糖尿病
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47 巻, 11 号
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  • 3・4週間からの短縮効果
    森 久也, 中川 潤一, 高島 留美子, 千丸 博司
    2004 年 47 巻 11 号 p. 837-844
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病では患者教育は重要だが, 長期には入院できない患者も少なくない. 一方で, 入院後の食事・運動療法で速やかに安定する症例も散見される. 私達は従来の4週間の教育プログラム (A群: 平成10年度35例) を, まず3週間 (B群: 11-13年度162例) に短縮した. 更に食事療法で安定する症例は2週間頃が多かったので, 14年度からは2週間に短縮し (C群: 84例), クリティカルパスを改良使用した. これら3群間で入院日数, 退院時および1年後のHbAlc, 教育効果 (50の質問を行い判断) を比較したところ, A群は各28.5±6.3日, 8.4±1.896, 73±1.696, 44.9±2.1, B群は22.6±5.2日, 8.1±1.296, 7.4±1.396, 45.1±4.2, C群は148±4.0日, 8.1±1.296, 7.2±1.396, 43.4±5.6と, 短い入院日数でも, 入院中や退院後の血糖コントロールや教育効果に差を認めなかった. このように2週間の教育入院でも, プログラムなどを工夫することで同等の教育効果と血糖コントロールの方向付けが得られると思われた.
  • 星野 和彦, 赤沼 安夫
    2004 年 47 巻 11 号 p. 845-850
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1, 5-anhydroglucitol (以下1.5AGと略す) はHbA1c, グリコアルブミン, フルクトサミンなどの血糖調節マーカ-と比べてより直近の血糖コントロールを反映し, 僅かな血糖変化でも鋭敏に捉えられるなどの特徴がある. L5AGと糖尿病網膜症の発症の関連を調べる目的で, 調査開始時に糖尿病網膜症を認めなかった452名の患者を対象として8年間の経過を調査した. 調査中の上5AGの平均値と糖尿病網膜症の発症率には有意な負の相関を認めた (r=-0.254). HbA1cを平均値で4群化し, 1, 5AGを同じく2群化して, その組み合わせで糖尿病網膜症の発症率を比べたところ, HbA1cが7.296以上の群では, 1, 5AGが4.5μg/ml以下の群と組み合わせた場合はそれ以外の組み合わせよりも著明に高かった. 本研究により, 上5AGもHbA1cと同様に糖尿病網膜症の発症を予知する指標として有用であることが示された. また, HbA1cが高値の患者において, 1, 5AGを加味した方がより確実に糖尿病網膜症の発症を予知できるものと考えられた.
  • 岸川 博文, 岡田 洋右, 廣瀬 暁子, 河原 哲也, 三澤 晴雄, 谷川 隆久, 神田 加壽子, 森田 恵美子, 田中 良哉
    2004 年 47 巻 11 号 p. 851-854
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性, 2003年1月悪寒・四肢筋痛を主訴に近医受診. Loxoprofen sodiumなどが投与されたが症状改善せず. その後炎症反応高値を指摘され, 2月20日他院紹介入院. 3月になり夜間不穏が数回出現し, その際の血糖値18mg/dl, 血清IRI値3, 356μU/mlと, 低血糖および高インスリン血症を認め, 同月14日当科に転院. インスリン注射歴はなかったが, 高力価のインスリン抗体を認めた. Scatchard解析ではpolyclonalな抗体を認め, high-affinity siteのK値が0.53×108M-1で, b値は99.7×10-8Mであり, インスリン自己免症候群と診断した. また筋痛・発熱の原因はリウマチ性多発筋痛症と診断し, steroidにて加療した. 本症例はSH基含有薬剤の使用歴はなく, 薬物リンパ球刺激試験の結果ではloxoprofen sodiumのみが陽性であり, 同剤中止後に自然軽快していることから, 同剤が誘因のインスリン自己免疫症候群と考えられた. 本疾患とリウマチ性多発筋痛症との関係は不明であるが, 両疾患ともHLA-DR4と強い相関があることが報告されている. しかし, 本症例ではDR4は認めず, DR6 (DRB1*1405) を認めるのみであった, 文献上loxoprofen sodiumがインスリン自己免症候群の誘因となった報告はなく, またHLA-DR4を有していない点からも極めて稀な一例と考える.
  • 高橋 仁麗, 六角 久美子, 市来 健二, 中村 友厚, 長坂 昌一郎, 岡田 耕治, 塚原 宗俊, 栗原 克己, 佐田 尚宏, 永井 秀雄 ...
    2004 年 47 巻 11 号 p. 855-860
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は31歳, 女性. 慢性水様下痢に感冒が力口わり, 脱水によるショックで近医入院となった. この際に低K血症及びVIP高値を指摘され, また糖尿病を指摘された (空腹時血糖200mg/dl, HbA1c6.996). 当院転院後の精査にて膵鉤部に径が約30mmの腫瘍が同定され, 腫瘍核出術を施行, 病理組織学的にVIPomaと診断された. 術後VIPは正常化し, 下痢及び低K血症は改善したが, 糖尿病には明らかな改善が認められなかった. VIPomaの約25-5096に耐糖能障害の合併が報告されており, 両者の関連について, 文南犬的考察を含めて報告する.
  • 星 勝彦, 小野田 昌敏, 小野 美明, 丹野 弘晃, 三浦 幸雄, 岡 芳知
    2004 年 47 巻 11 号 p. 861-864
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 男性. 罹病期間38年の2型糖尿病患者で, 脳血管や冠動脈に強い動脈硬化を伴っていた. 腹痛を主訴に入院したが確定診断には至らず, 入院後36時間で急に重症のイレウス症状をきたした. 緊急開腹し, 上腸間膜動脈根部閉塞症の診断で小腸・大腸大量切除を施行した. 輸液管理により術後の経過は良好であったが, 徐々に短腸症候群が進行し, 10カ月後に死亡した. 本症の頻度は高くないが, 動脈硬化症患者の高齢化に伴い増力口してくると考えられる. 本症は一般的な診察や検査では早期診断はかなり困難で, 術前・術中死・腸管大量切除など, 不幸な転帰をとる症例が大部分であるとされる. 一方, 腹部造影CTや腹部血管造影の有用性, 血管内力テーテルによる血栓溶解療法や血管外科的治療有効例の報告もある. 今後, 我が国でも動脈硬化の進んだ2型糖尿病患者が増加すると考えられ, 動脈硬化の強い糖尿病患者に原因不明の腹痛を認めた場合, 本症を鑑別疾患に加えることが重要と思われる.
  • 不可逆性脊髄麻痺の2例と保存的に治癒した1例
    村上 英広, 南 尚佳, 宇都 宮幸子, 徳永 仁夫, 新谷 哲司, 松浦 文三, 恩地 森一
    2004 年 47 巻 11 号 p. 865-868
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例1は77歳, 男性, 2型糖尿病にて加療中, 背部痛が出現し近医入院. 胸膜炎と診断されステロイド投与を受けていたが, 下肢麻痺も出現し当院整形外科転院. 胸椎化膿性脊椎炎の診断で胸腔鏡視下胸椎前方固定術を受けた. 症例2は57歳, 男性. 2型糖尿病, 出血性胃潰瘍で近医入院中, 背部痛, 発熱が出現. 歩行困難も出現し当院整形外科転院. 胸椎化膿性脊椎炎と診断され前方除圧固定術を受けた. 症例3は77歳, 男性. 2型糖尿病, 肝癌, 肝硬変で入院加療中, 強い腰痛を自覚. 腰椎化膿性脊椎炎と診断され抗生剤にて保存的に加療した. 3例とも糖尿病に低栄養を合併していた. 治療後, いずれの症例も痙痛は消失したが2例に両下肢麻痺が残存した. 化膿性脊椎炎は, 進行すると脊髄麻痺を生じる疾患であり, 早期に診断し手術を含め適切に治療を行う必要がある. 中高年の糖尿病患者では, 化膿性脊椎炎の合併に留意し注意深い観察が必要である.
  • 植田 麻希, 田代 憲司, 平松 真祐, 住吉 秀之, 小河 淳, 岩瀬 正典, 飯田 三雄
    2004 年 47 巻 11 号 p. 869-873
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 男性. 1983年 (昭和58) 糖尿病を指摘されSU薬を開始した. 1996年 (平成8) 神経因性膀胱のため自己導尿を開始した.1998年 (平成10) より立ちくらみと失神発作を伴う起立性低血圧を自覚したため入院精査し, 糖尿病性自律神経障害と診断された. 2000年 (平成12) 頃から歩行時のふらふら感, 便失禁が増悪した. 2001年 (平成13) より体幹部のゆれ, 失神発作が頻発したため当科入院. 腱反射は正常で, 重篤な自律神経障害と小脳性運動失調を伴う病歴に力口え画像上小脳萎縮を認めたため, Shy-Drager症候群と診断した-脊髄小脳変性疾患に改善報告のあるthyrotropin releasing hormone製剤を投与したところ, 運動失調と起立性低血圧の軽減を認めた. 高度の自律神経障害をもつ糖尿病患者ではShy-Drager症候群による自律神経障害との鑑別が必要である.
  • 尿中微量蛋白との関連を中心に
    高松 和永, 中山 和子, 古屋 美知, 安房田 司郎, 大黒 隆司
    2004 年 47 巻 11 号 p. 875-878
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    (目的) 2型糖尿病患者において尿中8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG) を測定し, 尿中微量蛋白濃度などとの関係を検討した.(結果) 糖尿病患者群の尿中8-OHdGは健常者群と比べて有意に高値でHbA1cと有意の正相関を認めたが, 尿中アルブミン濃度をはじめ, どの尿中微量蛋白濃度とも有意の関係はみられなかった.(結論) 2型糖尿病において尿中8-OHdGでみた酸化ストレスは, 高血糖による影響が大きいことが考えられた.
  • 梶岡 多恵子, 長崎 大, 北村 伊都子, 徳留 みずほ, 久保田 正和, 小澤 尚久, 四宮 葉一, 佐藤 祐造
    2004 年 47 巻 11 号 p. 879-882
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    乗馬様他動的運動機器が糖代謝に及ぼす影響について, 正常血糖クランプ法により検討を行った. 健常男性5名が60分間の騎乗運動を行った結果, インスリン作用の指標となるグルコース注入率 (GIR) は安静時に比して有意に増大し, 回復期に至っても高値を示した. 本機器による運動では, 騎乗時の姿勢保持のために大腿筋, 腹筋, 背筋等の筋収縮が誘発され, エネルギー需要が高まり, 糖の取り込みが元進することが示唆された.
  • 任 和子, 津田 謹輔, 谷口 中, 福島 光夫, 北谷 直美, 奥村 裕英, 長谷川 順子, 中井 義勝
    2004 年 47 巻 11 号 p. 883-888
    発行日: 2004/11/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    通院中の2型糖尿病患者の188名を対象に, 糖尿病に関連した日常生活のストレス原因に対するコーピングと血糖コントロールの関連について検討した. HbA1c≧896を血糖コントロール不良群 (n=48) とし, HbA1c<896を血糖コントロール良好群 (n=140) としたーコーピングはストレスコーピングインベントリーで測定し, ストラテジー配分 (問題解決優位群・情動中心優位群) と, 対処型から検討した. その結果, ストラテジー配分では, 血糖コントロール不良群に情動中心優位型が多いことが明らかになった, 対処型でみると, 逃避型・離隔型・自己コントロール型の得点において, 血糖コントロール不良群の得点が良好群に比し高かった. 血糖コントロール不良群は, 情動中心優位のストラテジーをとる傾向があり, それは逃避型・離隔型の対処型が用いられることに起因すると考えられた.
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