatment with pravastatin can reduce ACR in not only hypercholesterolemic but also normocholesterolemic patients with incipient diabetic nephropathy. In the pravastatin treated group, there was no significant correlation between ACR and other clinical findings. Furthermore, laboratory data before treatment weren't significantly different in the two group of patients, whose ACR decreased or were unchanged.
  • 1992 年 35 巻 3 号 p. 269-290
    発行日: 1992/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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