1, 5-anhydroglucitol (以下1.5AGと略す) はHbA
1c, グリコアルブミン, フルクトサミンなどの血糖調節マーカ-と比べてより直近の血糖コントロールを反映し, 僅かな血糖変化でも鋭敏に捉えられるなどの特徴がある. L5AGと糖尿病網膜症の発症の関連を調べる目的で, 調査開始時に糖尿病網膜症を認めなかった452名の患者を対象として8年間の経過を調査した. 調査中の上5AGの平均値と糖尿病網膜症の発症率には有意な負の相関を認めた (r=-0.254). HbA
1cを平均値で4群化し, 1, 5AGを同じく2群化して, その組み合わせで糖尿病網膜症の発症率を比べたところ, HbA
1cが7.296以上の群では, 1, 5AGが4.5μg/m
l以下の群と組み合わせた場合はそれ以外の組み合わせよりも著明に高かった. 本研究により, 上5AGもHbA
1cと同様に糖尿病網膜症の発症を予知する指標として有用であることが示された. また, HbA
1cが高値の患者において, 1, 5AGを加味した方がより確実に糖尿病網膜症の発症を予知できるものと考えられた.
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