糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
38 巻, 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小林 基章, 雨宮 伸, 石原 俊秀, 小林 浩司, 沢登 恵美, 東田 耕輔, 中澤 眞平, 岡橋 美貴子, 星野 忠夫
    1995 年 38 巻 9 号 p. 679-687
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の血糖管理の指標にHbA1c 7%未満が掲げられて久しく, またDCCTの前向き研究の報告もこれを裏付けている. しかし本測定での施設 (機種) 間誤差は大きいので, 我々は1種の免疫法と, HbA1cの不安定分画を除去した3種のHPLC法の計4測定法を用い糖尿病患者検体と凍結乾燥ヘモグロビンを測定し, 2点較正の妥当性について検討した. 患者検体のHbA1c測定結果は各機種で比較すると最大1%以上の差を認めた. この測定値は患者検体の相関式を用いほぼ誤差なく補正され, 2点較正でも概ね許容される範囲に補正されたものの, 2点較正では低値域 (基準値域) での補正が不十分となることが示された. 今回の検討からは測定機種間のHbA1cの認識特性, または凍結乾燥標本の組成から2点較正では相互に較正不十分となる場合が少なくないことが示された. 以上より日本糖尿病学会の標準凍結乾燥標本による2点較正の勧告はHbA1cの標準化に果たす役割は大きいが, 検討された2機種の使用のみに可能と考えられる. DCCTでの目標HbA1c値7%未満とはどのような測定系をもとに提示されたかの背景を考察し, 多測定機種および国際的な比較も可能な較正法の確立が必要と考えられる.
  • 西村 理明, 縣 俊彦, 清水 英佑, 松島 雅人, 田嶼 尚子
    1995 年 38 巻 9 号 p. 689-696
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本におけるIDDMの予後は欧米に比べ著しく不良であったが, 近年改善傾向にある. しかし, 未だ欧米のレベルに達していない. その理由の一つとして, 最新の糖尿病の治療を受ける機会が日本全国で均等ではない可能性を考えた. 1965~79年に日本全国で診断された18歳未満発症IDDM 1428例を1990年1月1日まで追跡した. 都道府県別の死亡率と都道府県別の人口あたりの医療体制の指標 (医師数, 看護婦数, 病院数, 救急病院数, 透析施数, 小児科医数, 糖尿病認定医数, 栄養士数) を求め, 二者の相関関係について有意性を検定した. その結果, 全死亡率, 腎死亡率, 急性合併症死亡率と糖尿病認定医数および腎死亡率と栄養士数の間に有意な負の相関が見られた (P<0.05). 専門家による糖尿病治療を受けられるか否かが, IDDMの生命予後に影響している可能性が示唆された.
  • グルコースクランプ法によるインスリン感受性の検討
    岩崎 誠, 和田 正彦, 黒飛 万里子, 今野 英一, 神田 勤
    1995 年 38 巻 9 号 p. 697-702
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    2例のKlinefelter症候群に伴う非肥満糖尿病患者で, インスリン分泌能とインスリン感受性を検討した. 第1例は54歳で, 75g経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) での血糖反応では耐糖能障害は高度ではなく, インスリン反応では初期分泌の抑制と遅延が認められたが頂値は50μU/mlとそれほど低下しておらず, 1日尿Cペプチド値も96.4μgと低下していなかった. 第2例は45歳で, 境界型と判定され, インスリン反応 (頂値79μU/ml), および尿Cペプチド値 (42.2μg/day) よりインスリン分泌の低下は認めにくかった.
    これらの2症例において, 人工膵臓でのeuglycemic hyperinsulinemic clamp studyの結果, 平衡状態でのmetabolic clearance rate of glucoseは, それぞれ7.0, 63ml/kg/minと低下していた (正常値: 11.7±4.9ml/kg/min, 平均±標準偏差). 以上より, 本症候群に伴う耐糖能異常の原因は, 内因性インスリンの分泌低下より感受性低下が主因と推定される.
  • 糖尿病性腎症の重症度と血小板Ca2+の動態
    山口 多慶子, 鉄谷 多美子
    1995 年 38 巻 9 号 p. 703-709
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    血小板内遊離Ca2+濃度 ([Ca2+] i), アスピリン (ASA) 抑制率および血小板凝集能 (凝集能) と糖尿病性腎症 (腎症) との関連性について検討した. 糖尿病 (DM) 患者137例を対象とし, 健常 (C) 群45例をコントロールとした. 腎症の重症度をAERから四群に分けた. 蛍光指示薬はfura-2/AMを用いた. ASA処理前後の [Ca2+] iの差からASA抑制率を求め, 同時に凝集能を測定した. 非刺激時, 刺激時 [Ca2+] iおよび凝集能はDM群が有意に高値. 非刺激時 [Ca2+] iはnormoalbuminuria (N) 群が高値, 刺激時 [Ca2+] iおよびASA抑制率はsevere microalbuminuria (M-2) 群が高値, overt proteinuria (P) 群は低値. 凝集能は腎症の進行と共に亢進しP群が最も高値であった. N群は糖尿病という代謝異常に起因した膜の調節機構の異常, M-2群は刺激伝達系の異常, 特にcyclooxygenase (CO) 系の関与を推測, P群はCOの関与が少ないにもかかわらず凝集能が亢進, 血小板膜構成成分の異常が推察された.
  • 1992年度全国アンケート調査より
    鈴木 和枝, 池田 義雄
    1995 年 38 巻 9 号 p. 711-720
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    著者らは, わが国の糖尿病診療の実態を把握するべく1972年と1982年の過去2回アンケート調査を実施した. 以来再び10年を経た1992年の時点で, 前回と同様のアンケート調査を糖尿病に関心が高い全国934の医療機関と665の日本糖尿病協会所属の友の会を対象に実施し, 過去2回の成績と比較した. 糖尿病の診断に関しては, 10年前も今日も75g経口ブドウ糖負荷試験と日本糖尿病学会勧告値による判定が大半を占めた. 血糖自己測定の導入率は今回が96%と, 10年前の約3倍に増加した. 過去20年間, 糖尿病教室の実施率, 教育入院施設の割合並びに日本糖尿病協会所属の友の会は増加を示した. 特に, 開業医家や診療所など少人数の友の会の増加が目立ったが, ここでの教育活動は必ずしも容易ではない様子がうかがわれた. 病診連携システムを生かした複数の医療機関から成る友の会の出現が注目された. 日本糖尿病学会認定医の普及率は61%, コメディカルスタッフへの教育実施率は87%であった. 以上より, 今後の糖尿病教育の充実において, 日本糖尿病学会並びに日本糖尿病協会の対応が要望される.
  • 柴田 敏朗, 華房 順子, 山本 眞由美, 大洞 尚司, 森田 浩之, 宅野 洋, 武田 則之, 石塚 達夫, 安田 圭吾
    1995 年 38 巻 9 号 p. 721-726
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    18年来の糖尿病歴を有する45歳女性の糖尿病性足潰瘍に対してハイドロコロイド系創傷被覆剤を試みた. 潰瘍は, Charcot関節を有する糖尿病性神経症を背景に, 外傷を契機として発症した4年来のものであり, 今回感染の併発により入院.抗生剤の全身投与により感染をコントロール, 創部からの細菌培養が陰性化したことを確認の上, 免荷も考慮しクッション付属のハイドロコロイド系創傷被覆剤を使用. 週1回の貼用で, 直径2cm大の潰瘍が4週間後に治癒した. ハイドロコロイド系創傷被覆剤は, 創部を湿潤環境に保持し, 治癒を促進する治療材料であるが, 感染が無く, 壊死組織が少ない肉芽形成期に使用するという適応に従えば, 難治性糖尿病性潰瘍にも有効であった.
  • 生方 英一, 茂久田 修, 川越 理香, 坂本 美一, 清水 直容
    1995 年 38 巻 9 号 p. 727-732
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性で12年前発症のIDDM患者である. 糖尿病性ケトーシスまたはケトアシドーシスにて4回入院し, そのつど治療経過中に低酸素血症 (Pao2 54mmHg) を認めた. 心疾患, 網膜症, 腎症はないが, 著明な自律神経障害を認めた. 胸部X線写真, 呼吸機能検査, 肺血流シンチグラム, 肺換気シンチグラムはすべて異常はなかったが, 肺胞気-動脈血酸素分圧較差 (AaDo2) は47mmHgと増加しており, 100% O2吸入法により測定したシャント率は20%と高値であった. AaDO2増加を伴う低酸素血症には拡散障害, 換気・血流比不均等分布および肺内シャントがあるが, これらを来す器質的肺疾患は認められなかった. 従って, 機能的障害による換気・血流比不均等分布および肺内シャントがあるが, これらを来す器質的肺疾患は認められなかった. 従って, 機能的障害による換気・血流比不均等分布もしくは肺内シャントという病態が考えられた. つまり, この低酸素血症は糖尿病, 特に糖尿病性自律神経障害による肺障害の一つである可能性が示唆された.
  • 1995 年 38 巻 9 号 p. 733-754
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 二宮 陸雄
    1995 年 38 巻 9 号 p. 756-757
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 後藤 由夫
    1995 年 38 巻 9 号 p. 757
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top