20歳以後に発見され, ケトーシス傾向を示さず臨床経過中, インスリン治療を必要とした症例のうち, 抗GAD抗体陽性群 (40例) を検査時年齢, 発見年齢, 推定罹病期間をマッチさせた陰性群 (18例) と比較し, 成人発症GAD抗体陽性糖尿病の臨床像を明らかにした. 抗GAD抗体陽性群および陰性群の平均検査時年齢はそれぞれ53.4歳, 54.5歳, 推定罹病期間は7.1年, 9.2年. BMIは20.7と22.2であったが, 糖尿病発見からインスリン治療までの期間はそれぞれ平均1.6年, 3.3年であった.DR4またはDR9を有する症例は2群問で有意差はなかった. A24は陽性群36%が保持していたが, 陰性群では認められなかった. ICAは抗GAD抗体陽性群では60%が陽性, 陰性群では5.5%が陽性であった. 抗GAD抗体陽性群のICA512陽性率は23%で, ICA512とICAの両方陽性は20%であった.抗GAD抗体陽性群はICA, ICA512とも陽性率が高かった. 成人発症GAD抗体陽性糖尿病は, 自己免疫機序による膵β 細胞破壊が考えられた.
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