糖尿病
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65 巻, 11 号
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特集
糖尿病における脂質異常症
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 細川 和広, 栗山 哲, 河合 俊英
    2022 年 65 巻 11 号 p. 581-589
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    目的:SGLT2阻害薬は心・腎保護のエビデンスが報告されており,尿酸(UA)値低下作用もその機序の一因と考えられる.方法:SGLT2阻害薬が投与された外来通院中の2型糖尿病患者114例を対象に,血清UA値に与える影響を後ろ向きに観察した.結果:投与開始後24週目において,HbA1c,体重,BMIはそれぞれ有意に低下した(p<0.001).血清UA値は,全体では5.6±1.3から5.2±1.0 mg/dLと有意に低下した(p<0.001).一方,投与前の血清UA値を3分位に分け検討したところ,高値群で有意に低下したが(p<0.001),低値群では微増(p<0.05)に転じる変化が観察された.結論:高尿酸血症を伴う2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬投与は血清UA値を低下させる.一方,投与前血清UA値が正常低値の患者に対しては,血清UA値を増加させる可能性がある.

症例報告
  • 廣瀬 俊介, 両林 龍太郎, 蔵本 沙央里, 平野 亮子, 藤本 良士
    2022 年 65 巻 11 号 p. 590-594
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    症例は66歳女性,62歳時より2型糖尿病で加療中であった.来院当日に自殺企図し,インスリングラルギンU-100を300単位とリラグルチド36 mgを皮下注射し,嘔吐などの症状で当院に救急搬送され精査加療目的で入院となった.入院後に低血糖を認め,ブドウ糖の経静脈投与にて加療を行った.その後入院4日目まで低血糖が遷延し経静脈ブドウ糖投与を継続したインスリングラルギンの大量投与例では低血糖が長時間遷延するため,慎重な経過観察と対応が必要であると考えられた.インスリングラルギンとリラグルチドの大量投与による遷延性低血糖の症例は極めて稀であり,副作用による悪心,嘔吐で摂食改善が遅れたことや両者の相加相乗的な働きにより低血糖時間が延長したと考えられたため文献的考察も加えて報告する.

  • 川住 宗生, 城山 枝里, 吉井 陽子, 久保田 益亘
    2022 年 65 巻 11 号 p. 595-602
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    症例は62歳男性.61歳時2型糖尿病と診断され,血糖管理不良のためインスリン治療が導入された.62歳時肺炎にて入院した際,中止していたインスリン治療を再開したが,低血糖が頻回に出現し,不安定な血糖変動の原因としてインスリン抗体陽性が判明した.ブタインスリンを抗原にしたScatchard解析にて,インスリン抗体は高結合部位数,低親和性を示した.インスリンを中止,ステロイド投与を開始して低血糖症状は改善した.5年9ヶ月に亘るScatchard解析にて抗体の性質変化を観察し,ステロイド開始にて抗体の性質が改善し,中断後には抗体の性質が悪化することを確認した.本例ではステロイドの使用がインスリン抗体の性質改善に寄与したが,長期に亘るステロイド治療を行っても抗体の性質改善は充分ではなかった.しかしながら,少量のステロイドの継続投与により低血糖頻度を減らすことが可能であった.

  • 城山 枝里, 久保田 益亘, 吉井 陽子, 齊藤 彰久, 倉岡 和矢, 長野 学, 米田 真康
    2022 年 65 巻 11 号 p. 603-610
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    症例は76歳女性.70歳時に左胸膜腫瘍切除術を施行され,術後3年間は再発なかったがその後通院を自己中断していた.76歳時,低血糖で救急搬送され,低血糖時の内因性インスリン分泌や血中insulin-like growth factor(IGF)-Iは低値だった.肝・腎機能障害やコルチゾールの低下は認めず,単純CTで左胸腔に粗大な腫瘤を認めた.患者血清のWestern blottingによる解析で大分子量IGF-IIの存在が証明され,大分子量IGF-II産生膵外性腫瘍による低血糖症を考えた.手術は希望されず緩和ケアの方針となったが低血糖回避のため中心静脈栄養を継続せざるを得ない状態が続き,第94病日に死亡した.剖検では免疫染色にてIGF-II,IGF-II受容体の発現が示され,大分子量IGF-IIとIGF-II受容体の複合体が腫瘍の発育に影響している可能性が考えられた.

地方会記録
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