糖尿病
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59 巻, 11 号
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特集
肥満糖尿病克服への新たな挑戦
原著
疫学
  • 澄川 真珠子, 齋藤 重幸, 久保田 稔
    2016 年 59 巻 11 号 p. 748-758
    発行日: 2016/11/30
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    糖尿病患者に行うフットケアの取り組みの実態を明らかにするために,日本糖尿病学会の認定教育施設及び教育関連施設624施設(2012年6月)を対象に郵送式質問紙調査を実施した(2012年10~12月).分析対象は,回答を得た143施設とした.フットケアの実施率は,500床以上,7対1看護体制,専門・認定看護師を有する施設において高かった.フットケア専門外来を設置している施設は89施設(62.2 %)であり,フットケア実施時間と患者数は1ヵ月あたり延べ17.4±28.2時間,29.5±52.5人であった.また,フットケア実施状況(足潰瘍発症リスク評価・フットケア介入・フットケア評価)では,フットケア介入の実施率に比較して,足潰瘍発症リスク評価・フットケア評価の実施率が低かった.糖尿病フットケア外来の設置や適切なフットケアの実施は未だ不十分と考えられ,今後さらに糖尿病足病変予防体制の構築をおこなっていく必要がある.

  • 河津 里沙, 内村 和広, 泉 清彦, 大角 晃弘, 石川 信克
    2016 年 59 巻 11 号 p. 759-767
    発行日: 2016/11/30
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    肺結核患者における糖尿病の状況について,本邦の結核登録者情報システムのデータを解析することで糖尿病合併肺結核の疫学的傾向及び特徴を明らかにした.2007年~2014年の累積新登録肺結核患者141,598人中「糖尿病あり」は全体の13.7 %であり,近年の傾向として,高齢者女性における合併割合が目立った.「糖尿病あり」は「糖尿病なし」の者と比較して重症化しており,空洞形成率が高かった.年齢階層を調整した後でも糖尿病合併は肺結核の治療成績において死亡,失敗及び12か月を超える治療の関連因子であった.結核登録者情報システムにおける「糖尿病あり」は,必ずしも臨床診断に基づいた事例ではないため,正確な糖尿病合併肺結核患者数を表しているとは言えない.しかし,本稿は本邦における全体像とその傾向を知る上での貴重な資料の一つであると考える.

症例報告
  • 河崎 さつき, 黒岩 冴己, 三上 敬文, 柴田 博絵, 三澤 晴雄, 田村 泰, 山本 悟, 寺内 康夫
    2016 年 59 巻 11 号 p. 768-774
    発行日: 2016/11/30
    公開日: 2016/11/30
    ジャーナル フリー

    症例は52歳男性.27歳時に原田病でステロイド治療を行った.今回2015年1月中旬,食欲低下,腹痛,意識障害で救急外来を受診.受診時pH 7.021,尿ケトン2+,血糖1111 mg/dL,HbA1c 6.3 %で糖尿病性ケトアシドーシスを認め,十分な補液とインスリン持続静注を開始した.膵外分泌酵素は上昇,後日判明した膵島関連自己抗体は陰性,また内因性インスリン分泌は枯渇しており劇症1型糖尿病と診断した.本症例は原田病と劇症1型糖尿病の共通の疾患感受性であるHLAのハプロタイプであるHLA DRB1*04:05-DQB1*04:01を有し,入院後はエンテロウイルス(コクサッキーB1)抗体価が上昇していた.本症例は原田病既往から25年経過して,今回エンテロウイルスに感染し劇症1型糖尿病を発症したと考えられた.

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