糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
50 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 小寺 隆元, 江藤 隆, 八田 弓子, 中野 逸郎, 武田 一人, 名取 省一
    2007 年 50 巻 3 号 p. 191-196
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    顕性糖尿病性腎症(病期分類第3∼4期)を合併した,外来通院中の2型糖尿病患者20例を対象として,厳格な血圧管理による尿蛋白量の減少効果を検討した.介入前と比べて6カ月後の介入後では平均収縮期血圧166.7±20.0 mmHgから119.9±14.2 mmHg (mean±SD) (p<0.01), 平均拡張期血圧79.3±10.2 mmHgから65.2±15.1 mmHg (mean±SD) (p<0.01)と有意差をもって低下した.介入前後の降圧薬の数は平均2.1種類から4.9種類に増量されており,尿蛋白・尿クレアチニン比(以下U-TP/Ucr)は介入前2.72±2.20 g/gCrが介入後1.20±1.36 g/gCr (p<0.01)と有意差をもって減少し,血圧の低下度とU-TP/Ucrの減少度に有意の相関を認めた.一方,HbA1cの低下度とU-TP/Ucrの減少度には相関を認めなかった.以上の結果から,顕性糖尿病性腎症における厳格な血圧管理は,U-TP/Ucrを指標とした尿蛋白量を著明に減少させると考えられた.
症例報告
  • 安孫子 亜津子, 磯江 つばさ, 宮内 和誠, 本庄 潤, 上堀 勢位嗣, 滝山 由美, 伊藤 博史, 長谷部 直幸, 羽田 勝計
    2007 年 50 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性で糖尿病罹病期間は約30年.1999年から尿タンパク陽性を指摘.2002年1月に尿中アルブミン1604 mg/gCreであり,その後他院の腎臓内科に下腿浮腫で入院時,尿蛋白1.2 g/日,24 hrCcr 68 ml/分であった.血糖は経口薬内服するもコントロール不良,血圧もアンジオテンシン受容体拮抗薬でコントロール不良であり,同年10月当院を紹介される.このとき随時尿の尿中アルブミンは773 mg/gCre, 神経障害,増殖網膜症も合併.2003年5月急性心筋梗塞発症.入院時,尿中アルブミン167 mg/gCre, 24 hrCcr 71 ml/分.インスリン治療を導入し,降圧薬の増量,抗血小板薬やスタチンも開始となる.退院後,血糖コントロールはHbA1c 7%前後で経過.1年後に尿中アルブミンは約50 mg/gCre, 2年後には12 mg/gCreに減少した.糖尿病罹病期間が長く,その他の合併症があっても,集学的治療で腎症の3期から1期への寛解がみられた.
  • 伊藤 直子, 若杉 隆伸
    2007 年 50 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性で,27歳妊娠時に糖尿病を発症した.33歳時に両側白内障手術の既往あり.41歳でCPKの上昇と両側大腿部の筋肉痛が出現した.遠位筋優位の筋力低下,ミオパチー様顔貌,拇指球の叩打性筋強直,CPK上昇,IgG低下,dystrophia myotonia protein kinase遺伝子領域の450-1100回のCTGリピート等より,筋強直性ジストロフィー(以下MyDと略す)と診断した.糖尿病ケトアシドーシスによる9回の入院歴,血清CPR 0.09 ng/ml, 抗GAD抗体陽性,ICA抗体陽性,HLA遺伝子型DRB1*0901-DQB1*0303等より,1型糖尿病と診断した.これまでに報告されたMyDと合併した糖尿病は高インスリン血症を伴う2型糖尿病であった.今回報告の症例は1型糖尿病でインスリン分泌能は廃絶していた.MyDと1型糖尿病を合併した稀有な1例を報告し,両疾患の関連性について若干の文献的考察を行った.
  • 森 博子, 岡田 洋右, 西田 啓子, 廣瀬 暁子, 新生 忠司, 森田 恵美子, 田中 良哉
    2007 年 50 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性.2001年2型糖尿病と診断され,2004年10月よりヒトインスリン治療を開始されていた.血糖コントロールが改善し2005年8月より内服薬,インスリンを中止されていたが,11月より低血糖発作が出現し頻発するため9月当科紹介入院.入院時,IRI 1,700 μU/ml, インスリン抗体83.3%と高値で,Scatchard解析におけるhight affinity siteの親和性は1.85×108M-1と高く,また結合能も26.2×10-8Mと高かった.以上の結果より,本例のインスリン抗体はインスリン注射によって生じた抗体であると推測した.インスリン抗体の結合能が非常に高いことから,インスリン抗体の存在により末梢では著明なインスリン抵抗性の状態であったことが推測され,食事療法の不徹底も加わり反応性低血糖が惹起されたと考えられた.さらに,低血糖に対する恐怖心で一層の過食傾向となり著明な食後過血糖を呈したことにより,低血糖の頻度はさらに増加したと推測された.低血糖は,入院後の食事療法,ボグリボース内服にて消失しており,現在までコントロール良好である.ヒトインスリン治療中に生じたインスリン抗体が低血糖の誘因となった既報は少なく,稀な症例と考えられ報告する.
コメディカルコーナー・原著
  • 倉 尚樹, 平尾 節子, 前田 一, 山本 律子, 北原 美保, 倉 五月, 菊池 信行, 安藤 哲也, 杤久保 修, 平尾 紘一
    2007 年 50 巻 3 号 p. 213-216
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    1型糖尿病女性の体重コントロールを目的としたinsulin misuse (IM)と食行動について調査した.IM質問紙とEAT-26調査票を配布し,34名(30.1±5.0歳)から有効回答を得た.IMは8名(23.5%)に認められた.IM群はnon-IM群と比較して血糖コントロールは不良であり,食行動異常を有する可能性が高く,インスリン療法や良好な血糖管理により体重が増加するという考えが強いことが認められた.
  • 西村 博之, 江口 朝子, 池田 亜須香, 井島 廣子, 川口 はるみ, 橋口 和子, 石塚 洋一, 陣内 秀昭, 陣内 冨男
    2007 年 50 巻 3 号 p. 217-221
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリン自己注射によるlipohypertrophy(以下,LH)は,限局した部位への皮下注射により形成され,インスリンの吸収障害の一因になる事が懸念される.LH形成は臍の両側に多く観察されることを経験するが,実際にどの部位にLHが好発するのか,またその原因については明らかでない.そこでLH形成部位と自己注射部位の関連を調べる目的で,患者対象の調査を実施した結果,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下に多かった.この理由として,同部位が手技的に自己注射しやすいだけでなく腹部でも穿刺時痛の少ない部位のため限局して注射している可能性を考え,次に健常者対象の腹部部位別の穿刺時痛比較試験を実施した結果,臍の横とななめ下で穿刺時痛が少ないことがわかった.これらの結果より,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下が多く,その理由として穿刺時痛の少ない部位を無意識に選択して注射していることが一因と考えられた.
feedback
Top