Platelet activating factor (PAF) は強力な血小板凝集惹起物質であり, PAFによる血小板活性化はADP, Thromboxaneを介さない新しい経路によるものと推定されている. 今回, 健常人50名および糖尿病患者73名においてPAFによる凝集能および他の凝集能などの関係を検討したので報告する.糖尿病患者は, 6ヵ月以上血糖の変動を認めない群51名 (血糖安定群) と, 血糖コントロールを開始してから2週間前後に採血した群22名 (血糖低下群) の2群に分けた.凝集惹起物質としては, PAF0.5μg/ml, ADP3μM, Collagen 10μg/ml, Epinephrine 9.3μg/m
lを用いた.
健常人では, PAF凝集能値は54.6±11.8%で, 年齢と性別による有意の差は認めなかったが, 20歳台~30歳台のPAF凝集能は60歳台に比し高い傾向が認められた.
PAF凝集能とADP凝集能, Collagen凝集能の間にはおのおのr=0.338, r=0.342の正の相関関係を認めた.糖尿病患者ではPAF凝集能は37.8±26.1%と, 健常人に比し有意に低値を示した.PAF凝集能とADP凝集能, Collagen凝集能, Epinephrine凝集能の間にはおのおのr=0.678, r=0.706, r=0.387の正の相関関係を認めた.糖尿病患者のうち, 血糖安定群のPAF凝集能は30.1±22.1%で, 血糖低下群のPAF凝集能は55.8±26.3%と両者の間には0.1%の危険率にて有意の差を認めた.
血糖安定群のうち, 血糖良好群と血糖不良群の間には有意の差は認めなかった.血糖低下群においてPAF凝集能は血小板数との間にr=0.587の正の相関関係を, また血液粘度との間にr=-0.490の負の相関関係を認めた.
PAF凝集能は他の血小板凝集惹起物質による血小板凝集と良く相関したが, 糖尿病患者では, 健常人に比し有意にPAF凝集能のみが低下しており, また, 血糖コントロールを開始してから2週間前後で採血した群は, 6ヵ月以上血糖の変動を認めない群に比し, PAF凝集能は有意に亢進していた.
抄録全体を表示