感染症を発症し入院加療を要した糖尿病患者207例の臨床状況を調査することにより,糖尿病における感染症対策を検討した.感染症の種類は,呼吸器感染症群が最も多く(41%), 次いで尿路感染症群(24%), 皮膚・軟部組織感染症群(17%)の順であった.全対象を白血球数とCRP値により,軽症群,中等症群,重症群に分けると,重症群では随時血糖値が高く,インスリン総投与量が多く,重症度とケトーシス・ケトアシドーシスの合併に有意な関連を認めた.肺炎の検出菌は,最多はmethicillin resistant
Staphylococcus aureus (MRSA)であり,次いで
Klebsiella pneumoniae, Streptococcus pneumoniae, Pseudomonas aeruginosa, Mycoplasma pneumoniaeの順で頻度が高かった.糖尿病患者が感染症に罹患した場合,重症例では著明な高血糖を呈し,ケトーシス・ケトアシドーシスの併発の危険性があるため,速やかに糖代謝異常を是正し,早期に病原微生物を同定し,最適な抗生物質を投与することが必要である.
抄録全体を表示