社会的環境因子として家族構成を中心に, 高齢者糖尿病患者の血糖コントロールに影響する因子を調べた. 方法は断面調査で, 1995年5~6月の当科外来通院中の糖尿病患者304人中, 満65歳以上の94人を対象とした. 同居家族の世代数, 調理者, 治療法, 配偶者の有無, 性などの要因別に, HbA
1c値を群間比較した. 同居世代数別のHbA
1c (平均値±標準偏差) は, 1世代のみの核家族 (A), 2世代同居家族 (B), 3世代同居家族 (C) でそれぞれ7.1±1.2%, 7.2±1.2%, 6.5±1.1%であった (Avs. C; P=0.04, Bvs. C; P=0.05, Avs. B; P=0.08). 調理者別では, 本人 (D), 配偶者 (E), その他: 娘や息子の嫁 (F) で, それぞれ7.1±1.2%, 7.1±1.1%, 6.6±1.2%であった (Dvs. E; P=0.97, Evs. F; P=0.10, Dvs. F; P=0.09). 治療法別では食事療法, 経口剤, インスリンでそれぞれ6.7±1.2%, 6.9±1.1%, 7.4±1.2%であった (食事vs. 経口剤; P=0.59, 食事vs. インスリン; P=0.04, 経口剤vs. インスリン; P=0.07). 配偶者の有無や男女差では有意差はなかった. これより高齢者糖尿病患者では, 家族環境が血糖コントロールに影響する.
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