糖尿病
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50 巻 , 2 号
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原著
  • 池田 香織, 高原 志保, 孫 徹, 岩倉 敏夫, 松岡 直樹, 小林 宏正, 石原 隆
    2007 年 50 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    糖尿病治療薬による重症低血糖症が最近増加している可能性がある.われわれは,2003年から2005年の3年間に当院救急外来にて薬剤性低血糖による意識障害と診断された2型糖尿病患者50例の特徴を検討した.男性29例,女性21例,年齢は75.6±10.0歳と高齢で,スルホニル尿素薬(SU薬)使用36例,インスリン使用13例,併用1例であった.HbA1c≤6.0%の症例が23例と多く,低血糖症の原因は主に,ハイリスク患者へのSU薬の適用と過剰な投与,腎機能障害,肝機能障害,食事摂取不足であった.ハイリスク患者とは高齢患者や腎機能低下患者である.24例の意識状態が昏睡であり,推定昏睡時間が10時間を超えた3例については治療後も脳障害が残った.患者の増加や高齢化に伴って,糖尿病治療の現場は専門医以外の医療現場に広がりつつあり,特に高齢者や腎機能低下患者に関する適切なガイドラインの普及が必要である.
  • 米田 真康, 藤川 るみ, 沖 健司, 中島 玲子, 野島 秀樹, 日域 邦昭, 中西 修平, 山根 公則, 河野 修興
    2007 年 50 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    感染症を発症し入院加療を要した糖尿病患者207例の臨床状況を調査することにより,糖尿病における感染症対策を検討した.感染症の種類は,呼吸器感染症群が最も多く(41%), 次いで尿路感染症群(24%), 皮膚・軟部組織感染症群(17%)の順であった.全対象を白血球数とCRP値により,軽症群,中等症群,重症群に分けると,重症群では随時血糖値が高く,インスリン総投与量が多く,重症度とケトーシス・ケトアシドーシスの合併に有意な関連を認めた.肺炎の検出菌は,最多はmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)であり,次いでKlebsiella pneumoniae, Streptococcus pneumoniae, Pseudomonas aeruginosa, Mycoplasma pneumoniaeの順で頻度が高かった.糖尿病患者が感染症に罹患した場合,重症例では著明な高血糖を呈し,ケトーシス・ケトアシドーシスの併発の危険性があるため,速やかに糖代謝異常を是正し,早期に病原微生物を同定し,最適な抗生物質を投与することが必要である.
症例報告
  • 久保 正, 後藤 理恵, 高城 正利
    2007 年 50 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.1993年に糖尿病と診断され,00年にヒトインスリン(HI)を開始した.03年1月まで,必要量1日80単位に漸増し,125Iインスリン結合率は96%を示した.インスリンアスパルト(IAsp)に変更し,HIとほぼ同量で血糖コントロールは維持されていたが,04年7月上旬突然血糖値が著しく上昇し,IAsp毎食前30単位で効果がなく,9月中旬インスリンリスプロ(ILP)に変更した.血糖値は3∼4日後から急速に低下し,11月以降毎食前12単位で良好に維持された.IAsp特異的抗体15.1%, IAsp/HI交差反応性抗体47.2%と高値で,Scatchard解析ではhigh-affinity siteの親和性が低く,結合能は著しく高値で,インスリン自己免疫症候群(IAS)の抗体と類似していた.本例はHI/IAsp治療中産生されたインスリン抗体により,HIやIAspへの抵抗性が生じて著しい高血糖を呈したが,ILPが血糖降下に著効を示した興味ある症例である.
  • 佐藤 直市, 井口 登與志, 孫田 淑代, 井出 誠, 佐々木 修二, 坪内 博孝, 中山 三枝子, 園田 紀之, 小林 邦久, 伊藤 鉄英 ...
    2007 年 50 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は28歳女性.幼少時より低血糖症状を認め妊娠,出産を契機として増悪.2回にわたる治療的膵切除術を施行されるも効果は一時的であり当科入院となった.インスリノーマ,各種内分泌機能不全,インスリン自己免疫症候群,腫瘍性低血糖症などの疾患は低血糖の原因疾患として否定的であった.本症例は膵病理組織像にて膵島過形成との診断がなされており,これらによるインスリンの相対的分泌亢進が低血糖症の原因と考えられた.症例の娘も低血糖症状にて突然死していることから遺伝性疾患が疑われるが,本症例の末梢血における検索ではSUR 1/Kir 6.2, グルコキナーゼなどの遺伝子異常は認められなかった.また経口糖負荷後のGLP-1の血中濃度は上昇しており低血糖の一因となっている可能性も考えられた.本症例のように原因不明の難治性低血糖症をきたす症例は散見され若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 森岡 未千子
    2007 年 50 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性.21年来の糖尿病.内服治療中の2003年5月,腹部超音波検査で肝腫瘍が発見され,B型慢性肝炎,肝細胞癌と診断された.6月外科に入院,肝切除術が施行された.8月遺残膿瘍で発熱が続き3回目の入院加療.11月再度発熱,胸水貯留しており,入院の上抗菌薬投与,トロッカー挿入.退院後の2004年1月再度発熱して入院,内科併診となった.糖尿病はスルホニル尿素薬(SU薬)のみの治療でこの間コントロールは不良,インスリン開始したが注射後顔面紅潮,食欲不振,嘔気等の全身症状を呈した.インスリン継続中,造影剤にて既往のなかったアナフィラキシーに陥った.抗生物質にもアレルギーが存在した.現在糖尿病のコントロールはSU薬に戻しHbA1c 7∼8%台である.B型肝炎を基盤とした術後の難治性感染の治療中にインスリンを導入して,インスリンを始めとする複数の薬剤に,連鎖的な有害な薬物反応を呈した症例であった.
コメディカルコーナー・原著
  • 大徳 真珠子, 江川 隆子, 藤原 優子, 奥宮 暁子
    2007 年 50 巻 2 号 p. 163-172
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,糖尿病患者のフットケア行動を向上させることを目的に,足潰瘍のない糖尿病患者30名に対して足潰瘍発症リスクに合わせた頻度で定期的に1年間フットケア介入を継続した.介入頻度は,足潰瘍発症リスクが低度のリスク1群:6カ月毎,中等度のリスク2群:3∼4カ月毎,高度のリスク3群:1∼2カ月毎であった.介入内容は,(1) 糖尿病と足に関する情報提供,(2) 爪切りや胼胝削りなどのフットケアを提供し,フットケアモデルを見せながら日常生活でのフットケア方法を指導するものであり,1回の介入に要した時間は約30∼45分間であった.介入の評価には,フットケア,食事,運動,血糖自己測定,服薬,禁煙のセルフケア行動を点数化するJSDSCA (the Japanese translated the Summary of Diabetes Self-Care Activities Measure)を使用した.定期的なフットケア介入後のフットケア行動は3カ月後に有意に向上し,介入を持続することにより介入開始1年後に至る間,フットケア行動の改善を維持できていた.またリスク2群の対象に対しては,3∼4カ月毎の介入が妥当と示唆された.さらにフットケア行動の副次的な効果として運動のセルフケア行動が改善した.
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