糖尿病
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58 巻, 7 号
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原著
病態・代謝異常・合併症
  • 山城 慶子, 高橋 千春, 上村 志津子, 飯田 直子, 横田 純子, 稲垣 賀子, 石田 香苗, 吉井 秀徳, 栗林 伸一, 小沼 富男
    2015 年 58 巻 7 号 p. 439-445
    発行日: 2015/07/30
    公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    インスリン注射を同じ部位に繰り返すと皮下腫瘤ができる.腫瘤を①膨隆し硬い,②膨隆し軟らかい,③平坦で硬いと定義した.腫瘤の合併率とその危険因子,ローテーション指導により血糖が低下するかを検討した.注射部位を指で指して下さいと質問してローテーション実施の有無を,視診触診にて腫瘤の有無を確認し,ローテーションを指導した.次回受診日に血糖の変化を確認した.641例を対象とし,581例が解析対象となった.腫瘤の合併率は44.4 %.ロジスティック回帰にて腫瘤有りと,総インスリン量(オッズ比1.020, p=0.020),及びローテーションしていない事(オッズ比5.336, p<0.001)が相関した.144例でローテーション指導の影響を調べた結果,低血糖頻度が有意に増加し,血糖が低下する可能性が示された.定期的な腫瘤の確認と,ローテーション指導が必要であり,血糖不良の際に腫瘤を鑑別に挙げるべきである.
  • 横田 太持, 宇都宮 一典
    2015 年 58 巻 7 号 p. 446-452
    発行日: 2015/07/30
    公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    低血糖症状を自覚できないImpaired awareness of hypoglycemia(IAH)は重症低血糖や認知症との関連が注目されている.本研究は,日本人におけるIAHの調査,認知症との関連について検討することを目的とした.慈恵医大附属病院通院中のインスリン治療,血糖自己測定を実施している糖尿病患者でIAHのアンケート調査を行い,病歴,合併症,コントロール,重症低血糖との関連を調べた.101名中12名がIAHに該当した.診療において低血糖認識低下が疑われ,アンケートでもIAHと診断された症例がある一方,アンケートの結果と診療における低血糖認識低下の印象が異なる例もあった.また,IAHと診断された患者における認知機能に関する検討も行った.今後,IAHおよびIAHが疑われる糖尿病患者に対し,経時的に認知機能との関係,非IAH患者との違いを検証し続けていくことが必要と考えた.
  • 橋本 善隆, 石井 通予, 磯野 元秀, 中村 直登, 福井 道明
    2015 年 58 巻 7 号 p. 453-457
    発行日: 2015/07/30
    公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    【緒言】化膿性脊椎炎は椎体や椎間板に細菌感染がおこる極めて稀な疾患である.糖尿病は化膿性脊椎炎のリスクとされているが,過去に糖尿病における化膿性脊椎炎の詳細な検討は行われていない.【方法】対象は2011年4月から2013年3月までの間に大津市民病院に入院した化膿性脊椎炎患者30名.化膿性脊椎炎および腸腰筋膿瘍の診断は画像所見および臨床所見にて行った.【結果】糖尿病合併群(16名)では非合併群(14名)と比較して腸腰筋膿瘍の合併率が有意に高く,再発・死亡・抗生剤治療継続患者数が有意に多かった.糖尿病を合併することは各種因子で補正しても腸腰筋膿瘍の合併のリスクであった(オッズ比14.9, 95 %信頼区間1.49-391.0, P=0.020).【結語】糖尿病は化膿性脊椎炎患者が腸腰筋膿瘍を合併するリスクとなる.
症例報告
  • 竹藤 聖子, 中嶋 祥子, 柴田 みゆき, 伊藤 真梨子, 松永 眞章, 草田 典子, 久納 孝夫, 野村 由夫
    2015 年 58 巻 7 号 p. 458-464
    発行日: 2015/07/30
    公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.アルコール多飲歴あり.2009年11月,下腿浮腫と腹部膨満のため受診.腹水貯留を伴うアルコール性肝硬変と診断された.2010年1月,随時血糖501 mg/dl, HbA1c 9.2 %で糖尿病と診断され一日3回法でインスリン導入.使用量48-64 IU/日にてHbA1c 5.5~6.9 %の間で安定していたが,9月よりコントロールが悪化し,10月には空腹時血糖408 mg/dl, HbA1c 11.5 %となった.インスリン120-160 IU/日使用もHbA1c 8 %台で推移.2011年1月,門脈圧亢進症悪化のためHassab手術施行.インスリン使用量は減少し,その後中止.グリメピリド0.5 mg/日の使用にてHbA1c 5.5~6.5 %の間を推移したため,薬も中止したが,血糖コントロールは安定した.手術により,インスリン抵抗性が改善し耐糖能が著しく改善した肝硬変合併糖尿病の1例である.
  • 平瀬 伸尚, 有田 好之, 北島 慶子, 西川 寛, 生山 祥一郎
    2015 年 58 巻 7 号 p. 465-472
    発行日: 2015/07/30
    公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    62歳女性.49歳時に全身性エリテマトーデスにてプレドニゾロン5 mg/日投与,52歳時に自己免疫性好中球減少症を発症し40 mg/日に増量.このとき早朝空腹時血糖値が低かったが,ステロイド投与による反応性低血糖と判断.その後,プレドニゾロンは漸減され5 mg/日で維持されていた62歳時,夕食前に低血糖昏睡を起こした.血糖値40 mg/dlにもかかわらずIRI 4.47 μIU/mlと分泌抑制を認めなかった.Fajans' indexではインスリノーマを診断しえなかったが,絶食グルカゴン試験でインスリン過剰分泌が示唆された.CTで膵頭部腫瘤を,選択的動脈刺激静脈サンプリングで胃十二指腸動脈からの刺激でインスリンの有意上昇を認め,膵頭部インスリノーマと診断.本症例は早朝空腹時低血糖をステロイド投与による反応性低血糖と判断したため診断が遅れた.低血糖を見た場合,注意深い鑑別診断が必要である.
地方会記録
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