Valsalva テスト施行時における手指皮膚毛斜紐血管血流量 (PBF) の変動を, レーザードップラー皮膚血流量計 (PLDF) により観察し, 糖尿病性自律神経障害の評価を試みた.PLDF は, 2mW のHe-Ne レーザーを使用しており, PBFを直接的, 連続的, 非観血的, しかも簡便に測定し得るものである.健常者80名と糖尿病患者93名を対象とし, またValsalvaテストによるPBFの反応型によって, PBF decreasingvcloclty (PIV) を指標として設定した.
1) 健常者に, 硫酸アトコピン1mgの負荷を行った.その結果, PDVは有意の低下を来したが, 呼吸停止時間の差や年齢階層別PDV値には有意差を認めなかった.
2) 健常者のPDV値 (mV/sec) が134±41 (mean±SD) であるのに対し, 糖尿病患者では75±50 (mean±SD) と有意 (p 0.001) の低下が、1忍められた.健常者のmean±2SDを正常範囲とすると, 糖尿病患者におけるPDVの異常出現率は45%(93名中的42名) であった.
3) 21例の糖尿病患`者で, 深呼吸時の心拍数変動 (BBV) を測定した.PDV と BBVの間には有意の正相関 (r= 0.802, P< 0.001) が認められた.
今回のValsalva テストにおけるPBF 反応パターンの解析から, PDV は主として副交感神経機能をみるものと考えられ, PLDFによるPBF 変動の観察は, 糖尿病性自律神経障害の新しい評価手段として, 臨床上有用であると考えられた.
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