糖尿病患者194例を対象に, 夜間尿を用いて尿中アルブミン排泄指数 (UAI) を求め, 正常群 (15mg/g・Cr末満), 微量群 (15~199mg/g・Cr), マクロ群 (200mg/g・Cr以上) の3群に分け, 血清脂質, アポ蛋白および大動脈脈波伝導速度 (PWV) を測定し, 比較検討した. UAIの増加に従い総コレステロール, 中性脂肪 (TG), アポB, アポE, アポB/アポA-I比は高値となり, HDLコレステロールは低値となる傾向にあった. 特に, 正常群と微量群の間に, TG, アポB, アポB/アポA-I比は有意差を認めた (それぞれp<0.01, p<0.05, p<0.05).PWVもUAIが高くなるに従い速度が速くなり, 正常群と微量群およびマクロ群の間には有意差を認めた (それぞれp<0.02, p<0.001). また, apo B/apo A-I比とPWVの間には有意の正相 関 (r=0.34, p<0.01) を認めた. 以上より, 糖尿病患者では, 糖代謝異常に伴う脂質代謝異常とは別に, 微量アルブミン尿の時期に既に, 脂質代謝異常が存在し, 大動脈硬化の程度にも差があることが確認された.
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