糖尿病
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39 巻 , 1 号
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  • 安田 紀久子, 鈴木 英司, 柴田 敏朗, 武田 則之, 井上 洋, 石塚 達夫, 北田 雅久, 幅 浩嗣, 松波 英一, 安田 圭吾
    1996 年 39 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病患者33名, 正常対照者7名を測定対象とし, 磁気共鳴画像 (MRI) を用いて, 非侵襲的に, 腓腹神経の構造変化の検討を行った. スピン-格子緩和時間 (T1値) を浮腫, 横断面積を萎縮または腫大, 信号強度の変動係数 (CV値) を内部構造変化の大きさの指標として, それぞれ用いた. 新しく開発された測定方法により, T1値の測定時間を3分程度までに短縮可能であった. 糖尿病群神経組織のT1値は, 正常対照群と比較し, 有意に延長していたが (P<0.05), 筋肉および脂肪組織では差を認めなかった. 神経組織のT1値は, 空腹時血糖およびHbA1cと有意な正相関を (P<0.05), 運動神経伝導速度と負相関を示した (P<0.01). 横断面積は両群間で差を認めなかった. CV値は糖尿病群で有意に増加した (P<0.05). 以上の結果より, 糖尿病性神経障害の非侵襲的診断, 評価方法としてMRIが極めて有用であることが示唆された.
  • 藤沼 宏彰, 山崎 俊朗, 清野 弘明, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    1996 年 39 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    運動療法の基礎資料とすることを目的に, 男性384例, 女性192例, 計576例のインスリン非依存型糖尿病患者について, 呼気ガス分析による嫌気性作業閾値 (AT) の測定を実施し, 性・年代別および治療法や血糖コントロールとの関連について検討した. その結果, 糖尿病患者のAT時酸素摂取最および仕事率は, 年代と共に低下し, 健常群と比較して低い傾向にあった. AT時の心拍数は男女とも年齢と有意な負の相関を示し, 男性では年齢別推定最大心拍数の63%, 女性では65%に相当した. AT時の収縮期血圧は年齢と共に高くなる傾向にあったが, 異常反応を示す症例は認めなかった. 主観的運動強度は, 「楽である」から, 「ややきつい」とする症例が多かった. 糖尿病の治療法, 血糖コントロール状態はAT時のいずれの指標にも影響を与えていなかった. 以上の事実は有酸素運動が適当とされる糖尿病運動療法の運動強度の指標として, 嫌気性作業閾値 (AT) を用いることが有用であることを示唆している.
  • 氏家 徹
    1996 年 39 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    NIDDMの顕性腎症期において, 血圧以外の進展因子と腎機能低下との関係を明らかにする目的で以下の研究を行った. 調査開始時70歳以下で持続性蛋白尿を有し, 血清クレアチニン (Cr) 正常, 血清アルブミン (Alb) 3.0g/dl以上, を満たす38例を対象とした. 糖尿病以外の腎炎・尿路感染症などが疑われるものは除外し, 過去3年間のHbA1, 血清総コレステロール (T-CHO), Albの平均値を求めた. 腎機能の指標には1/Crを用い, その3年間の変化量 (△1/Cr) の平均値で対象をさらに2群に分けて検討した. その結果, 収縮期・拡張期血圧は2群間に有意差はなく, 同一群内でも有意な変動はなかった. △1/Crが平均値未満の腎機能悪化群において, △1/CrとHbA1, T-CHO, Albの間に有意な相関 (それぞれr=-0.49, p<0.05; r=-0.52, p<0.05; r=0.77, p<0.01) を認めた. この群で行った主成分分析では, 第1主成分はHbA1とAlbが, 第2主成分はT-CHOが主であった. 以上より, 顕性糖尿病腎症の病期にあっても, HbA1とAlb, 次いでT-CHOが腎症の進展に関与する可能性が示唆された.
  • 紀田 康雄, 柏木 厚典, 吉川 隆一
    1996 年 39 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Lp (a) は冠動脈硬化の危険因子の一つと考えられている. 糖尿病患者でもLp (a) は高く, 特に腎症と関連があるとする報告が多いが, Lp (a) と糖尿病患者の血管合併症との関係は明らかではない. 今回は596例のNIDDMを対象とし, Lp (a) と閉塞性動脈硬化症 (ASO) の関係を検討した. ASOは78例 (13%) に見られた. ASO群の特徴は有意に高齢で糖尿病歴が長く, BMI, HDL-C, ApoA1は低く, Lp (a) は高値であった. 更に高血圧, 虚血性心疾患, 腎症, インスリン治療者の頻度が高かった. しかし腎症とLp (a) は密接な関連があり, ASO群に腎症の頻度が有意に高いため腎症の有無で分けるとASOとLp (a) には有意な相関はなかった. 多変量解析でも糖尿病患者のASOと加齢, 糖尿病歴, 腎症, 高血圧, ApoA1低下が有意な関連を認めたが, Lp (a) がASOの独立した危険因子としての確証は得られなかった.
  • 佐々木 陽, 上原 ます子, 堀内 成人, 長谷川 恭一, 清水 孝郎
    1996 年 39 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    わが国における糖尿病患者の長期間にわたる自然史を明らかにする目的で, 当センターの登録糖尿病患者 (NIDDM) 1, 939名について平均15年間の経過観察を行った. 1993年末現在生存1,000名 (51.6%), 死亡880名 (45.4%) で, 生死不明59名 (3.0%) であった. 1,000人年対死亡率は1960-1984年の28.84から1985-1993年の35.74へ上昇した. しかし, O/E比 (観察死亡数/予測死亡数) は1.77から1.52へ低下し, 初診時年齢65歳以上を除くと生命予後は改善傾向がみられた. 死因別には初診時年齢65歳未満のものはこの間全死因, 悪性新生物, 脳心腎血管疾患のO/E比の低下をみたが, 虚血性心疾患は変わらなかった. 65歳以上では逆に全死因, 悪性新生物, 脳心腎血管疾患, とくに虚血性心疾患, 脳血管疾患のO/E比が増加した. また, 腎疾患は全般的にかなりの減少がみられた. 以上の死因の推移から今後の糖尿病患者の死因構造の変化が示唆された
  • 清野 弘明, 平田 昭彦, 山崎 俊郎, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    1996 年 39 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    先天性総胆管拡張症に膵臓の形成不全を伴う症例はまれである1) 2). この膵臓形成不全 (膵体尾部欠損) により糖尿病を発症したと思われる1例を経験したので報告する. 症例は25歳女性でFBS 332mg/dl, 尿ケトン体強陽性, ケトーシスにて緊急入院. 入院時より肝機能障害あり, GOT61u/l, GPT 68u/l, ALP 654u/l, LAP 582u/l, γ-GTP 355u/lであった. 腹部超音波により総胆管拡張を認め, DIC, ERCP, 腹部CTにより先天性総胆管拡張症および膵体尾部欠損症と診断した. 尿中CPRは低値 (1.8, 22.3, 9.7μg/day) を示し, グルカゴン負荷試験の血中CPRは前値0.1ng/ml, 6分値0.7ng/mlであった. 総胆管空腸吻合術時の膵生検にて, 膵島炎はなく膵島の低形成を認めた. 本症例は, 先天性総胆管拡張症を併発した膵体尾部欠損により生じたインスリン依存型糖尿病の初めての報告例である.
  • 鴨井 久司, 曽我 謙臣, 高木 正人
    1996 年 39 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性. 60歳時に健診で糖尿病を発見され, 血糖降下剤を受けていたが, 徐々に血糖制御が不良となり, 71歳時からインスリン治療を開始し, 1年後にふらつきが出現した. HbA1cは6.5%と軽度増加, 尿中CPR排泄量は正常で, 軽度の末梢神経障害を認めた. LDHはI型優位の上昇. 大球性高色素性貧血で骨髄は過形成, 巨赤芽球とHowell-jolly bodyを認めた. 血清鉄, フエリチン, UIBC, 血中葉酸値は正常, 血中ビタミンB12は著減していた. 抗膵島細胞抗体, 抗内因子抗体と抗壁細胞抗体は陽性を示し, 抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体価も高値を示した. HLAはB54 (22) とDR4を有していた. ふらつきと貧血はビタミンB12製剤により速やかに回復した. 以上から本例は本邦では稀な悪性貧血を合併した糖尿病で, 発症, 増悪に自己免疫が関与していると思われる. 検索し得た本邦での悪性貧血を合併した糖尿病の特徴は本例を含めて大多数が女性で, 中高年者に多くインスリン分泌能が保たれていることである.
  • 荘司 奈穂子, 丸山 太郎, 岩崎 良二, 鈴木 裕也, 小沢 ゆか子, 春日 明, 伊東 克彦, 武井 泉
    1996 年 39 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1996/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 女性. 24歳で糖尿病を指摘され, 食事療法でコントロール可能だったが, 27歳よりインスリンを導入された. 29歳で妊娠し, 30歳で正常分娩で出産した. 出産5カ月後に喋りにくさを自覚し, 自然に改善したが, 4カ月後に右眼瞼下垂が出現した. 抗アセチルコリン受容体抗体 (+), 右眼輪筋反復刺激にてwaning現象 (+), Tensilon test (+), 胸部CTで胸腺過形成 (+) より重症筋無力症と診断した. 肥満なく若年発症で家族歴に糖尿病なく, インスリン分泌の進行性の低下がみられ, GAD65抗体 (+) よりslowly progressive IDDMに発症5年目で重症筋無力症を合併したと考えられた. インスリン依存型糖尿病と重症筋無力症の合併は比較的稀であるが, 本邦における重症筋無力症と糖尿病の合併に関して文献的考察を行い, インスリン依存型糖尿病と重症筋無力症には共通の自己免疫機序を病因に有する可能性が示唆された.
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