2例のKlinefelter症候群に伴う非肥満糖尿病患者で, インスリン分泌能とインスリン感受性を検討した. 第1例は54歳で, 75g経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) での血糖反応では耐糖能障害は高度ではなく, インスリン反応では初期分泌の抑制と遅延が認められたが頂値は50μU/m
lとそれほど低下しておらず, 1日尿Cペプチド値も96.4μgと低下していなかった. 第2例は45歳で, 境界型と判定され, インスリン反応 (頂値79μU/m
l), および尿Cペプチド値 (42.2μg/day) よりインスリン分泌の低下は認めにくかった.
これらの2症例において, 人工膵臓でのeuglycemic hyperinsulinemic clamp studyの結果, 平衡状態でのmetabolic clearance rate of glucoseは, それぞれ7.0, 63m
l/kg/minと低下していた (正常値: 11.7±4.9m
l/kg/min, 平均±標準偏差). 以上より, 本症候群に伴う耐糖能異常の原因は, 内因性インスリンの分泌低下より感受性低下が主因と推定される.
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