症例は60歳男性.アルコール多飲歴あり.2009年11月,下腿浮腫と腹部膨満のため受診.腹水貯留を伴うアルコール性肝硬変と診断された.2010年1月,随時血糖501 mg/d
l, HbA1c 9.2 %で糖尿病と診断され一日3回法でインスリン導入.使用量48-64 IU/日にてHbA1c 5.5~6.9 %の間で安定していたが,9月よりコントロールが悪化し,10月には空腹時血糖408 mg/d
l, HbA1c 11.5 %となった.インスリン120-160 IU/日使用もHbA1c 8 %台で推移.2011年1月,門脈圧亢進症悪化のためHassab手術施行.インスリン使用量は減少し,その後中止.グリメピリド0.5 mg/日の使用にてHbA1c 5.5~6.5 %の間を推移したため,薬も中止したが,血糖コントロールは安定した.手術により,インスリン抵抗性が改善し耐糖能が著しく改善した肝硬変合併糖尿病の1例である.
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