糖尿病
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59 巻, 10 号
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会長講演
受賞講演
原著
疫学
  • 鈴木 和枝, 藤田 弘美, 橋場 直彦, 本吉 光隆, 池田 義雄
    2016 年 59 巻 10 号 p. 706-712
    発行日: 2016/10/30
    公開日: 2016/10/30
    ジャーナル フリー

    過去30年間における糖尿病栄養指導の推移を把握するために,1982年から10年間隔で合計4回実施したアンケート調査結果を比較した.調査は,過去3回に準じて全国1,961の医療機関のうち回答を得た915施設を対象に実施した.管理栄養士・栄養士の雇用率と,個人指導の実施率は,過去30年間高い割合で推移した.日本糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator of Japan:CDEJ)の雇用率は,発足当初の10年前52.1 %,今回62.9 %であった.時間がかかる指導内容として,「糖尿病食事療法のための食品交換表の説明」と答えた施設の割合は30年前75.0 %,20年前58.8 %を占めたが,10年前37.6 %,今回は28.0 %になった.このことは,CDEJ資格取得のための教育効果によって管理栄養士・栄養士の知識・意欲が向上し,糖尿病栄養指導の在り方が変貌した結果として捉えられた.

症例報告
  • 伊藤 真梨子, 山田 健悟, 渡邊 梨紗子, 深見 亜也子, 竹藤 聖子, 野村 由夫
    2016 年 59 巻 10 号 p. 713-718
    発行日: 2016/10/30
    公開日: 2016/10/30
    ジャーナル フリー

    症例は95歳女性.1995年糖尿病,高血圧症を発症し経口薬にて治療開始.2015年に急性心不全を発症したが軽快.その後糖尿病はレパグリニド1.5 mg/日で管理されていた.2016年3月全身倦怠と呼吸苦で紹介.随時血糖501 mg/dL,HbA1c 11.1 %,また心不全の悪化も認め,急性期に利尿剤を用いつつ,インスリンを用い高血糖,心不全を治療した.心不全軽快後,一旦糖尿病治療薬を中止し,持続血糖モニタリング(CGM)を開始した.1週間後からデュラグルチド0.75 mg/週の皮下注射を開始し,CGMを継続した.開始前,1,2,3週毎の平均血糖±SDはそれぞれ233±61,220±54,190±47,173±42 mg/dLと低下し,この患者背景における血糖管理としては十分と考え,家族に注射指導をし,在宅療養に移行した.超高齢糖尿病患者において週1GLP-1製剤の有効性を示した1例である.

  • 平谷 和幸, 刀塚 俊起, 末盛 晋一郎, 和田 秀穂, 古賀 正史
    2016 年 59 巻 10 号 p. 719-723
    発行日: 2016/10/30
    公開日: 2016/10/30
    ジャーナル フリー

    症例は58才女性,1991年健診で糖尿病を指摘され,内服治療を受けていた.1999年,随時血糖は200-300 mg/dLに対し,HbA1cは6 %前後と血糖に比し低値傾向を認め,グリコアルブミン(GA)は25-26 %と高値を示し,GA/HbA1c比は4.0-4.5(基準値:2.0-3.4)と著明高値を示した.軽度の正球性正色素性貧血,間接ビリルビン高値,尿中ウロビリノーゲン陽性を認めたが,ハプトグロビン,網赤血球は基準範囲内であり,溶血性貧血の診断基準は満たさなかった.51Crを用いた赤血球寿命が17.8日(基準値26-40日)と短縮し,溶血の存在が認められた.溶血の原因はクームス試験陰性,走査電子顕微鏡を用いた赤血球形態観察の結果から有口赤血球症と考えられた.不顕性溶血を生じ,有口赤血球症を合併したHbA1c偽性低値例の報告は検索し得た限り1例もなく,貴重な症例と思われた.

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