糖尿病
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38 巻, 10 号
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  • CS-045およびベザフィブレートの糖代謝および脂質代謝への影響
    井上 郁夫, 原田 泰広, 高橋 慶一, 片山 茂裕, 石井 淳
    1995 年 38 巻 10 号 p. 761-767
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン感受性 (イ感性) 低下と高トリグリセリド (TG) 血症を呈するフルクトース (Fr) 負荷の病態を明らかにするため, イ感性改善薬, CS-045 (CS) および高TG血症改善薬, ベザフィブレート (Bf) をFr過剰摂取ラットに投与し, イ感性低下と高TG血症の関連性を検討した.Wistarラットに5週間普通食を摂取させた群を正常対照とし, 高Fr食を負荷した群 (Fr群), 高Fr食に加えてCSおよびBfを経口投与した群 (CS群, Bf群) について, 実験開始時, 実験開始5週後に空腹時血清インスリン, FFA, 血糖 (PG), 脂質濃度, リポ蛋白リパーゼ活性, TG分泌速度を測定した.CS群では負荷5週後空腹時のPG, IRI, FFAがFr群に比し有意に低下した.Bf群ではFFAが低下し, PG, IRIは変化なかった.Fr過剰摂取ラットにおいては, 高TG血症によりイ感性が低下しているのではなく, 逆にイ感性が低下しTGが上昇していると考えられた.
  • 成宮 学, 大橋 力, 窪倉 俊隆, 鏑木 與善, 染谷 泰寿, 田嶼 尚子, 磯貝 行秀
    1995 年 38 巻 10 号 p. 769-775
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    下肢灌流実験法を用いて正常および糖尿病ラット骨格筋の脂肪酸利用に対するインスリンおよびブドウ糖の影響を検討した.1mmol/lパルミチン酸, インスリン, ブドウ糖を含む灌流液で1時間灌流し下肢骨格筋の脂肪酸クリアランス (F) 値を算出した.正常群ではブドウ糖は500mg/dlまではF値を増加させ, 以後はF値を減少させた.ブドウ糖存在下で正常群, 糖尿病群ともに62.5μU/mlインスリンはF値を増加させたが, それ以上インスリン濃度を高めるとF値は低下傾向を示した.両群ともに, ブドウ糖非存在下ではインスリンはF値に影響を及ぼさなかった.糖尿病群では正常群と比較して, いずれの条件下でもF値は低下した.以上の成績から, ブドウ糖が骨格筋の脂肪酸利用に重要な役割を演ずることが示唆された.また糖尿病状態では, 骨格筋の脂肪酸利用が低下し, この低下が血中遊離脂肪酸濃度の上昇に寄与し, 肝への脂肪酸供給に関与している可能性が考えられた.
  • 膵移植前後の心機能の検討
    佐藤 麻子, 荷見 澄子, 青木 かを里, 朝長 修, 中神 朋子, 松本 博, 黒木 宏之, 馬場園 哲也, 寺岡 慧, 太田 和夫, 大 ...
    1995 年 38 巻 10 号 p. 777-783
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵移植を行ったインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者3例における移植前後の心機能の変化を心エコー図を用いて計測し, 移植が心機能に及ぼす影響を検討した.対象は移植後6カ月以上の生着を認めた女性3例 (30-37歳), 2例は膵腎同時移植, 他の1例は腎移植後膵移植を行っている.膵移植前2カ月以内, 6ヵ月後に心エコー図およびドプラー法により左室内径と左室短縮率を計測した.また, 拡張機能の指標として拡張早期流入速度勾配および急速流入期最大流速に対する心房収縮期最大流速の比を測定した.3例とも移植後インスリン治療から離脱しHbA1cは正常値となった.また, 移植前と6ヵ月後の左室拡張終期径は変化なかったが, 膵腎同時移植後1例は左室収縮終期径の短縮を認め, 収縮能は改善した.膵腎同時移植の2例とも移植後に明らかな左室拡張能の改善を認め, 腎移植後膵移植の1例においても軽度ではあるが左室拡張能の改善傾向を認めた.膵腎移植後に心機能が改善した機序として腎移植による容量負荷の軽減, 尿毒症による心筋抑制因子の除去が挙げられるが, 腎移植後膵移植においても心拡張能の改善傾向を認めたことにより血糖の正常化が心筋障害の改善に関与している可能性が示唆された.
  • 阿部 房江, 石田 香織, 大島 一洋, 島 健二, 白川 悦久
    1995 年 38 巻 10 号 p. 785-790
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    専用濾紙 (Tina-quant HbA1c) に指頭血を吸着させ, 郵送した濾紙検体でHbA1c測定が可能かどうか検討した.血液を吸着させた濾紙をパンチアウトし, 溶血剤で一晩冷蔵保存し, ヘモグロビン (Hb) を溶出させて, 溶血液を作成し測定検体とした.総Hb濃度はオキシヘモグロビン法で, HbA1cは免疫阻害比濁法で測定し, HbA1c (g/dl) Hb (g/dl) ×100=HbA1c (%) と計算した.対照としてのHPLC法はHLC-723 GHb II (東ソー) を使用した.濾紙滴下血液検体を用い免疫比濁阻害法での測定値の同時再現性はCV 1.22-1.99%, 日差再現性はCV 2.32-3.81%を示し満足すべきものであった.
    IDDM患者28名を対象に濾紙に血液を吸着させ, 郵送し, 3日後に到着したものを測定した. 同一全血検体でHPLC法と濾紙検体免疫比濁阻害法での指頭血, 静脈血それぞれの測定値の相関はr=0.975 (y=1.30x-1.43), r=0.975 (y=1.26x-1.29) と良好な成績であった, 以上の成績より, 郵送濾紙滴下血液を使用してのHbA1c測定が免疫比濁阻害法を用いることにより可能であることが明らかとなった.
  • 藤井 雅史, 住田 安弘, 伊藤 邦展, 勝木 顕, 土橋 健, 村田 和也, 後藤 浩之, 中谷 中, 矢野 裕, 嶋 照夫
    1995 年 38 巻 10 号 p. 791-796
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    65歳以上の高齢でインスリン依存型糖尿病 (IDDM) を急性発症した2例を報告する. 症例1は男性. 67歳時に全身倦怠感, 口渇を訴え受診. 高血糖, 尿中ケトン陽性であり尿中CPR排泄量は3.8μ9/日と低値であった. 症例2は女性. 68歳時に感冒様症状あり, その後, 嘔吐出現, 摂食不能, 昏睡状態となり近医に入院. 高血糖, 尿中ケトン陽性でありインスリン治療が開始された. 昏睡状態ケトーシスは改善したが, インスリン治療による寛解は認めず, 血糖コントロールは不良であった. 当科へ入院尿中ケトン陽性であり尿中CPR排泄量は1.1μg/日と低値であった. HLAは症例1がDR4, A24, BW54であり, 症例2がDR9, BW61であった. 65歳以上で急性発症したIDDMの文献的報告例は調べうる限りでは本邦で4例と稀であり, 65歳以下の自験例を加えて検討し報告した.
  • 年森 啓隆, 中津留 邦展, 牧 妃佐子, 山口 秀樹, 光川 知宏, 長嶺 元久, 矢野 伸樹, 武村 次郎, 杉山 悟, 栗林 忠信, ...
    1995 年 38 巻 10 号 p. 797-803
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン依存型糖尿病の1例で病棟内の歩行を契機として膝関節脛骨上端の内・外顆骨折をおこした. 一方, インスリン非依存型糖尿病の1例では散歩中に膝関節脛骨上端の内顆骨折を来した. いずれもインスリン治療中で, 罹病期間は長く, 血糖コントロールは不良であり, 糖尿病性網膜症, 腎症および運動・感覚神経ならびに自律神経を伴った高度の糖尿病性神経障害を認めた. 前者では無月経と, 糖尿病性胃腸症による悪心・嘔吐のため運動量の極端な減少がみられ, 後者では近位筋群の筋萎縮と筋力低下が認められた. 軽微な誘因による, 軽い骨・関節部の痛みでも, Charcot関節や糖尿病性内顆 (内側) 型膝関節症から内・外顆 (全型) 膝関節症への進展を阻止するため, 単純レントゲン撮影や骨MR画像検査などによる骨折病変の早期発見と膝関節への免荷などの適切な処置が必要である.
  • 松本 一成, 阿比留 教生, 魚谷 茂雄, 松尾 浩, 川崎 英二, 山崎 浩則, 山元 秀文, 山口 義彦, 赤澤 昭一, 徳山 薫平, ...
    1995 年 38 巻 10 号 p. 805-810
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性でWerner症候群に伴う糖尿病患者である. 今回, 我々は新しい経口血糖降下剤であるCS-045 (Troglitazone) を本例に投与し, その効果を確認したので報告する. 入院後1200kcalの食事療法と運動療法を開始した. 1日7回 (朝食前後, 昼食前後, 夕食前後, PM10: 00) の血糖測定を3日間施行し, その平均値をmean PGとした. Mean PGは入院時276mg/dl, 入院後3週で232mg/dlまで低下した. しかし, 6週でも229mg/dlとそれ以上低下せず, CS-045 400mg/dayを開始した. CS-045開始後3週でmean PGは152mg/dl, 6週では137mg/dlまで低下した. HbA1cも入院時11.2%, 食事療法施行後9.3%, CS-045投与後8.5%と改善した. インスリン分泌は75g OGTTにおけるArea under the curveで検討し, 入院時4573μU/ml・min, 食事療法施行後7497μU/ml・min, CS-045投与後8646μU/ml・minと改善した. インスリン感受性 (Si) はBergman's minimal modelにて検討し入院時0.01×10-4min-1・pM-1以下, 食事療法施行後0.37×10-4min-1・pM-1, CS-045投与後には2.67×10-4min-1・pM-1であり, CS-045投与にて著明に改善した. 本例の糖尿病においてCS-045は著効を示した. 血糖低下の主たる機序としてインスリン感受性の改善が考えられ, 血糖値の改善によるブドウ糖毒性の軽減の関与も示唆された.
  • 嶋田 裕之, 京極 郁夫, 川岸 隆彦, 石村 栄治, 奥野 泰久, 三木 隆己, 西沢 良記, 森井 浩世, 八木 祐吏, 前田 光代, ...
    1995 年 38 巻 10 号 p. 811-816
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性. 糖尿病歴は不明であるが, 2年前より糖尿病性神経障害による下肢の軽度の感覚障害が出現していた. 入院後食事療法とともに経口血糖降下剤を投与したところ一週間で尿糖は消失, 血糖は正常化した. しかし入院3週後より, 足底を中心に膝以下に疼痛発作が出現するようになり, 歩行も困難となった. この時の髄液検査で軽度の蛋白上昇を認めた. 電気生理学的には腓腹神経の感覚神経活動電位は導出されなかった. 腓腹神経生検では有髄神経は半減し, 神経束内の血管に基底膜の肥厚が認められた. 電顕標本では無髄線維はさらに脱落が著しかった. しかし神経再生像はほとんど認められなかった. 従来より治療後有痛性神経障害の原因は小径有髄あるいは無髄線維の再生によると考えられてきたが, この症例では強い疼痛があったにも関わらず再生をほとんど認めず, 治療後有痛性神経障害の原因は神経再生によるものだけではないと考えられた.
  • 哲翁 たまき, 佐中 真由実, 柳沢 慶香, 根本 和代, 嶺井 里美, 清水 明実, 大森 安恵, 岩下 光利, 中林 正雄, 神野 正雄
    1995 年 38 巻 10 号 p. 817-822
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    不妊症を合併した糖尿病患者が体外受精にて妊娠, 健常児を出産し得た2症例を経験したので報告する. 症例1は, 28歳で第一子妊娠中IDDMを発症し死産, 以後視床下部性無月経となり, 紹介されて来院した33歳女性. 症例2は19歳でNIDDMを発見され, 27歳で結婚後生理不順となり, 卵管癒着のため不妊症となった34歳の女性いずれも挙児希望が強く, 数回の胚偶子卵管内移植を行い不成功であったが, 血糖コントロールを良好に保ちHbA1c5~6%台にて体外受精-胚移植を試み妊娠成功. 妊娠後HbA1c4~5%台で合併症もなく経過し, 症例1は妊娠38週4日に双角子宮のため帝王切開にて30809の女児を出産し, 症例2は妊娠40週4日に経腟分娩で31909の女児を出産した. いずれの児にも新生児合併症, 奇形等は認めなかった. 糖尿病患者で体外受精-胚移植を試み妊娠, 出産に成功した症例の報告は本邦ではなく, 貴重な症例であると考えられた.
  • 瀧井 正人, 野添 新一, 小牧 元, 古賀 靖之, 神崎 健至, 田中 弘允
    1995 年 38 巻 10 号 p. 823-830
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    若い糖尿病の女性において, 摂食障害を合併する頻度が高いかどうかについての報告は一定していないが, 食行動の異常が糖尿病の経過に及ぼす破壊的な影響を否定する者はいない. しかしその治療法についてはまとまった研究はまだなく, 数例の症例報告があるのみである. 今回我々は摂食障害を合併したインスリン依存型糖尿病 (IDDM) の患者に, 行動療法を中心とした治療介入を行い, 良好な結果を得たので報告する. 症例: 17歳で発症した23歳女性のIDDM. 食事療法が守れず, HbA1cは常に11~14%と血糖コントロールは不良であった. 22歳で過食および意図的嘔吐が始まり (過食症), 23歳では逆に摂食量が減少し16kgの体重減少と無月経が生じた (神経性食欲不振症). 入院後は, 摂食障害の治療に重点をおき, 行動療法を中心とし, 個人面接, 集団療法, 家族を含めた面接などを併用した. 治療は奏効し, 退院後18カ月の時点でも食行動, 血糖コントロールとも安定している.
  • 性ホルモンの関与について
    森 豊, 畑 章一, 加藤 秀一, 村川 祐一, 横山 淳一, 田嶼 尚子, 池田 義雄, 西村 正彦
    1995 年 38 巻 10 号 p. 831-834
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    To clarify the mechanism by which intra-abdominal fat accumulated, we examined the influence of sex hormones on fat distribution and glucose intolerance in genetically obese-hyperglycemic OLETF rats, which are characterized by mesenteric fat accumulation. Male and female OLETF rats aged 5 weeks were orchiectomized and ovariectomized, respectively, and followed together with sham-operated control male and female OLETF rats until 35 weeks of age. At the age of 35 weeks, an oral glucose tolerance test (OGTT) showed a significant decrease in plasma glucose levels in the orchiectomized group compared with those in control group. There were no significant differences in insulin response during the OGTT between the orchiectomized and control groups. Although the mesenteric (M) and subcutaneous (S) fat weight in orchiectomized group significantly incressed compared to the control group, the increase in S fat weight was more marked than in M fat weight, and the M/S fat weight ratio in orchiectomized group decreased significantly compared to the control group.
    In contrast, there were no significant differences in glucose tolerance, insulin response during OGTT or fat distribution between the ovariectomized and controlgroups.
  • 平田 幸正
    1995 年 38 巻 10 号 p. 835
    発行日: 1995/10/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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