糖尿病
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50 巻 , 12 号
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原著
  • 浦風 雅春, 山崎 勝也, 薄井 勲, 岩田 実, 宇野 立人, 村上 史峰, 山本 由紀, 岸田 みか, 相川 秀彦, 川原 順子, 仙田 ...
    2007 年 50 巻 12 号 p. 835-841
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    現在,スルホニル尿素(SU)薬として汎用されているグリメピリドを0.5 mg/日から開始することの有用性は,ほとんど検討されていない.そこで本研究では,食事・運動療法のみで治療中の日本人2型糖尿病患者(HbA1c 6.5%以上8.0%未満)40例を対象に,グリメピリド0.5 mg/日から投与開始した場合の有効性と安全性について4カ月にわたり検討した.HbA1cは,投与直前7.2±0.4%(平均値±SD, 以下同じ)から1カ月後6.9±0.5%と,投与1カ月後から有意な改善が認められ,その改善は2カ月後以降も持続した.0.5 mg/日の固定症例33例における投与4カ月後のHbA1c 6.5%未満の達成率は54.5%であった.体重およびBMIには有意な変化は認められなかった.低血糖1例および低血糖様症状3例を認めたが,いずれも重篤なものではなかった.食事・運動療法では効果不十分な2型糖尿病患者に対するグリメピリド0.5 mg投与は,体重増加をきたすことなく,HbA1cを緩徐にかつ有意に改善でき,経口血糖降下薬による初期投与法として有用であることが示唆された.
  • 佐野 亙, 櫛田 早絵子, 光岡 浩志, 小倉 武司, 大西 裕, 前田 光雄
    2007 年 50 巻 12 号 p. 843-847
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    対象を,ウエスト径,メタボリックシンドローム(以下,MetSと略す)構成危険因子数で,MetS構成危険因子数2個未満の群〔risk factor(以下,RFと略す)<2〕,ウエスト径男性85cm, 女性90cm未満でMetS構成危険因子数2個以上の群〔RF≥2+MetS (-)〕,MetS群の3群に分類し,動脈硬化,心・脳血管疾患既往について比較検討した.その結果,性別を問わず,RF<2群と比較してRF≥2+MetS (-)群,MetS群で有意に動脈硬化,心・脳血管疾患既往を認めた.また,RF≥2+MetS (-)群と比較してMetS群でHOMA-R値が有意に高値であり,インスリン抵抗性の存在が推測されたが,両者間の動脈硬化,心・脳血管疾患既往には有意差を認めなかった.われわれは,非MetS者のなかにもMetS患者と同等の心・脳血管疾患リスク重積者が存在することを認識しなくてはならない.
症例報告
  • 小林 恵子, 梅園 朋也, 丸山 真弓, 阿部 麻記子, 小林 貴子, 加藤 麻祐子, 宮内 雅晃, 山本 直之, 木村 守次, 豊田 雅夫 ...
    2007 年 50 巻 12 号 p. 849-852
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性,2型糖尿病と診断を受けるも放置し感染を契機に糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA)を発症.入院時著明な血清強乳糜を示し,ほとんどの生化学検査が測定不可能のなか,血清コレステロール(以下TC)1,260 mg/dl, 血清中性脂肪(以下TG)15,120 mg/dlと著明な高脂血症を合併し,網膜脂血症も認めるdiabetic lipemiaの状態であった.入院後インスリン補充と輸液療法にてDKAに対して治療を行うとともに,高脂血症に対してフィブラート系薬剤を併用したところ速やかにTGは改善し,急性膵炎や虚血性心疾患など致死的合併症が生じることなく退院となった.通常1型糖尿病患者に合併するdiabetic lipemiaを内因性インスリン分泌能が確認されている2型糖尿病のDKAで経験した貴重な症例と考えられた.
  • 石塚 伸子, 藤本 新平, 松岡 啓子, 福田 一仁, 村口 尚子, 稲垣 暢也
    2007 年 50 巻 12 号 p. 853-858
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性,2005年5月31日アルコール飲酒後,腹痛,発熱を認め,6月1日近医を受診した.血清アミラーゼ1,071 IU/l(正常値40-125 IU/l)と高値で,腹部CTで軽度膵腫大を認め,急性膵炎と診断され入院となった.内科的治療で,解熱し腹痛も改善していたが,6月6日,糖尿病ケトアシドーシスを発症し,インスリン治療を開始し改善した.6月10日の腹部CTでは,膵腫大は改善していた.尿中CPRは,<0.1 μg/日,グルカゴン負荷試験の血中CPR値は前値,6分値とも<0.1 ng/ml, ヘモグロビンA1cは7.3%であり,抗GAD抗体,抗IA2抗体は陰性であった.膵腫大も一過性で膵外分泌酵素正常化後にケトアシドーシスを発症したことから,急性膵炎による糖尿病は考えにくく,短期間でインスリン分泌が枯渇した点で劇症1型糖尿病と診断した.劇症1型糖尿病の発症前に膵腫大を観察した報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
  • 鎌田 裕二, 市川 雷師, 黒坂 真矢, 黒川 智彦, 松原 まどか, 田中 啓司, 守屋 達美, 藤田 芳邦
    2007 年 50 巻 12 号 p. 859-863
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    37歳の女性.2004年7月,近医で高血糖を指摘され,当院を受診した.随時血糖509 mg/dl, 血中ケトン体(2+)および代謝性アシドーシスを認め,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.DKAの回復後,インスリン強化療法を開始したが,その3日後から浮腫が出現し,体重は1週間で49 kgから55 kgに増加した.尿中Na排泄量は0.5 g/日未満であった.同時期より徐脈(脈拍46/分)が出現し,血清アドレナリン,ノルアドレナリンは各々5 pg/ml未満,68 pg/mlと低値であった.塩分制限食とフロセミド経口投与(20 mg/日)により,尿中Na排泄量は増加し,浮腫は消退した.同時に血清カテコラミンは正常化し,徐脈も改善した.本症例の浮腫はインスリン浮腫と診断した.その主な発現機序はインスリンによるナトリウム再吸収亢進によるものと考えられる.本症例では原因不明の著しい徐脈があり,インスリン浮腫との関連が疑われるが,因果関係についてさらなる検討が必要である.
  • 大谷 敏嘉, 笠原 督, 内潟 安子, 岩本 安彦
    2007 年 50 巻 12 号 p. 865-871
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    50歳頃から急に重症低血糖を頻回に起こし始めた44年以上の罹病歴を有する小児期発症1型糖尿病の3症例を報告する.症例1は53歳の女性.1959年11月(6歳)発症.2002年3月(48歳)から意識消失を伴う低血糖が頻回に出現.症例2も53歳の女性.1962年12月(9歳)発症.2002年6月(48歳)から意識消失を伴う低血糖が頻回に出現.症例3は52歳の女性.1959年9月(4歳)発症.2005年12月(51歳)から意識消失を伴う低血糖が頻回に出現.全症例とも更年期から低血糖が重症化してきた.症例2では更年期に加え自律神経障害の関与が考えられた.小児期発症1型糖尿病女性患者では更年期を迎える50歳頃から急にそれまでとは異なる重症低血糖を頻回に起こすようになることがあるので,治療にはより細やかな対応が必要である.
  • 阿部 崇, 太田 茂, 内田 健三
    2007 年 50 巻 12 号 p. 873-876
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリン投与を契機として心不全を発症した症例を経験したので報告する.症例は64歳女性,インスリン投与開始後,約3カ月でHbA1cが14.6%から8.7%に改善した時期に下腿と足背の著明な浮腫と労作時の息切れを訴え来院した.体重は48 kgと初診時に比し12 kg増加していた.初診時43%であった心胸郭比が66%と増大し,両側胸水を認めた.心電図に著変なく,BNPは477 pg/mlと著明な高値を示し,ドップラー心エコーで左室駆出率(以下EFと略す)26%と著明な収縮機能低下と拘束型の拡張機能障害を認めた.心嚢水の中等度貯留も認めた.強心剤,利尿剤の投与で14日後には下腿浮腫と胸部X線での胸水の消失を認めたが,2カ月後の心臓超音波でもEF 35%と収縮機能低下と拘束型の拡張機能障害は不変であった.心不全発症前の負荷心筋シンチグラフィでは安静時,負荷時ともに心筋血流欠損は認めず,虚血性心疾患は否定的だがEFは37%と低下していた.本例での心不全の発症因子として慢性的な「糖尿病による心筋硬度の異常」を基盤として,急性的な「外因性インスリンによる体液貯留」が加わり発症した可能性が示唆された.
コメディカルコーナー・原著
  • 朝倉 俊成, 影山 美穂, 清野 弘明
    2007 年 50 巻 12 号 p. 877-882
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    インスリンカートリッジに針を装着したまま保管したときの空気混入,およびインスリン製剤の品質に対する影響を検討した.4種類のインスリンプレフィルド製剤を用いて,注射針を装着したまま19日間20°Cの温度変化を与えて保管した.結果はどの注入器もインスリンカートリッジ内に空気混入が認められ,気泡の大きさは経時的に増加した.さらに懸濁インスリン製剤では,空気混入のほかにインスリン濃度の濃縮化が見られた.したがって,注射後に注射針を装着したままインスリン注入器を保管すると,注入精度の低下などから血糖コントロールに対して悪影響をおよぼす可能性が高いといえる.患者へはセーフティーマネジメントの一環として,注射針は使用後すぐに取りはずすことと注射前にカートリッジ内に混入した気泡を「空打ち(試し打ち)」で抜くよう指導する必要がある.
  • 横田 友紀, 菅野 咲子, 多田 純子, 石村 郁恵, 山下 りさ, 奥田 昌恵, 横山 宏樹
    2007 年 50 巻 12 号 p. 883-886
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    受診中断を防ぐことは糖尿病診療の重要な課題である.受診調査としてコホート857名を形成し,約1.5年後の通院継続者788名と中断者69名において,臨床的特徴,およびアンケート調査による意識を見た.アンケート回答率は80.2% (687名)だった.中断群は継続群と比較し,回答率が低く(36.2% vs. 84.0%), 罹病期間が長く(9.7年vs. 8.9年),食事療法のみが多く(32.0% vs. 12.0%), HbA1cが高く(7.0% vs. 6.8%), 顕性腎症が多かった(16.7% vs. 6.5%). さらにアンケート回答では時間的多忙感(36.0% vs. 17.2%), 交通の便の悪さ(16.0% vs. 5.9%), 家族の協力がない(12.0% vs. 3.9%), 医療従事者への不満(8.0% vs. 1.2%)に有意差を認めた.これらへの対処対応は中断を防ぐ一助と考えられる.
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